『ダンゴドッコイショ』 ― 神奈川県 ― 語り 井上 瑤 再話 大島 廣志 再々話 六渡 邦昭 むかし、ある村に、ちょっぴり頭の弱いムコさんがおった。 あるとき、ムコさんは、山一つ越したヨメさんの実家へ、ごちそうによばれて行った。 ヨメさんの親は、よろこんでよろこんで、ヤレ食え、ソレ食え、とダンゴをたあ―んとごちそうしてくれた。 ムコさんは、出されたものがあんまりうまいので、ムシャムシャ食いながら、 「こんなうまいもんは、はじめてだ。これはなんというものだ」 とたずねた。すると、ヨメさんの親は、 「これは、ダンゴというもんだ。お前さんとこにヨメに行った娘は、ダンゴ作りが上手だから、帰ったら作ってもらいなされ」 というた。 それを聞いたムコさんはうれしくてたまらん。忘れちゃならんと思うて、ヨメさんの実家にいる間じゅう 「ダンゴ、ダンゴ、ダンゴ、ダンゴ」 と大声で言うていた。帰り道も忘れんよう