仲矢:そもそもの経緯からお話しします。ドバイで話し合われたのは国連の機関であるITUが定める国際電気通信規則を改正するかどうかということでした。この規則は1988年に制定されましたが、対象としているのは国際的な電話サービスです。当時、インターネットはそれほど普及していませんから、国際通信と言えば電話の時代です。その後、ネット技術を使った通信が急速に普及し、途上国からネットも対象に加えるべきだという議論が起こってきたのです。 規則を改正する会議を2012年に開くことが決まったのは2006年のことです。当時はネットがこれほど大きな議論になるとは思われていませんでしたが、その後、「アラブの春」で政権を倒す原動力になったこともあって、ネットの力が世界で強く認識されました。同時にサイバー攻撃の問題も出てきましたから、規則の中でネットを全く扱わないわけにはいかないだろうという議論が巻き起こってきたので