日本に戻ってきて出勤したが、耳に届く雑音でくたびれてきた。カタールで感じた高揚感は一気に萎んでしまった。 理由は簡単で、日本では大きなビジョンがなく、目先に小さなことに捉われているからだ。中東のゲノム・プレシジョン医療の盟主を目指すはっきりとしたビジョンと長期的な大規模投資を目の当たりにして、あまりにも日本との違いを認識せざるを得なかったのだ。 カタール財団のWEBを見るとまず、「At the heart of everything we do is the knowledge that our future lies in unlocking the most precious resource of all—human potential.」という文章が目に入ってくる。意訳すると「われわれの将来は、すべての人々のもっている大きな可能性を最大限に引きだす知恵に依存しており、それがすべてに