◆体験記を綴るにあたって 私の介護を一言で表現すると「地獄」です。こんな言葉が出てくるくらい、私にとっては二度と経験したくない辛い思い出です。何年か前に清水由貴子さんが母親の介護に疲れて自殺してしまいましたが、私のあの当時を思い出すと、清水さんのお気持ちもわかる気がします。彼女も地獄の中でもがき苦しんでいたのでしょう。 さて、私が母親の介護で地獄を見たのは昭和51年からの1年間です。もう30年以上も前のことになります。当時は私もまだ40歳代ですから、気力も体力も今とは雲泥の差です。また、私たちの世代の方には理解していただけると思いますが、親の面倒は総領がみるもの、たとえ寝たきりであっても、たとえ痴呆であっても自宅で総領が面倒をみる、これが当たり前でした。もちろん当時は、介護保険制度などありませんし、老人介護の施設も地方に住んでいた私には無縁でした(そのような施設があるのかどうかもわかりませ