※本稿は『シン・エヴァンゲリオン劇場版』と『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを君に』の内容、いわゆるネタバレに触れております。ご了承ください。 『シン・エヴァンゲリオン劇場版』が公開された今、改めて2006年に庵野秀明総監督が書いた『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』所信表明を読むと、その志がぶれていないことに驚く。特に目を引くのが「「エヴァンゲリオン」という映像作品は、様々な願いで作られています。(中略)現実世界で生きていく心の強さを持ち続けたい、という願い。」の部分だ。 その前年に刊行された漫画『監督不行届』の解説で庵野は、著者であり自身の妻でもある安野モヨコの作風を「マンガを読んで現実に還る時に読者の中にエネルギーが残るようなマンガ(中略)『エヴァ』で自分が最後までできなかったこと」と評している。 作品という虚構から現実世界に還り、そこで生きていく強さ。 テレビシリーズおよびそ