「先生との約束を守れなくて、ごめんなさい」 それが、私の顔を見てFが口にした最初の言葉だった。 第一希望だった都立高校の入試結果が不合格だとわかった時、彼女が選んだのは2次募集の高校も夜間定時制の高校も受験せず、働くという道だった。 「アメリカに行くという夢を叶えるため、働いてお金を貯めます。」 それから2年、3つの仕事を掛け持ちして働いたが、収入の大半は家計を助けるために消え、思うようにお金は貯まらなかったという。(注) (注)「子どもの貧困」対策として、全国に広がっている“学習支援”とは何か、その現状と課題を明らかにするためには、私が中学校の教員として、また学習支援コーディネーターとして出会った子どもたちの様子に触れる必要があります。そこで、子どもたちのプライバシーを守るために、典型的な事例からFとKという二人の中学生を造形し、その架空の事例を通して、子どもたちの姿をお伝えします。 2
![子どもたちの中に眠っている「宝」探し――学習支援の現状と課題/西牧たかね - SYNODOS](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/17e5062e72f8581f588ca59342b453876305470c/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fsynodos.jp%2Fwp2%2Fwp-content%2Fuploads%2F2021%2F06%2Fpencil-602440_640.jpg)