今回の次世代DVD統一交渉では、東芝はかなり積極的にアプローチしていたようだ。しかし、4月下旬の新聞報道でやや態度が変化し、大詰めとなる交渉最終週を迎えた5月10日には、まるで180度方向を変えたがごとく、0.1ミリ統一から離れていったように見える。その背景にあったのは何か? 前回に引き続き、東芝上席常務の藤井美英氏に話を伺った。 ――前回のお話にあったように、統一交渉のポイントが“技術論”でなく“経営判断”だったなら、消費者優先の観点からも、統一合意へと向かうのが自然だったのではありませんか? 「それはそうでしょう。私は真剣に統一について考えていました。東芝グループトップの全権委任を受け、微妙に利権の絡む交渉をまとめようとしていたのです」 「しかし、あのようなリーク記事が生まれた。しかも内容は東芝にとって不利な曲解も含まれていましたが、ほぼ正しい情報に近いものです。どこかから情報が漏れな