昼食を摂りながらほうれん草の冷凍のしかたについて話していると共通の知りあいが通りかかって、年ごろの男女の話題とは思われない、いいぞもっとやれ、と言って去った。私たちは大学生で、大学とアルバイト先が同じで、それぞれひとり暮らしをしていて、自分で自分の生活を支えていた。私たちは友だちだった。 年ごろの男女にちょうふさわしい話題じゃんと彼は言って大学の食堂が無料で出すお茶をすすり、ほぼ水、とつぶやいた。それにしても成長したよねと私が言うと彼はそっくりかえって成長期だしとこたえた。背はもう伸びてないでしょうと返すとまだちょっと伸びてると言い張るのだった。 彼が私にはじめて電話をかけてきてから三年が過ぎていた。大学に入学したころの彼は実になんにも知らなかった。彼は私の住んでいた女子寮みたいな下宿の玄関にあるピンク色した電話を鳴らし、あのさあ槙野さん料理とかする、と尋ねた。凝ったものは作れないけど毎日
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