たまたま先週週刊現代を読んでいて、京大教授阿辻哲次「漢字道楽」というエッセイが面白かった。話は、数年前まで「阿辻哲次」の「辻」という字を中国人によく問われたというのだ。 数年前まで、初対面の中国人と名刺を交換する時には必ず、貴殿の苗字には奇妙な文字があるが、この「辻」とはいったいどういう意味か、まともな漢字なのか、それとも日本で作られた記号のごときものか、漢字であるとすれば、中国語ではどう発音すればいいのか、などとあれこれとたずねられたものだった。 この話でまず五分は盛り上がったのだそうだ。ま、中国人としても承知の上の洒落である。「辻」は国字といって日本でできた漢字なので中国にはない。それ自体は別にどうっていう話でもないのだが、中国人が気になるのは、「どう発音すればいいのか」である。 そうはいっても、国字に中国音などありようがない。が、実際には困らない。どう見ても、これは、「十」で音をとる