2019年4月、巨大ブラックホールの観測を目指したプロジェクト「イベント・ホライズン・テレスコープ」(EHT)の観測チームが、初めて観測に成功したブラックホールの画像を公開した。高度なITを結集させることで歴史に残る記録的な成果を生み出した。 EHTの電波望遠鏡(光ではなく電波を観測する望遠鏡)は、南極を含む世界8カ所に分散して設置されている。それぞれの電波望遠鏡で記録された膨大な量の電波信号のデータは、米マサチューセッツ州ウェストフォードにあるマサチューセッツ工科大学(MIT)ヘイスタック観測所と、ドイツのボンにあるマックス・プランク電波天文学研究所に送られる。 一躍有名になったこのブラックホールの画像は、2017年に5300万光年以上離れた銀河「M87」で捉えたデータだ。ストレージのデータ量は約3.5P(ペタ)Bを要し、データを関連付けて画像を形成するまでに2年かかった。 EHTのエン
独立行政法人・国立病院機構東京医療センターで、看護師の大量退職が起き、医療現場が危機に陥っていることが「 週刊文春 」の取材でわかった。看護師への処遇を巡っては、労働基準法違反違反の疑いがかかる複数の事例があるとの証言も得られた。看護師らが取材に応じ、内情を明かした。 【画像】「予定外の中途退職のないよう、熟慮の上お答えください」と書かれ実際に配られた「退職希望アンケート」を見る 東京医療センターは、新型コロナウィルスのワクチン接種を日本で最初に行うなど、日本の医療を代表する病院の一つ。旧海軍の軍医学校病院を起源の一つに持つ国立東京第二病院が前身で、現在は34の診療科、約690の病床数を誇る総合病院だ。 「敷地内に同病院機構の本部もあり、国立病院の『総本山』です」(医療担当記者) 大量退職の背景に勤務管理体制の問題が しかし、同病院では今、職員の退職が止まらない状況にある。病院幹部の一人は
「日本学士院賞」は、日本の研究者にとって最高の名誉とされる賞である。その中からさらに選ばれた人だけに「恩賜賞」が授与される。明治43(1910)年に創設され、翌年に授賞式が始まって以来、初の女性の単独受賞者が誕生したのは2021年、実に111年目のことだった。その栄誉に輝いたのが数学者の石井志保子さんだ。 【写真】子育てと研究の両立は?実際の様子 富山県高岡市の開業医の家に生まれた。地元の小中高を経て東京女子大学に進学、そこで数学に魅せられ、早稲田大学と東京都立大学の大学院で勉強を続けた。東京工業大学、東京大学で数学教授となり、定年退職した現在も東大大学院数理科学研究科特任教授である。 一直線に数学だけを究めてきたと想像されがちだが、実際は、結婚、子育てとライフステージの変化とともに柔軟にやりくりしながらの研究生活だった。(聞き手・構成/科学ジャーナリスト・高橋真理子) * * *
(小学校では)体調不良で長期間お休みしている先生がいますが補充の先生がいません。入れ替わりいろいろな先生が入っていますが、全体に落ち着かないです。穴を埋めている先生方が倒れてしまわないか心配です。(中学校では)まだ美術の授業が始まっていません。(神奈川県、公立小・中学校保護者)昨年度、担任が突然退職した。しばらく担任不在のままの期間があった。学習支援担当の先生がその後担任になったが、今度はその先生がコロナ関連の休みで、実質その年は子どものクラスの担任不在日は3ヶ月に近い日数となった。安心して子どもをあずけられないという親は周囲の意見を聞いてもかなりいる。(兵庫県、公立小学校保護者) 担当教員が不足しているため、同じ教員が2クラス同時に授業を行うことがあり、教室を出たり入ったりする。大急ぎで授業をすすめるため、早口で何を言ってるのか理解が追いつかないことがしばしばある。(大阪府、公立中学校保
ウクライナ東部のバフムートで戦うアンドレイ中尉(右から2人目)ら=11月、本人によるテレグラムへの投稿より ウクライナ東部ドンバス地方にある平原の町バフムートを「陥落せよ」と、ロシアの指導部が軍に厳命している。激戦は5カ月以上続く。現在、この前線にいる元国会議員のウクライナ軍将校、アンドレイ中尉(35)がオンラインによるインタビューに応じた。彼が語る最前線の壮絶な戦いとは――。(キーウ=岡野直) 【独占入手動画】ロシア兵がウクライナ・ハルキウで略奪 防犯カメラがその瞬間を撮影 ――ドンバスの親ロシア派武装勢力が11月28日、「バフムートの包囲が近い」と述べたが、その可能性は? 今、ロシアが狙っているのは、バフムート市周辺の村落に陣地を築き、バフムート市を包囲することです。 ロシア軍がある地点で数百メートル前進したりすることはあり、ロシアはそれを、あたかも大戦果のように宣伝しますが、「ロシア
――いまの心境は。 渡辺明名人「年明けからやっぱタイトル戦(王将戦、棋王戦、名人戦)がずっと続いてきてたので。それがこの名人戦終わって一区切りというところなので。終わってホッとしている感じがいちばん強いですね、はい」 ――名人防衛の実感は。 渡辺「9時間、2日制の長丁場なので。その9時間っていうのはやっぱり名人戦だけの持ち時間なので。まあやっぱり、長い戦いだった、っていうのがいちばんですかね」 ――スコアは4勝1敗での防衛。 渡辺「今日の時点では3勝1敗でこの5局目迎えてたんですけども。まあでもやっぱりひとつ落とすと当然苦しくなっていくので。先後(第5局は渡辺先手)の兼ね合いもありますけど、ここの5局目っていうのはそんなに余裕がない状態では迎えていましたね」 ――今日の対局の勝因は。 渡辺「1日目から手が広い将棋だったんですけど。まずまず、まとめることができたのかな、っていう。大崩れしない
理研で大量「雇い止め」危機理化学研究所(理研)といえば、自他ともに認める日本を代表する研究機関だ。1917年の設立以来、組織形態を変えながら戦前戦後を生き延び、優れた研究を生み出し続けている。 ときに問題も起こることがあり、私もこのYahoo!ニュース個人の記事で何度か取り上げたSTAP細胞事件を記憶している方も多いだろう。 このようにその動向が一挙手一投足が取り上げられる理研だが、衝撃的なニュースが駆け巡った。理研の研究系職員が今年度末で約600人も雇い止めになるというのだ。 【速報】理研600人雇い止め 研究者らが“撤回”を求めて政府に要望書 (FNN)理研で雇い止め、1年後に600人 労組が撤回要求「日本の研究力低下」 研究チームの解散、神戸が4割 (神戸新聞)なぜ理研は600人もの研究職を雇い止めするのか(城繁幸氏)理研、600人の「大量リストラ」で、日本の「科学技術」がいよいよヤ
理系女子を意味する「リケジョ」。増やす方針を政府は掲げますが、進学・就職する人は多くありません。そんな中、東京大大学院で宇宙物理学を研究する呉市出身の大小田(おおこだ)結貴さん(27)が昨秋、「ロレアル―ユネスコ女性科学者 日本奨励賞」を受賞しました。理系を目指す後輩たちに「性別は関係ない」とメッセージを送ります。 【グラフ】理系学部の男女比率 東京大博士課程3年の大小田さんは、チリにある世界最大級の電波望遠鏡のデータを使い、星の誕生と成長を観測している。今回の受賞は、研究が太陽系の起源の理解に貢献していると評価された。 ”宇宙物理学が専門と話すと「リケジョだね」と返ってくることが多いですが、その言葉があまり好きではなくて。女性が珍しい存在として扱われていることの裏返しでもありますよね。 研究自体に性別は関係ないし、能力差を感じたこともありません。なのに女子が少ないのは「女子は文系、男子は
NTTドコモは2021年から2022年にかけて、「dポイントクラブ」や「dカード」など44サービスのURLを順次変更します。ユーザーにとってはブックマークの変更などの手間が発生することになりますが、いったい何が目的なのでしょうか。 たとえばdカードの場合は、これまでWebサイトのドメイン名は「d-card.jp」でしたが、2022年6月から「dcard.docomo.ne.jp」に変更されます。個々のサービスだけでなく、ドコモの企業サイトも2022年3月に「www.nttdocomo.co.jp」から「www.docomo.ne.jp」に変更される予定です。 ドメイン名は「docomo.ne.jp」に統一される(ドコモの発表内容より筆者作成) ユーザーへの影響としては、ドコモはURL変更に合わせてWebブラウザの「お気に入り」や「ブックマーク」を変更するよう呼びかけています。ブックマークを
読売千人計画叩きは頭脳流出を「抑止」? 読売新聞が今年の元旦以降「千人計画」を槍玉にあげる記事の掲載を続けるなか、私は繰り返しこれらの記事の問題点を指摘してきた。 例えば、3月末の記事「読売新聞「千人計画」特集が覆い隠す日本の基礎科学の危機」では、中国へ流出する日本人の大学研究者が増えている背景には、「高給引き抜きによる先端技術獲得の動き」というよりは、「中国の大学が近年研究レベルを大きく向上させる一方、日本では大学の研究環境の悪化が続き、基礎研究分野の人材が流出している」という事情があることを指摘した。 つまり、日本側が「技術流出」を警戒する一方、千人計画採択者を含め、中国の日本人研究者の多くは、そもそもそういった流出させる技術を持たない(技術者や工学研究者ではない)基礎科学の研究者が主体であり、この現象の実態は、中国に「引き抜かれている」(プルの要因)というよりは日本側が積極的に「追い
東京五輪の開催方式に関し、無観客を回避する検討が進められていることが22日、分かった。観客数上限は大きな焦点だが、国内のプロスポーツが一定の観客を受け入れているのに伴い、五輪でも同様にすべきとの方向性が政府、五輪組織委、国際オリンピック委員会(IOC)の間で一致しているもようだ。 新型コロナの感染拡大により、五輪組織委の橋本聖子会長は4月に「無観客も覚悟している」と発言。観客数は慎重に検討されてきたが、プロ野球やJリーグの会場で大規模なクラスターが発生したケースは確認されていない。ある組織委関係者は「観客がゼロということはない。プロ野球もJリーグも観客を入れて開催している。五輪も少しでも入れる方法を模索している」と証言した。 選択肢としては上限の50%を軸に、5000人までとする案や、屋外と屋内会場で人数を調整する案なども浮上。当初、最終判断は6月上旬が濃厚だったが、緊急事態宣言の延長が取
東京都新宿区下落合のマンション地下駐車場で二酸化炭素(CO2)を含む消火用ガスが噴き出し作業員4人が死亡した事故で、天井の張り替え作業の工程で誤って電気信号が流れ、消火装置が作動した可能性があることが21日、捜査関係者への取材で分かった。構造上、電気信号が流れない限り、装置は起動しないことが判明したという。事故から22日で1週間。警視庁捜査1課は今後、再現実験を行う方針で、作業工程を確認し誤作動の端緒を検証する。 【写真】消火設備が誤作動したマンションの入庫口付近 捜査関係者によると、地下1階の駐車場では、CO2を含むガスの噴射で火災を抑える仕組みの消火装置を採用。天井には熱感知のセンサーと煙感知のセンサーが計12カ所に設置されており、両センサーが熱や煙を感知すれば、それを示す微弱な電気が信号として流れ、ガスが噴出する仕組みになっていた。今回も最初に熱センサー、その後に煙センサーがそれぞれ
新型コロナウイルスの高齢者へのワクチン接種が、4月12日から開始される。16歳以上の一般の人はいつごろを目処にワクチン接種できるのか。ワクチン接種の調整を担う河野太郎・行政改革担当相は、ハフポスト日本版の取材に対し「人口分は確保している。接種のスケジュールは自治体ごとに千差万別だ」と述べた。 【ハフポスト日本版・井上未雪/写真 坪池順】 接種スケジュールは地域ごとに千差万別日本で最後の一人が打ち終わるのはいつなのか。その問いに河野氏はこう始めた。「日本政府は、アメリカのファイザーとモデルナ、イギリスのアストラゼネカの製薬会社3社との間で、供給を受けるための契約を交わしています。回数分にして約3億1400万回分確保しています*。現在承認されているファイザー製のワクチンの接種対象は16歳以上ですが、下に広がっても日本の人口分は確保しています。 ワクチンを人口の3-5倍分確保している国もあるけれ
最近になってやっと新聞紙上でも、半導体が日本で重要だという見方がでてきた。しかし、日本は半導体といっても半導体製造装置や材料が強いのであって(図1)、半導体チップが強い訳ではない。かつて、霞が関(経済産業省)と総合電機が一緒になって、半導体はDRAMをやめシステムLSIをやれと大号令をかけてきたが、全て失敗した。日本のDRAMは、韓国やマイクロンに負け、パソコン需要を狙った安価なDRAMを作れなかったためだ。しかし、その後も低コストの設計技術、製造技術を軽視してきた。 図1 2020年の世界の半導体製造装置・検査装置メーカー上位10社 この内東京エレクトロン(TEL)、アドバンテスト、SCREEN、日立ハイテクの4社が日本企業 出典:VLSI Research 今残った国内大手3社、キオクシアとソニーセミコンダクタソリューションズ、そしてルネサスエレクトロニクスの内、キオクシアとソニーは昔
新型コロナ第3波に伴い、1都3県に再び緊急事態宣言が発出されたが、それに伴い在宅勤務を推奨する流れも加速し始めている。テレワークによる在宅勤務なら通勤の煩わしさから解放され、会議もオンラインを利用することで手軽に参加できるようになった。 【写真】机の横にはすぐにベッド…、ワンルームでのテレワークは精神的にきつい? しかしその一方で、悲鳴を上げている人たちがいる。狭いワンルームマンションで在宅勤務する単身者だ。第1波、2波をどうにか乗り越えられたものの、第3波の渦中にある今、彼らの心身の限界が近づいている。
母親の子宮頸(けい)がんが出産時に羊水に混入し、誕生直後の赤ちゃんが初めて泣いた際にこの羊水を吸い込んで肺がんを発症した例が見つかった。国立がん研究センターなどの研究チームが世界初の例として7日発表した。論文は米医学誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン電子版に掲載された。 この例は2組あり、いずれも肺がんを発症したのは男児。母子のがん細胞の遺伝子を解析したところ、DNA配列に同じ変異があったほか、子のがん細胞には男性のY染色体がなかったため、移行したと確認された。1組目の男児は免疫療法薬「オプジーボ」(一般名ニボルマブ)で治療でき、2組目の男児は手術で肺がんを切除した。母親2人は出産後や出産時に子宮頸がんと診断され、その後死亡した。 同センター中央病院の小川千登世・小児腫瘍科長は「小児の肺がん患者は100万人に1人もいない上、極めてまれな例だ」と説明した上で、「母親の子宮頸が
国民が知りたい情報に簡単にアクセスできるように、政府がウェブサイトを一元化する方向で検討していることが19日、分かった。現在は各省庁が独自に作成しているウェブサイトを見直し、一元化したサイトから、目的別に知りたい情報が得られるようなサイトの構築を目指す。菅義偉政権は行政のデジタル化や縦割り行政の打破を推し進めており、政府のウェブサイトもこうした観点から大幅に刷新する。 【写真】「デジタル改革アイデアボックス」のウェブサイト画面 来年9月に設置するデジタル庁のウェブサイトからこの方式にし、数年かけて各省庁のサイトを取り込む。サイトの構築費用などとして、令和3年度当初予算に6億5千万円を計上する。 各省庁にそれぞれウェブサイトがある現状では、調べたい事項について、どの省庁が所管しているかを知らなければ、目的の情報にたどり着けない。また複数の省庁が横断的に取り扱っている分野も多く、複数の省庁のウ
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く