64歳の漫画家が描く、若きアシスタント時代の思い出いまから20年近く前、私がロンドンに住んでいた頃のこと。ある日、水道管の工事にやってきたおじさんが部屋のレコード棚に目をとめて、「音楽好きなの? 俺あのレーベルで働いてたんだよね~」と、90年代に音楽業界で大騒ぎしていた日々の思い出を聞かせてくれたことがあります。同じ頃、大学の講座で家具作りを学んでいた友達は、先生が70年代に一世を風靡した超有名バンドのメンバーだったと言っていたっけ。 人生のある時期、伝説的な現場のど真ん中でエキサイティングな経験をしたけれど、現在はそれとは関係のないお仕事をしたり子育てや介護に力を注いだりしている人は、世界中どこの国にもたくさんいるはずです。「平凡な一市民です」という顔をして穏やかに毎日を生きている人が、実はすごいエピソードを持っていたりするんですよね。 このたび『薔薇はシュラバで生まれる 70年代少女漫