「検察組織による集団いじめだと思う」。5月上旬、取材に応じてくれた現職検事のひかりさん(仮名)が苦しそうに漏らした。 ひかりさんにとっての最初の苦しみは、大阪地検のトップだった北川健太郎被告(65)による性暴力である。だが理不尽な出来事はそれで終わらなかった。加害者本人や検察幹部による口止め、関係者による誹謗中傷、検察内外に広がっていくうわさ…。さらに被告は一転して否認に転じ、苛烈な二次加害がいまも、ひかりさんを苦しめている。 ひかりさんは5月21日に日本外国特派員協会(東京)で記者会見も開き、事件の約1年後に北川被告から受け取ったという口止めの書面も公開した。 記者会見という形で公にその苦境や心情を伝えるほかない彼女に対し、検察組織はどう対応するべきか。そして私たちはこの事件をどう受け止めればいいのか。(共同通信編集委員=田村文/「ひかり」という仮名は本人の希望です) ■「家族との平穏な
