ブックマーク / huyukiitoichi.hatenadiary.jp (8)

  • 欧米で話題沸騰の気候変動にまつわるすべての領域を描き出そうとした野心的な気候変動SF──『未来省』 - 基本読書

    未来省(The Ministry for the Future) 作者:キム・スタンリー・ロビンスン,坂村健パーソナルメディアAmazonこの『未来省』は、『レッド・マーズ』、『グリーン・マーズ』、『ブルー・マーズ』の三作からなる火星三部作や『2312 太陽系動乱』などで知られるキム・スタンリー・ロビンソンが2020年に刊行した気候変動SF長篇だ。キム・スタンリー・ロビンソンは「細部へのこだわりと、世界や社会、人類といった大きなものをまるごと描こうとするヴィジョン」のどちらもを持ち合わせる稀有な作家だが、作は”気候変動vs人類”という中心テーマに対して、その才能をいかんなく発揮している。 最初に概要と総評を紹介する 近年実際に災害が増えていることもあって、気候変動をテーマにした小説(Climate Fiction)は欧米で伸びているジャンルだが、作は数あるcli-fiの中でもとりわけ大

    欧米で話題沸騰の気候変動にまつわるすべての領域を描き出そうとした野心的な気候変動SF──『未来省』 - 基本読書
    kumabou2016
    kumabou2016 2023/09/22
    面白そう!いつも貴重な書評ありがとうございます。
  • 「幸せ」を追求するのはいいことなのか?──『ハッピークラシー――「幸せ」願望に支配される日常』 - 基本読書

    ハッピークラシー――「幸せ」願望に支配される日常 作者:エドガー・カバナス,エヴァ・イルーズ,山田陽子みすず書房Amazon「幸せ」であることは、良いものであるように思える。なぜなら、幸せは良いものだからだ。トートロジーだが、こう考える人は多いだろう(僕もそう思っていた)。 書は、そうした幸せであることは無条件に良いものである、とする幸せへの理解が、適切ではない形で広まった結果として、結果的に我々を縛るものになってしまっている、と批判的に検証していくである。著者はスペインにある大学の心理学教授であるエドガー・カバナスと、ヘブライ大学の社会学教授であるエヴァ・イルーズの二人。その性質上、欧米を中心に流行しているポジティブ心理学への批判が中心であり、日の「幸せ」の受け入れられ方とは異なる面もあるのだが、「幸せ」産業の発展はグローバルで進行しているものだから、関係がないわけではもちろんない

    「幸せ」を追求するのはいいことなのか?──『ハッピークラシー――「幸せ」願望に支配される日常』 - 基本読書
  • 地球人口が100億人にいたり、地球の負荷が高まる時代に何をすべきなのか──『魔術師と予言者――2050年の世界像をめぐる科学者たちの闘い』 - 基本読書

    魔術師と予言者――2050年の世界像をめぐる科学者たちの闘い 作者:チャールズ・C.マン紀伊國屋書店Amazonこの『魔術師と予言者』は書名だけみるとファンタジィ小説だが、その実態は2050年、人口が100億に達した時の地球環境の危機について考察する大著である(ページ数は700を超える)。現在の地球人口は約77億人だが、すでに限界ぎりぎりの地球の資源状況が人口が増えればここから厳しくなっていくのは火を見るより明らかだ。 このままだと、料も、エネルギーも、水も、気候も、すべてが破綻しかねない。では、我々は未来に備えて何をすべきなのか? その対抗策について、書では科学の力を駆使することで、農業の生産性を上げ、エネルギーの供給量を増し、問題を解決せよ! と唱える一派らをノーマン・ボーローグを模範とする「魔術師派」。 地球資源には限界があり、人間は科学に頼るだけでなく抑制もしなければならない!

    地球人口が100億人にいたり、地球の負荷が高まる時代に何をすべきなのか──『魔術師と予言者――2050年の世界像をめぐる科学者たちの闘い』 - 基本読書
  • それぞれ異なる味で楽しませてくれる、傑作巨大人型ロボットSF三部作がついに完結!──『巨神覚醒』 - 基本読書

    巨神降臨 上 (創元SF文庫) 作者: シルヴァン・ヌーヴェル,佐田千織出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2019/05/21メディア: 文庫この商品を含むブログを見るシルヴァン・ヌーヴェルのデビュー作『巨神計画』から始まる巨大人型ロボットSF三部作が、この『巨神降臨』でついに完結! いやーこれは当におもしろかった。一部、二部、三部とまったく異なる「巨大人型ロボット物」の方向性が展開し、エヴァ好きもイデオン好きもグレンダイザー好きもSF好きも全方向的に満足させてくれる、まさに傑作にふさわしい巨大人型(とはちょっと違うが)ロボットSFなのだ。 三部作全体の見取り図をざっと紹介する 巨神計画 文庫 (上)(下)セット メディア: セット買いこの商品を含むブログを見る未読者向けに全体の見取り図を紹介しよう。第一部『巨神計画』は、アメリカで発見された全長約6.9メートルにも及ぶ巨大な「手」

    それぞれ異なる味で楽しませてくれる、傑作巨大人型ロボットSF三部作がついに完結!──『巨神覚醒』 - 基本読書
    kumabou2016
    kumabou2016 2019/05/23
    面白そう!記事ありがとうございます。
  • ファンの行動力学──『ファンダム・レボリューション:SNS時代の新たな熱狂 』 - 基本読書

    ファンダム・レボリューション:SNS時代の新たな熱狂 作者: ゾーイフラード=ブラナー,アーロン M・グレイザー,関美和出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2017/12/06メディア: 単行この商品を含むブログを見るファンというのは怒らせると怖いものだ。 うまくいっている時は物凄い熱量で作品やグッズを推し、コスプレをし、自分たちで新しい何かをつくりはじめ、その全てが作品のパワーになる。その代わりに自分たちがないがしろにされていると感じたり、怒りの琴線に触れると、その熱量は一気に批判へと向かって炎上する。たとえば、現在絶賛公開中のスター・ウォーズのエピソード8も、ファンの間で凄まじい批判が巻き起こり、『最後のジェダイ』をなかったことにしろと賛同者を募るキャンペーンまで始まってしまっている。 いったいどのような行動がファンの集まり、ファンダムを激怒させるのか。それに対処するにはどのような

    ファンの行動力学──『ファンダム・レボリューション:SNS時代の新たな熱狂 』 - 基本読書
    kumabou2016
    kumabou2016 2017/12/20
    金づるだと考えられると、確かに冷めます。面白そうな本ですね。
  • スター・ウォーズには全世界が含まれる──『スター・ウォーズによると世界は』 - 基本読書

    スター・ウォーズによると世界は 作者: キャス・R.サンスティーン,Cass R. Sunstein,山形浩生出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2017/11/21メディア: 単行この商品を含むブログ (2件) を見るけっこう変なである。『実践 行動経済学』などの著作があり、オバマ政権ではホワイトハウスで情報規制問題局長をつとめたキャス・R・サンスティーンの著作なのだから、スターウォーズをダシにして行動経済学やら憲法学やらの話を展開するのかと思いきや──ほとんどはスター・ウォーズ評論であったり、スター・ウォーズ裏話であったり、いかに彼がスター・ウォーズを好きかという話で占められている。 大好きなものを好きなように語っているんだなということはよく伝わってくる内容で、同人誌のようだというのが最初の感想だけれども、キャス・R・サンスティーンともなると同人誌も当然のように商業出版し翻訳もさ

    スター・ウォーズには全世界が含まれる──『スター・ウォーズによると世界は』 - 基本読書
    kumabou2016
    kumabou2016 2017/12/11
    面白そうですね。記事ありがとうございます。
  • 人間が機械を用いて自然界や人間界とどう向き合ってきたのか──『トラクターの世界史 - 人類の歴史を変えた「鉄の馬」たち』 - 基本読書

    トラクターの世界史 - 人類の歴史を変えた「鉄の馬」たち (中公新書) 作者: 藤原辰史出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2017/09/20メディア: 新書この商品を含むブログ (4件) を見るトラクターというのは、それ一冊で歴史書になりえる題材なのだろうか。 そんな疑問を抱きながら読み始めてみれば、1ページ目からもう煽る煽る。『耕すこと、それはいわば地球の表面を引っかきまわすことである。』から始まり、トラクターがいかに世界に変化を与えてきたのかを心躍る筆致で描き出していく。『トラクターは、善かれ悪しかれ、大地の束縛から人間を解き放そうとしたし、いまなおその変化は進行中である。(…)農業生産の機械化、合理化と農地内物質循環の弱体化という二つの決定的な影響を、トラクターは二〇世紀の人間たちにもたらしたのである。』 そして、そうした煽りがただのハッタリではなくおもしろい。確かにトラク

    人間が機械を用いて自然界や人間界とどう向き合ってきたのか──『トラクターの世界史 - 人類の歴史を変えた「鉄の馬」たち』 - 基本読書
    kumabou2016
    kumabou2016 2017/10/27
    面白そう
  • 知を守るための戦い──『アルカイダから古文書を守った図書館員』 - 基本読書

    アルカイダから古文書を守った図書館員 作者: ジョシュア・ハマー,梶山あゆみ出版社/メーカー: 紀伊國屋書店発売日: 2017/06/15メディア: 単行この商品を含むブログを見る西アフリカに位置するマリ共和国には、トンブクトゥという都市がある。日人からすると奇妙な名前のこの場所には、最古のものだと、町が成立した12世紀頃まで遡ることができるかつての文化を伝える貴重な古文書が何万点も所蔵されている。 それには、トンブクトゥが元々学問の盛んな土地だったことが関係している。14〜15世紀頃の話だが、まずはアリストテレス、プラトンといった哲学者らの著作から、代数、三角法、物理学、科学、イスラム法学とその内容は多岐に渡る外国の書籍を書家が丁寧に書き写し、それが富裕層や学者たちの書棚に並ぶ。そうやって異国の書物がアラビア文字で記され、写されていくうちにこの地には科学者や哲学者の数が増えていき、そ

    知を守るための戦い──『アルカイダから古文書を守った図書館員』 - 基本読書
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