この本もまた、先だって紹介した『ファスト&スロー』と甲乙つけがたい面白さである。この分野全域にわたる博識という意味でダン・アリエリーはダニエル・カーネマンに及ばないという印象があるが、ダン・アリエリーの実験デザインはセンスがある。 心理学の面白さはどんな実験を実施できるか、実験の設計に全てがあるとまで言い切る人もいる。私はそこまで言われると賛成できないが、たしかに面白い実験は、人間心理を説得力豊かに暴露してくれる。それを面白いと思える人には、ダン・アエリエリーの全ての本は面白い。 ごまかしと先送り とは言え「シゴタノ!」としての興味は心理実験のデザインの妙にはない。あくまで仕事を進める上での心理に私の興味は集中する。 ごまかし、とはなんだろう? 心の奥底までそっくりのぞき見られるとすごく恥ずかしいということを、しでかすことがある。ほんのちょっとしたことに過ぎず、他人からみたらさほどのことと