様々な経済関係の論文・論説・書籍・公表データから感じたことを気軽にメモ風に纏めるブログ。リンク等は御自由に。 不均衡分析の荒野に足を踏み入れると、勢い「合理的期待」と「均衡概念」との関係が気になってくる。毎回寄り道で恐縮だが、今回は伊藤隆敏『不均衡の経済分析』(東洋経済)の補論(いわゆる「合理的期待学派」について)にヒントを得ながら整理してみる。 主に整理する点は、以下の点である。つまり、「合理的期待学派」の主要な結論(政策の無効性や不必要性)は、寧ろ「均衡」の仮定の必然的帰結であり、「合理的期待学派」という呼名はミスリードで、「均衡学派」もしくは「新しい古典派マクロ経済学派」と呼ぶべきであること、ということだ。あわせて均衡と不均衡の含意についても少しふれてみよう。 1.「合理的期待」について 古典的なサージェント=ウォレスの論文では、合理的期待と自然失業率仮説を組み合わせたモデルに基づい