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ブックマーク / lost2decades.blogspot.com (5)

  • 「合理的期待学派」について

    様々な経済関係の論文・論説・書籍・公表データから感じたことを気軽にメモ風に纏めるブログ。リンク等は御自由に。 不均衡分析の荒野に足を踏み入れると、勢い「合理的期待」と「均衡概念」との関係が気になってくる。毎回寄り道で恐縮だが、今回は伊藤隆敏『不均衡の経済分析』(東洋経済)の補論(いわゆる「合理的期待学派」について)にヒントを得ながら整理してみる。 主に整理する点は、以下の点である。つまり、「合理的期待学派」の主要な結論(政策の無効性や不必要性)は、寧ろ「均衡」の仮定の必然的帰結であり、「合理的期待学派」という呼名はミスリードで、「均衡学派」もしくは「新しい古典派マクロ経済学派」と呼ぶべきであること、ということだ。あわせて均衡と不均衡の含意についても少しふれてみよう。 1.「合理的期待」について 古典的なサージェント=ウォレスの論文では、合理的期待と自然失業率仮説を組み合わせたモデルに基づい

  • 「ケインズの経済学」とは何か?(その1)

    様々な経済関係の論文・論説・書籍・公表データから感じたことを気軽にメモ風に纏めるブログ。リンク等は御自由に。 現実経済は貨幣経済であり、我が国の長期停滞を考える場合に貨幣的現象が大きく影響しているのであれば、貨幣経済に正面から取り組んだケインズ自身の著作を再検討することが必要だろう。そして「ケインズの経済学」以後のマクロ経済学の潮流は、一般均衡理論の中における「貨幣」の位置づけを巡って展開しているようにも思われるのである。New KeynesianモデルがRBCモデルに硬直性を付加したものという見方は、まさに以下で見るケインジアンの反革命が繰り返し現れていると見ることもできるのではないだろうか。 以下では、小手調べに花輪俊哉監修『ケインズ経済学の再評価』の中から花輪俊哉氏による簡潔なまとめ(序:ケインズ経済学の再評価をめぐって)の印象に残った部分を纏めてみることにしよう。 1.異端の書『一

  • 田中秀臣『デフレ不況 日本銀行の大罪』を読む

    様々な経済関係の論文・論説・書籍・公表データから感じたことを気軽にメモ風に纏めるブログ。リンク等は御自由に。 我が国がデフレに陥って早10年が経過した。「失われた20年」とも呼ばれる長期停滞に、このデフレが大きな影響を及ぼしていることは言を待たないだろう。書は、デフレに最も大きな影響を与える金融政策、日銀行について論じた書籍である。 まず一読して感じたのは、「デフレ」という現象と「デフレ」に決定的に影響を与える日銀行について様々な視点から論じられていることだ。 第一章は「日銀理論」について手厳しい批判がなされる。デフレに最も影響を及ぼすのが日銀行の金融政策であるにも関わらず、現下のデフレに責任が全く無いと主張する総裁、経済危機やデフレに関する当事者意識のなさ、政府によるデフレ宣言以降の迷走、必要以上にバブルを懸念する政策スタンス、イエスマンが横行する組織、といった特徴が指摘される。

    田中秀臣『デフレ不況 日本銀行の大罪』を読む
  • 量的緩和は実体経済指標を統計的に有意に刺激する 量的金融緩和無効論の批判的検討「特集 デフレ日本の財政金融政策」(週刊金融財政事情2010/03/29号)

    様々な経済関係の論文・論説・書籍・公表データから感じたことを気軽にメモ風に纏めるブログ。リンク等は御自由に。 『週刊金融財政事情』の特集は「デフレ日の財政金融政策」ということで、高橋洋一、松岡幹裕、河野龍太郎の三氏が寄稿している。個人的にはこの三つの論考の中で重要だと感じるのは松岡氏による量的緩和政策の評価である。この論考を中心にまとめてみよう。 さて松岡氏の論考は、表題にも掲げた通り、量的金融緩和無効論に対する批判的検討である。この論考のベースは、浜田・原田編『長期不況の理論と実証 日経済の停滞と金融政策』第二章所収の同氏の論文(日銀理論とは何か:名目短期金利ゼロの下限と金融政策)(同種の論文はESRI DP No.29としても読める)と思われるが、量的金融緩和策無効論についての批判的な検討がなされている。 松岡氏による、量的金融緩和無効論の主張を取り上げてみよう。論説では7つ全ての

  • 岡田靖さんを悼む

    様々な経済関係の論文・論説・書籍・公表データから感じたことを気軽にメモ風に纏めるブログ。リンク等は御自由に。 岡田靖さんが書かれたインサイトコラムについてのエントリをサルベージしてみました。お会いした際に、「ブログで取り上げられたら止めるに止められないじゃないか(笑)」と照れくさそうに声をかけて頂いた事を思い出します。ご参考まで。 岡田靖「景気後退と資源高、両面の課題に直面するFRB」を読む。(2008年3月14日) http://special.reuters.co.jp/contents/insight/index_article.html?storyID=2008-03-07T043007Z_01_TK0080185_RTRIDST_0_ZHAESMA06696.XMLから。 既にご案内のとおり、我が国の為替レートは円高が進み、1ドル=100円ラインを突破する勢いである。これは裏返せ

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