かなり長い間更新が滞ってしまった.個人的事情もあるが,どうやら自分の興味に引きつけてしかモノを考えられなくなっているようで,そこから外れたことについて包括的にまとめる意欲が格段に落ちてしまっているようである. 今回は以前書いた記事の続編ということで更新作業のリハビリとしたい. で,タイトルに戻るが,もちろん古典的答えはイエスである.というのも,開かれた市場に参加することで損をするような人はそもそも参加しないからだ(これを経済学では資源配分機構の「個人合理性」と呼ぶ). だがここではそういうことを問うているのではない.前記事にあるように,「すでに一定数の種類の財が取引していたものが、そこから取引の対象がより広がったら、人々は得するか?」ということを問題にしているのだ. これに対する"positive analysis"としての一般均衡理論の答えはノーである.貿易理論の文脈では負の交易条件効果