2022年の参院選を前に、「なぜタレント議員がこんなに多いのか、日本の有権者はアホなのか舐められているのか」云々と言った言説がまた散見されるようになってきた。この件に関してはメカニズムは比較的明瞭であり、有権者数が多い選挙区——端的に言えば東京や大阪でそうなりやすいだけである。 タレント議員が増えるのは有権者人口が多いから選挙は「私たちの代表」を選ぶ仕組みであり、有権者にとって「私が知っていて親しみを持てる」という要素は「私の代弁者」としての議員として選ぶかどうかの大きなファクターになる。候補者はまず「自分の知名度を高めること」「自分の政策を聞いてもらえる程度には興味を持ってもらえること」が真っ先に必要となってくる。 議席あたりの有権者人口が少ない選挙区では、しばしば候補がフェイス・トゥ・フェイスで対話し知名度を高める手段が取られる。辻立ちを含めたいわゆる「ドブ板選挙」というのはその分かり
2022年6月24日、日経ビジネスオンライン時代から長くご執筆をいただいてきたコラムニスト、小田嶋隆さんがお亡くなりになりました。 今回は、小田嶋さんに近しい方々にいただいた寄稿を掲載して、皆さんと一緒に偲びたいと思います。 最初は、日経ビジネスに小田嶋隆さんをご紹介くださったジャーナリスト、清野由美さんです。 追悼、小田嶋隆さんへ ついにこの時が来てしまった。 小田嶋さんが脳梗塞で入院された時から、ずっと、はらはらと過ごしてきた。編集Yこと、日経ビジネスの山中浩之さんから電話の着信があると、覚悟を決めて出るのが習いになっていた。小田嶋さん本人の美学から、逐一の病状はうかがっていなかったが、じわじわと砂の落ちる音は伝え聞いていた。 私にとっては、昨秋「中央公論」で小田嶋さんとオバタカズユキさんの対談の仕切り役をした時が、今生のお別れとなった。幾度かの入院治療のインターバルのタイミングで、身
20年ほど前に性についての倫理を主題にした論集に「セックスワーク」についての寄稿を求められた。まったく不得手な論件だったけれども、苦心して書いた。なんという本だったか忘れてしまった。たしか岩波書店から出た論集だと思うけれども、もう手元にない。 考えていることは昔と変わらない。今はもうこんなにきつい書き方はしないと思うけれど。 はじめに 最初に正直に申し上げるが、私自身は、セックスワークについて専門的に考究したこともないし、ぜひとも具申したいような個人的意見があるわけでもない。ときどき、それに関する文章を読むが、数頁(場合によっては数行)読んだだけで気持ちが沈んできて、本を閉じてしまう。困ったものではあるが、私を蝕むこの疲労感は、必ずしも個人的なものとは思われない。 私の見るところ、この問題については、どなたの言っていることにも「一理」ある。ただし、「一理しかない」。異論と折り合い、より広範
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