ブックマーク / blog.tatsuru.com (25)

  • 岸田政権は何をしようとしているのか - 内田樹の研究室

    ある媒体からインタビューのオファーがあった。岸田政権の新年度予算成立を受けて、「なぜ政権はこれほど性急に防衛予算の拡大に進むのか」について訊かれたので、次のように答えた。 今回の防衛費増額の背景にあるのは岸田政権の支持基盤の弱さだと思う。 彼にとって喫緊の課題は二つだけである。一つは国内の自民党の鉄板の支持層の期待を裏切らないこと。一つは米国に徹底的に追随すること。日の将来についての自前のビジョンは彼にはない。 今回の防衛予算や防衛費をGDP比2%に積み上げるのも、米国が北大西洋条約機構(NATO)に求める水準に足並みをそろえるためであって、日の発意ではない。日が自国の安全保障戦略について熟慮して、必要経費を積算した結果、「この数字しかない」と言ってでてきた数字ではない。アメリカから言われた数字をそのまま腹話術の人形のように繰り返しているだけである。 国民がこの大きな増額にそれほど違

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    kurokawada 2023/04/02
    「安全保障戦略は米国が起案する。日本政府はそれを弱々しく押し戻すか、丸呑みする。」これについてはその通り。日米安全保障条約という”裏憲法”がある限りそうなる。条約を破棄する術はないのでずっとこのまま。
  • セックスワーク-「セックスというお仕事」と自己決定権 - 内田樹の研究室

    20年ほど前に性についての倫理を主題にした論集に「セックスワーク」についての寄稿を求められた。まったく不得手な論件だったけれども、苦心して書いた。なんというだったか忘れてしまった。たしか岩波書店から出た論集だと思うけれども、もう手元にない。 考えていることは昔と変わらない。今はもうこんなにきつい書き方はしないと思うけれど。 はじめに 最初に正直に申し上げるが、私自身は、セックスワークについて専門的に考究したこともないし、ぜひとも具申したいような個人的意見があるわけでもない。ときどき、それに関する文章を読むが、数頁(場合によっては数行)読んだだけで気持ちが沈んできて、を閉じてしまう。困ったものではあるが、私を蝕むこの疲労感は、必ずしも個人的なものとは思われない。 私の見るところ、この問題については、どなたの言っていることにも「一理」ある。ただし、「一理しかない」。異論と折り合い、より広範

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    kurokawada 2022/07/02
    身体の尊厳ってかつて河合隼雄が「売春は魂に良くない」と言っていたことと同じに見える。論理では否定できなかったと。
  • 大学院の変容・貧乏シフト - 内田樹の研究室

    毎月ある地方紙にエッセイを寄稿している。これは8月分。 人口当たりの修士・博士号取得者が主要国で日だけ減っていることが文科省の調査で判明した。これまでも海外メディアからは日の大学の学術的生産力の低下が指摘されてきたが、大学院進学者数でも、先進国の中でただ一国の「独り負け」で、日の知的劣化に歯止めがかからなくなってきている。 人口当たりの学位取得者数を2014~17年度と08年度で比べると、修士号は、中国が1.55倍、フランスが1.27倍。日だけが0.97倍と微減。博士号は、韓国が1.46倍、イギリスが1.23倍。日だけが0.90倍と数を減らした。 当然だと思う。さまざまな理由が指摘されているけれど、一言で言えば「大学院というところが暗く、いじけた場所になった」からである。若くて元気な人間なら、せっかくの青春をそんなところで過ごしたくはない。 と書いておいてすぐに前言撤回するのも気

    kurokawada
    kurokawada 2018/09/10
    昔は博士から大学の常勤教員になれなくても、高校教員の道や、予備校教員でなんとか食っていけた。今はそういう逃げ道が極端に細くなっている。
  • 米朝戦争のあと - 内田樹の研究室

    7月に、ある雑誌のインタビューで、米空母の半島接近で、北朝鮮アメリカの間で戦端が開かれる可能性はあるでしょうか?という質問が出ました。 戦争が始まる可能性はあるのか。あるとしたら、どういうかたちになるのか。その後何が起こるのかについて、そのときこんなことを申し上げました。 米朝戦争ということになれば、アメリカはすぐにICBMを打ち込んで、北朝鮮は消滅することになると思います。 でも、北朝鮮が消滅する規模の核攻撃をしたら、韓国中国ロシアにまで放射性物質が拡散する(日にも、もちろん)。朝鮮半島や沿海州、中国東北部の一部が居住不能になるような場合、アメリカはその責任をとれるでしょうか。 空母にミサイルが当たったので、その報復に国を一つ消滅させましたというのは、いくらなんでも収支勘定が合いません。人口2400万人の国一つを消滅させたというようなことは、さすがに秦の始皇帝もナポレオンもやって

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    kurokawada 2017/09/04
    「菊と刀」の日本人類型はそっくりそのままアメリカ人にもあてはまることばかり
  • なぜトランプ政権のスタッフは嘘をつくのか? - 内田樹の研究室

    というタイトルの記事が眼に止まったので、訳したみた。なかなか面白い。 Why Trump's staff is lying? Bloomberg View 23 Jan 2017 by Taylor Cowen 発足したばかりのトランプ政権のもっとも際立った特徴の一つは嘘の政治的利用である。先週話題になったのは、ドナルド・トランプの報道担当官ショーン・スパイサーが「トランプは就任演説でアメリカ史上最多の聴衆を集めた」という明らかな虚偽を申し立てたことであった。この事件をてがかりに、リーダーが自分の部下に嘘を言わせるとき、彼は何をしようとしているのかについて考えてみたい。 誰の目にも明らかなことは、この指導者が大衆をミスリードしようとしており、彼の部下たちにも同じことをさせようとしているということである。多くの市民は事後にファクト・チェックなどしないので、大衆をミスリードすることは別に難しい

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    kurokawada 2017/01/25
    「多くのアメリカ人、とりわけトランプ支持者たちは、エスタブリッシュメントの口から出る「リファインされた」嘘よりも、トランプのがさつな嘘の方をより快適に感じるということがある」
  • オバマとウィルソンの「悲劇」 - 内田樹の研究室

    オバマ大統領がノーベル平和賞を受賞したのはもう6年も前の話だ。 今の若い人にはその事実さえ知らない人がいるだろう。 オバマはもうひとりの大統領と歴史的条件が似ている。そのことについて当時ある媒体に寄稿した。ここに書いたアメリカの「国家戦略」についての私の意見は今も変わらない。 バラク・オバマ大統領が「核なき世界」を提唱した功績によってノーベル平和賞を受賞した。08年7月、大統領候補に内定していた段階でオバマはベルリンで「核兵器のない世界をめざす」と演説して、世界を驚嘆させ、大統領就任後の4月、プラハ演説で、「核なき世界」構想を正式表明し、国連安保理の議決まで取り付けた。ノーベル平和賞はこの「理想的行動」に対するものである。 バラク大統領のノーベル平和賞受賞に対して、アメリカ国内ではただちに批判の声が上がった。保守勢力からの「アメリカを去勢するのか」というような批判は当然として、リベラル派か

    kurokawada
    kurokawada 2015/08/16
    国際連盟参加の否決については、ウィルソンが提案された妥協案をことごとく撥ね付け、しまいには調整にあたっていた最良の助言者かつ友人のハウス大佐を裏切者よばわりするほど意固地になったいたことも大きい。
  • 東京新聞のロングヴァージョン「選挙の総括」 - 内田樹の研究室

    東京新聞のインタビューで選挙の総括をした。ラフの原稿が届いたのだが、締め切りに気づかず、リタッチしていたら、もう掲載された後だった。 せっかく書いたので、ここに再録する。 今回の選挙で有権者が示した判断は「判断保留」ということでした。エコノミストたちのあるものは経済指標は悪化しているといい、与党はどんどん良くなっていると言う。どちらのデータ解釈が真実なのかは私たち素人には判定できません。ですから、有権者は判断を保留した。いずれ判断できる時点まで、今は「中腰」の姿勢で見守っているという感じだと思います。 有権者数を分母にした全国の比例代表の得票数でみれば、自民党は1770万票で、全有権者の17%にすぎません。それを「圧勝」と表現するのは不適切でしょう。 戦後最低の投票率が意味するのは「政権の政策の成否の結果が出るまで、もう少し待つ」という有権者の「中腰のまま、大きな変化を望まない」傾向です。

    kurokawada
    kurokawada 2014/12/20
    生存ための最優先事も金でありましょう
  • グローバリズムと英語教育 - 内田樹の研究室

    「グローバリズムと英語教育」というタイトルの文章をある媒体に書いた。英語教育専門の媒体なので、たぶんふつうの方は読む機会がないだろうと思うのでここに採録する。 少し前にある雑誌から「子供を中等教育から海外留学させることがブームになっている」という特集を組むので意見を聴きたいと言ってきた。そういう人がいるとは聞き知っていたが、特集を組むほどの拡がりとは知らなかった。 聞けば、富裕層は欧米の寄宿学校へ子供を送り、それほど富裕でもない層ではアジア諸国に移住して子弟をインターナショナル・スクールに通わせ、父は単身日に残って働いて送金するというかたちが選好されているそうである。 半信半疑だったが、その後バリ島に行ったとき、現地の日人の方からバリ島のインターナショナルスクールに日人の母子を誘導する計画があるという話を聴いて得心した。なるほど、そういう時代になったのだ。 これが意味するのは、親たち

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    kurokawada 2014/09/04
    英語を数学と入れ替えても通じてしまう記事。数学も言語の一種だけれども。
  • 就活についてのインタビュー - 内田樹の研究室

    朝日新聞デジタルというところからインタビューを受けた。 お題は「就活」。 「就活なんか、するな。卒業するまでは大学生として大学での活動に全力を尽くし、卒業してから、その先のことは考えなさい」というのが私の年来の主張である。 今していることをおざなりにして「ここではない場所で、あなたではない他の人たちとする仕事」に前のめりになっているような人間をあなたは重用する気になるか。 私はならない。 そんな人間はどこにいっても使い物にならないということを経験的に知っているからである。 でも、同意してくれる人はきわめて少ない。 マスメディア上では「ゼロ」である。 珍しく朝日新聞(ただしWEB版)からこの件でお座敷がかかった。 でも、それは「息子が内田樹の書いたものを読んで『就活をやめる』と言い出したので、ちょっと腹を立てた母親」がインタビュアーという、ちょっと不思議な趣向のものであった。 インタビュアー

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    kurokawada 2013/01/12
    内田さんが新卒年齢だった時代は、今よりもずっと就職が容易だった時代でしょう。人文系大学院に進んでも今よりもずっと常勤研究職に就きやすかったし、しくじっても高校教員という逃げ道がまだ太かった時代。
  • コンビニ化する大学と知性の危機について - 内田樹の研究室

    田中大臣の「問題提起」を承けて、大学設置基準の見直し、「総量規制」についての議論が始まった。 不認可そのものは失着だが、「大学はなぜこんなに多いのか?」という問いが前景化されたのは、よいことである。 ものごとはできるだけラディカルに、根底的に論じる方がいい。 議論の基礎資料として、まず大学数の推移だけ抑えておこう。 日の大学数は1949年で、国立68校、公立18校、私立92校、計178校。 私が大学に入学した1970年で、国立75校、公立33校、私立274校、計382校。 設置基準が大綱化された1991年で、国立97校、公立39校、私立378校、計514校。 そして、2011年度で、国立86校、公立95校、私立594公立。計780校。 ほぼ20年ごとの大学数推移をみるとわかることがある。 第一期(いわゆる「駅弁大学」の草創期)に、大学数は20年間で204校、214%増加した。 これは高度

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    kurokawada 2012/11/17
    都市部大規模私大(早慶MARCH関関同立など)は、学生募集の点では、不況下にもかかわらず好調。
  • 「学力と階層」解説 - 内田樹の研究室

    苅谷剛彦さんの『学力と階層』が朝日文庫から文庫化されて出た。その解説を書いた。 苅谷さんの「意欲格差」や「学習資」というアイディアに私はつよい影響を受けており、『下流志向』や『街場の教育論』で展開した考想は苅谷さんの『階層化日教育危機』がなければ書かれなかったはずのものである。 その感謝をこめて書いた解説である。とりあえずこれを読んでから、書店に走ってください。 最初に読んだ苅谷剛彦さんのは『階層化日教育危機』で、その頁を開いたのは、講演のために東京から千葉に向かう総武線の車内でのことだった。手に赤鉛筆を持って、傍線を引きながら読み進んだ。しだいに赤線が増えてきて、ついに一頁全体が真っ赤になったころに、降りる駅についた。を閉じるときに、文字通り「後ろ髪を引かれる」思いがしたことを、駅前の寒空とともに身体がまだ記憶している。 日教育危機の実相について、私の現場の実感とこれほ

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    kurokawada 2012/08/09
    1970年代でも現在でも、東大合格者の保護者の7割以上が上層ノンマニュアル(医師、弁護士、大学教授などの専門職、大企業や官公庁管理職、中小企業経営者など)なので、基本的な構造は変わっていない。
  • 雇用と競争について - 内田樹の研究室

    フェリスへの行き帰りの新幹線車中で、下村治『日は悪くない、悪いのはアメリカだ』(文春文庫)を読む。 先日、平川克美君に勧められて、これと『日経済成長論』を買った。 下村治は明治生まれの大蔵官僚で、池田勇人のブレーンとして、所得倍増計画と高度成長の政策的基礎づけをした人である。 1987年のだから、24年前、バブル経済の初期、アメリカがレーガノミックスで「双子の赤字」が膨れあがり、日では中曾根首相が「国民一人100ドル外貨を消費しよう」と輸出過剰を抑制しようとしていた時代のである。 24年前に書かれた経済分析のが、四半世紀を経てなおリーダブルであるということにまず驚かされる。 リーダブルであるのは、(リーマンショックによるアメリカ経済の崩壊を含めて)下村が指摘したとおりに国際経済が推移したからである。 これだけ長い射程で日米経済のありようを見通せたのは、下村のものを見る眼がきちん

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    kurokawada 2011/10/20
    「あれほど「競争力をつけろ」とがみがみ言い聞かせて来たのに、自己努力が足りなかった連中にはそれにふさわしい罰(列島からでられず、貧苦に苦しむという罰)が下るのは「しかたがない」と思っている」
  • 格差と若者の非活動性について - 内田樹の研究室

    ある媒体から若者の労働観についてアンケートを受けた。 みじかい回答を期待していたはずだが、やたら長くなってしまったので、たぶんこのままでは掲載されないだろう。 自分としてはたいせつなことを書いたつもりなので、ここに転載して、諸賢のご叱正を乞うのである。 Q1.現在、世界では、経済格差(世代間格差ではなく、金持ちとそうではない人との格差)や社会への不満に対して、多くの若者たちが声を上げ、デモを起こし、自分たちの意見を社会に訴えようと行動しています。翻って日ではここ数十年、目に見える形での若者の社会的行動はほとんど見られません。これだけ若者たちにしわ寄せが行く社会になっているのに、そして政策的にも若年層に不利な方向で進んでいるのに、若者たちはなぜ、社会に対して何かを訴えたり行動したりしないのでしょうか? それは特に不満を感じていないからなのか、それともそうした行動に対して冷めているのか。ある

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    kurokawada 2011/10/18
    「彼らが教え込まれたのは「能力のあるもの、努力をしたものはそれにふさわしい報酬を受け取る権利がある」「能力のないもの、努力を怠ったものはそれにふさわしい罰を受けるべきだ」という「人参と鞭」の教育戦略」
  • 情報リテラシーについて - 内田樹の研究室

    朝日新聞の「紙面批評」に書いたものを再録する。 長すぎたので、紙では数行削られているが、これがオリジナル。 「情報格差社会」 情報格差が拡大している。一方に良質の情報を選択的に豊かに享受している「情報貴族」階層がおり、他方に良質な情報とジャンクな情報が区別できない「情報難民」階層がいる。その格差は急速に拡大しつつあり、悪くするとある種の「情報の無政府状態」が出現しかねないという予感がする。このような事態が出来した理由について考えたい。 少し前まで、朝日、読売、毎日などの全国紙が総計数千万人の読者を誇っていた時代、情報資源の分配は「一億総中流」的であった。市民たちは右から左までのいずれかの全国紙の社説に自分の意見に近い言説を見いだすことができた。国民の過半が「なんとか折り合いのつく範囲」のオピニオンのうちに収まっていたのである。これは世界史的に見ても、かなり希有な事例ではないかと思う。 欧

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    kurokawada 2011/09/17
    「「私が知っていること」は「誰でもが当然知らなければならないこと」であり、「私が知らないこと」は「知るに値しないこと」である」
  • 兵站と局所合理性について - 内田樹の研究室

    兵站についてツイッターに昨日少し思うことを書いた。 まず、それを再録しておく。 昨日言い忘れたことのひとつを思い出しました。logistics のこと。兵站学。義は「輸送、宿営、糧、武器、人馬の補給管理、傷病者の処置などに関する軍事科学の一分野」。日陸軍は伝統的に兵站を軽視したことで知られています。 司馬遼太郎が書いていましたが、日露戦争のとき、兵士は数日分の糧しか持たされず前線へ送られたそうです。「あとは現地で調達(強奪)せよ」ということです。伝統的に日陸軍はそうだった。 今回の震災の危機管理を見て、「これは日陸軍だ」と思いました。 「輜重輸卒が兵隊ならば 蝶々トンボも鳥のうち」という戯れ歌のうちに大日帝国戦争指導部の兵站軽視は反映していますが、同じことが今も続いている。前線の「兵士」の活躍は大きく報じるけれど、それを支える兵站の仕事を高く評価する習慣はない。だから、みんな

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    kurokawada 2011/03/25
    帝国陸軍では作戦屋閥が跋扈し、兵站・通信・情報部門は軽視されてました
  • 立国の道すじについて - 内田樹の研究室

    昨日の平松市長を囲む会の最初の1時間は寺島実郎さん(大阪市特別顧問)の講演会。 寺島さんはスケールの大きい話を「常識的」という節度を超えずに話すことができる珍しい知性である。 『街場の中国論』を書いたときは寺島さんの『大中華圏』(岩波書店、2004)にずいぶんお世話になった。 だから、昨日の講演もとても楽しみにしていた。 期待とおり、1時間余、たいへんインパクトのあるお話を伺った。忘れないうちに、たいせつなポイントを記録しておく。 メディアの一般の論調とずいぶん温度差があるのは次の二点 (1) 日の21世紀の外交戦略・経済戦略のメインターゲットは欧米ではなく、大中華圏(中国、香港、台湾、シンガポール)と韓国である。 (2) 日の経済的・文化的なポテンシャルはきわめて高いが、それを適切に発現するためのシステムは整備されていない。 私はどちらの論点についても寺島さんと同意見である。 寺島さ

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    kurokawada 2010/11/09
    「英語ができるようになるべき」と唱えている人の多くは「経済競争を勝ち抜くため」「生き残るため」という理由で脅しをかけてきますね
  • スーパークールな一夕 - 内田樹の研究室

    新型インフルエンザ・リスクコミュニケーション・ワークショップというところのシンポジウムにお呼ばれして、感染症の専門のドクターの方たちと「リスク・コミュニケーション」についてセッション。 ご一緒したのは、神戸大学大路剛、国立感染症研究所の具芳明、神戸医療センター中央市民病院の林三千雄、神戸保健所の白井千香、近畿医療福祉大学の勝田吉彰、司会は神戸大学医学部の岩田健太郎の諸先生がた。 いや、驚きましたね。 みんな「話が早い」ので。 かなりの早口で、かつ理路がはっきりしている。 「なんだかよくわからないことをごにょごにょ言う」という態度がほとんど生理的に忌避されている。 岩田先生は去年の 8 月に医学書院の仕事ではじめてお会いして、それからパートナーの土井朝子先生ともども何度かご一緒している。「私が会った中でいちばん頭の回転の速い人」のひとりである(横にいて息を潜めていると「クイ〜ン」と頭の中で何

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    kurokawada 2010/09/03
    コトが実際に起こってしまったときに「ほうら、言わんこっちゃない」みたいな言説を吐かない専門家は、確かに尊敬できる。経済・防衛・防災問題などで、そこまで自制心を発揮できる人がどれほどいるか、、、
  • 英語嫌いを作る方法 - 内田樹の研究室

    電話取材で英語社内公用語論についてコメントを求められる。 必ず失敗するだろうと予言する。 英語を社内公用語にするということは、英語運用能力と年収や地位の相関性が高まるということである。 とりあえず英語ができない人間は、どれほど仕事ができても、幹部には登用されない。なにしろ会議に出ても、みんなが何を話しているのかわからないんだから。 そのような人々は会社を移らざるを得ない。 「仕事はできるが英語はできない」という人間を排除して、「仕事はできないが英語はできる」という人間を残した企業がそれによってアクティヴィティを高めるであろうという見通しに私は与さない。 現に、英語運用能力と「報償」の相関をダイレクトなものにしたことによって、日人の英語運用能力の劣化は生じたと私は考えている。 現在の日の大学生の英語運用能力の劣化は著しい。 たぶん現在、日の大学入学生の半数近くは中学二年程度の文法知識さ

    kurokawada
    kurokawada 2010/07/22
    高校入試でも大学入試でも、英語が課せられないところはまずない。英語は必須入試科目(しかも英語は配点が大きかったりする)であるという切実性があるのに、それでも学びへの動機づけにはならないと。
  • オピニオン・リーダーなんかになりたくない - 内田樹の研究室

    読売新聞の N 田さんが『日辺境論』の取材に来る。 N 田さんはうちの奥さんの KC 中高部のときの同級生である。 『日辺境論』をどういう経緯で書くことになったのか、その状況的な意味は何であるのかといったことをお訊ねされる。 もうあちこちで繰り返していることであるけれど、このを書いたのは「年を取った」からである。 年を取らないとできないことがある。 自分自身の愚鈍さや邪悪さを腑分けし吟味するというような仕事はその一つである。 若いときにこれをやると、たちまちエンドレスの自己嫌悪と自己告発になってしまう。 人が誠実であればあるほど、うんざりするような自虐の文章が綴られる。 「私の愚鈍さと邪悪さを訳知り顔で断罪しているこの『私』なるものの審問者としての適切性は一体誰が担保しているのだ?」というような無限後退に陥るのがオチである。 だから若いときはあまり反省しないほうがよろしいといつも申

    kurokawada
    kurokawada 2010/02/02
    「欠点とその人の長所はゼロサム的に一体をなしている」
  • 福翁の「はげしい」勉強法 (内田樹の研究室)

    文部科学省は22日、13年度の新入生から実施する高校の学習指導要領の改訂案を発表した。「英語の授業は英語で行うのが基」と明記し、教える英単語数も4割増とする。 高校の改訂案では英語で教える標準的な単語数が1300語から1800語に増加。同様に増える中学とあわせて3千語となる。中高で2400語だった前回改訂の前をさらに上回り、「中国韓国教育基準並みになる」という。 改訂案は「授業は英語で」を初めてうたった。長年の批判を踏まえ「使える英語」の習得を目指すという。(12月22日朝日新聞) 水村美苗さんの『日語が亡びるとき』を読んで、「英語の言語的一元支配」が「現地語文化」をどのように滅ぼすことになるのかについて暗い予測をしているときに、こういう記事を読まされると、ほんとうに気が滅入る。 すでに現在の日の高校生の英語学力は壊滅的なレベルにある。 それは「文法、訳読中心の授業のせいで、オー

    kurokawada
    kurokawada 2008/12/25
    ビジネス誌や啓発本も「英語・簿記会計はキャリアアップや生き残りのために重要」とか煽りまくるから、、、、、