text & photo:上野太朗 (Taro Ueno) AUTOCAR編集部に新卒採用され、1年が経とうとしていた平成生まれの男、上野太朗の一大決心。大借金の末に中古ポルシェを買うことにした。夢にまで見た、順風満帆のカー・ライフとなるか、あるいは地獄へ一直線か? どうか、あたたかく長い目で見守ってください。 第1話:空冷ポルシェに打ちのめされる 1年前、AUTOCARの編集部に入社した。 ひとりの先輩が白いポルシェ911(930型のSC)に乗っていた。 30歳半ばに満たない先輩。 仕事終わりの「乗ってく?」の一言に、 興奮を必死に隠しながら助手席に腰をおろした。 何てったって、憧れのポルシェである。 硬いものと硬いものが噛みあうような バシャン!という音とともにドアを閉じると、 コックピットはまるで真空になったかのように 耳がツンとなり、周囲の人の話し声や足音が遠のいた。