ITは一般的に効率化やコストカットのツールと考えられているが、日本の場合はむしろ無駄や過剰さの中にそのポテンシャルを秘めているという宇野常寛氏。日本のIT産業を渡り歩いてきた楽天・尾原氏との対談の中で、日本のインターネットの未来を探る。 「夜の世界」と「昼の世界」 尾原(以下、尾):おかげさまで本(『ITビジネスの原理』)が出来上がりました。ありがとうございます。今回の出版を含めいろいろな活動をするなかで、一番僕が勇気づけられた言葉は宇野さんが編集長である『PLANETS vol.8』のテーマの一つだった「夜の世界」なんですよね。あれから1年以上経っているので、宇野さんの中でこのテーマがどう変わっていっているのかというところから話を始められればと思います。 宇野(以下、宇): そうですね。「夜の世界」というのは、僕と濱野智史の共著である『希望論』という本のあとがきで、濱野が書いている「昼の