ブックマーク / cruel.hatenablog.com (44)

  • ラヴジョイ『存在の大いなる連鎖』第9講:存在の連鎖の時間化 (これで全部終わり!) - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    はいはい、ちょっとだけ残すのもいやだったので、やってしまいましたよ。 ラヴジョイ『存在の大いなる連鎖』全訳 (pdf、3.3MB) これまでずっと続けてきたラヴジョイ、これで注も含めて全訳あげました。詩とか、長々しい引用とかはあまりに面倒なので訳しておりませんが、詩は苦労してそれっぽく訳したところで、何か追加でわかるわけではないし、引用部分も決して追加情報があるわけではない。文中でラヴジョイが語ったことの裏付けでしかないので、まあ許しなさい。 cruel.hatenablog.com これで一通り訳し終わったが、もちろん内部利用用なのでみなさん勝手に読んではいけませんよ。 9章:存在の連鎖の時間化 さて残っていた第9章は、存在の大いなる連鎖の時間化、というもの。ここはそれなりにおもしろい。が、テーマは簡単。静的な存在の連鎖/充満の原理は、ライプニッツ&スピノザの章で見たように、決定論的な世

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  • ラヴジョイ『存在の大いなる連鎖』の最終講:存在の連鎖は破綻した無意味な思想 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    ラヴジョイ『存在の大いなる連鎖』の翻訳を始めた話はした。 cruel.hatenablog.com 素直に第2講を初めて、半分くらいはおわっているんだけれど、そもそもこの話がどこへ行くのか知りたくて (はい、推理小説もまず最後を読むタイプです)、最後の第11講をあげてしまいました。 ラヴジョイ『存在の大いなる連鎖』第11講 (最終回) もちろん、このpdfを読むとそれなりにウダウダしい。だが、そこで言われていることは、第1講と同じでとてもシンプルではある。それはつまり、以下の通り: 「存在の連鎖」という観念は最終的に、二千年かけて詰めていったらボロボロでまったく整合性がないことが明らかになった。 だから破綻して、すると一気に忘れられてしまった。 思想そのものの現代的な価値はまったくない。 ただこういう変なものにハマる精神の働き (すでに蒸し返すバカも出てる) の記録という意味はあるかも。

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  • ラヴジョイ『存在の大いなる連鎖』 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    その昔、荒俣宏だったかで、ラヴジョイ『存在の大いなる連鎖』をほめていて、その後高山宏が、ニコルソンとかの紹介で観念史をいろいろもてはやしていた頃に、読もうかと思って邦訳を買って取りかかった。 存在の大いなる連鎖 (ちくま学芸文庫 ラ 10-1) 作者:アーサー・O. ラヴジョイ筑摩書房Amazon が、これ当にひどい翻訳で、何を言っているのかさっぱりわからない。で、原書を見てみたら、なんだ、ずっとわかりやすいじゃないか。 訳者はおそらく、著者が何を言っているのかまったく理解できていなかったと思う。最初の一章をまず訳してみたので、まあ暇な人は読んで見てくださいな。持っている人は邦訳版と対比してみるのも一興かとは思う。 ラヴジョイ『存在の大いなる連鎖』第1講:観念史とは何か? 言っていることは、全然むずかしくないのだ。人は「すべては一つ!」とか「世界に1人で立ち向かうぜ」とか言うと、理屈もな

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  • オーウェル『1984年』全訳完成 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    Big Brother is Watching YOU!!! 2023年の年頭に宣言した通り、オーウェル『1984年』の全訳をあげました。 genpaku.org html版と、pdf版があるので、まあお好きに。当然、クリエイティブコモンズなので、自由にお使いください。個人的にはいま出版されているどの翻訳よりもいいとは思うが、それは趣味もあるでしょう。商業出版したいとかいうところはあるかなー。なければ自分で電子ブックでも作って売ろう。 追記:商業出版したいというところが出てきたので (まだ確定ではありません) 、いまのうちにダウンロードしたりあちこちにばらまいたりしておくといいと思うぞ。(11/28) ビッグ・ブラザーのポスターでもトップにかざろうかと思ったけれど、みんなおどろおどろしいものばかりで、小説の記述に即したニュートラルなものがあまりないので少しびっくり。 訳していて、いろいろ含

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  • オーウェル『1984年』序文からわかる、ピンチョンのつまらなさとアナクロ性 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    Executive Summary トマス・ピンチョンのオーウェル『1984年』序文は、まったく構造化されず、思いつきを羅列しただけ。何の脈絡も論理の筋もない。しかもその思いつきもつまらないものばかり。唯一見るべきは、「補遺;ニュースピークの原理」が過去形で書かれていることにこめられた希望だけ。だが、考えて見れば、ピンチョンはすべて雑然とした羅列しかできない人ではある。それを複雑な世界の反映となる豊穣な猥雑さだと思ってみんなもてはやしてきた。だが実はそれは、読者側の深読みにすぎないのかもしれない。そしてその深読みが匂わせる陰謀論が意味ありげだった時代——つまり大きな世界構造がしっかりあって、裏の世界が意味をもった60-80年代——にはそれで通ったのに、1990年代以降はもっと露骨な陰謀論が表に出てきてしまい、ピンチョン的な匂わせるだけの陰謀論は無意味になった。それがかれの最近の作品に見られ

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  • ピケティ『資本とイデオロギー』読書ガイド - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    目次: 目次: はじめに 1. 『資とイデオロギー』の概略 1.1 .『21世紀の資』のあらすじ: 1.2. 『資とイデオロギー』の全体的な話 1.3. 『資とイデオロギー』のあらすじ 第I~II部:歴史上の格差レジーム/奴隷社会&植民地 第III部:20世紀の大転換 第IV部(その1):政治的対立の次元再考——問題編 第IV部(その2):政治的対立の次元再考——対策案 (第17章) 第IV部(その3):政治的対立の次元再考——対策案 (その他随所) 2. 通読する必要はないと思う 3. タイプ別読み方 『21世紀の資』の続きとして読みたい人、つまり経済格差とその対応を知りたい人は…… 経済格差への対応を知りたい人は…… 世界各地の格差の変動プロセスの比較に興味ある人は…… 4. 最後に はじめに このたび、ついについに難産の子、ピケティ『資とイデオロギー』が出ました。 資

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  • 再びロシア国民に向けて:プリゴジンの乱の弁解 (6/26) - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    Executive Summary 2023年6月24日に起きた、傭兵団ワグネルグループによる反乱、通称プリゴジンの乱が治まった後の、プーチン大統領玉音放送。社会の団結のおかげで危機を切り抜けられた、これはロシアの分断を図る外部の連中の仕業、その首謀者はすべてわかってやっていた、ワグネルグループの兵士や指揮官も実は首謀者に騙されていただけ、改心したなら正規の軍や公安に入って過ちを償え (!!)、とのこと。 ロシア国民に向けて ロシア国民に再び告ぐ:プリゴジンの乱の弁解 2023年6月26日 22:10 モスクワ、クレムリンにて 友人諸君、 日、改めてロシア国民のみなさんに告ぐ。みなさんの自制、一体性と愛国心に感謝する。この国民的連帯は、あらゆる恫喝、国内騒乱を引き起こそうとするあらゆる試みが失敗を運命づけられていることを示すものである。 繰り返そう。社会と政府の行政法制部門はあらゆる階層

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  • ロシア国民に向けて:プリゴジンの乱を受けたプーチン声明 (6/24) - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    Executive Summary 6月24日、突然起きたプリゴジンの乱で兵がモスクワに迫る中で、プーチン大統領が発した声明。内容は「反乱軍は許さんのよ」ということのみ。 訳しているさなかに、プーチンがサンクトペテルブルクに逃げたという未確認情報……と思ったらプリゴジンは「やっぱやーめた」と兵を引き、ベラルーシに逃げて、その他関係者みんなお咎めなしで、プーチンもまだモスクワにいるともいうし、なんだかよくわからない (ただし、クレムリンの通常の演説などに必ずついている場所の表示がこれにはないことに注意)。 en.kremlin.ru ロシア国民に向けて語るプーチン 2023年6月24日 10:00 ロシア国民のみなさん、軍人諸君、法執行機関、公安サービス、および戦闘位置で戦っている兵士および指揮官諸君——敵の攻撃をはねかえしておりしかもそれを英雄的に行っている——私がこれを知っているのは、昨

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  • 2023年6月 アフリカ代表団とプーチン大統領との会合 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    Executive Summary 2023年6月、アフリカ連合を筆頭に、アフリカ大陸代表として7ヶ国で構成される代表団が、ウクライナロシアを訪問。ウクライナ侵略により生じた糧危機とエネルギー危機でアフリカが苦境に陥っているので、平和を目指す対話路線をプーチンに陳情した。自国の直接的な利害と同時に、アフリカとして主体的にこうした戦争仲裁のような活動を行うのはこれが初めてであり、今後自分たちも国際関係の中で、平和と良好な世界の構築に向けて構築したい、できることがあるならウクライナロシアとの和平に少しでも貢献していきたい、国連憲章に基づく安定した国際秩序を作りたいという決意を述べ、対話と人道支援を訴えた。 これに対してプーチンは、代表団の話を聞き終える手間すらかけず、自分たちは国連憲章に一切違反しておらず、ウクライナの流血クーデーター政権とその飼い主の西側が悪いのであり、糧危機は西側の

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  • 「社会に埋め込まれた経済」で格差を克服? - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    ポラニー『ダホメ王国と奴隷貿易』、Kindle版にして少しお金稼ごうぜと思って、ちょっと見直しておりました。 cruel.hatenablog.com ポラニーがこので言っている「社会に埋め込まれた経済」というのは、ピケティが『資とイデオロギー』(もうすぐ出ます!) でも引き合いに出していて、資主義と市場経済の暴走を許してはいけない、それは格差増大をひたすら肯定して不平等な社会の到来を招いてしまう、経済活動はもっと社会に奉仕するものとして、社会に埋め込まれるべきだ、という主張がポラニーの、特に『大転換』を軸に述べている。 でも今回思ったんだけれど、この議論というのは成り立つんだろうか。ポラニーに準拠する限り、非常に歪んだ議論なのでは? まず一つ。経済が社会に埋め込まれた状況としてこのダホメで挙がっているダホメ社会。これはそんな、格差のない平等社会だったっけ? もちろんちがう。王様が

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  • リックライダー「人と計算機の共生」 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    翻訳中のに、影響力の強い文として出てきたので、座興でやってみた。んー、いまだとそんなにすごい感じではないのと、ChatGPTとか出てきて、人間計算機共生のありかたそのものの、歴史的前提が崩れ始めている感じではある。とはいえ、60年以上前の話だから…… むしろ、この中で出てくる、人間で拡張された機械、という概念の方が妥当性が高いんじゃないかとさえ思う。 人と計算機の共生 Man‑Computer Symbiosis J. C. R. リックライダー 山形浩生訳 (hiyori13@alum.mit.edu) IRE Transactions on Human Factors in Electronics, volume HFE-1, pages 4-11, March 1960 groups.csail.mit.edu 要約 人と計算機の共生は、人と電子計算機との協力的な相互作用の中で、予

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  • プーチン『ロシア人とウクライナ人の歴史的一体性について』(2021) - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    プーチンが、ウクライナ侵略の9ヶ月前に発表した論文、というかアジ文。ウクライナロシアと一体、という文章のように題名だけ見ると思えるが、実際にはウクライナは常にロシアの庇護下にあったし、ロシアが守ってやらないとやってけないぜ、ついでにドンバスとかクリミアとか、ロシア系が多くてみんなロシアになびいているのにウクライナ政府がそれを邪魔してネオナチ国粋主義者が虐殺していて、西側がそれを支援していてけしからん、という文章。 2022年のウクライナ侵略におけるプーチンの考え方を示す資料としてときどき言及されるが、きちんとした訳をみたことがないので (きちんとしていない、機械翻訳以下の訳が東京都市大名誉教授によるものとして存在するようだ) 自分でやりました。翻訳は、クレムリンの公式英訳に基づいている. ロシア語との齟齬があるかもしれないが、チェックしていない. 付記:ロシア大使館の翻訳がすでにあった。

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  • 昔話:ティモシー・リアリーの想い出など - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    ぼくが初めて訳した商業出版は、H・R・ギーガーの画集だったんだけれど、それを出したトレヴィルという西武系の出版社の編集者川合さん (というか彼一人しかいなかった) が「じゃあ是非これもやってください!」と言って翻訳させられたのが、ティモシー・リアリーの『神経政治学』だった。 神経政治学―人類変異の社会生物学 作者:ティモシー・リアリー,ロバート・アントン・ウィルソン,ジョージ・A・クープマントレヴィルAmazon ドラッグやったら脳の回路が活性化して新しい世界が見えるぜ、それでみんなニュータイプになって宇宙にさいくだ! という、まあまぬけもいいところなだったが、一応張り切ってやって、ついでにこれで大学院の学費は自分で稼げるぜ、親の世話にはならないぜ、と大見得を切ったんだが、なんと大学院に入る前に仕上げたのに、実際にが出てお金が入ってくるまでに2年以上かかった。別に訳文にはぜんぜん文句は

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  • ポランニー/イモータン・ジョー/コルナイ:不足の経済と社会権力 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    Executive Summary ポランニー『ダホメ王国と奴隷貿易』は、ダホメでは経済が社会に埋め込まれており、各種交換は社会関係の一環として行われる儀礼でしかない、権力関係の結果として行われるお歳暮やお中元みたいなもの、という描き方をする。だがその見方は片手オチではないか? 各種交換や配布は人々の生存に直結するものであり、その中では、そうした贈与にせよ交換にせよ、そうした行為自体が権力を創り出す。これはコルナイ・ヤーノシュ「不足の政治経済学」の指摘でもある。つまり、そうした経済関係がむしろ社会関係とその権力関係を創り出しているのでは? ニワトリと卵的な面もあるが、社会関係を先に置くのは倒錯ではないのか? 昨日、ポランニー『ダホメ王国と奴隷貿易』の全訳終わった。 cruel.hatenablog.com このは、小さく見れば17-19世紀ギニア海岸での経済システムと、特に奴隷貿易に伴う

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  • プーチン本その2:プーチンご自身『プーチン、自らを語る』:基本文献。ストレートで明解なインタビュー集 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    Executive Summary プーチン他『プーチン、自らを語る』(扶桑社、2000) は、突然ロシア大統領になってどこの馬の骨ともわからなかったプーチンが、生い立ちから大統領としての問題意識までを率直に語ったインタビュー集。幼少期の記述などはこれがほとんど唯一の文献で、他のはこれに対する註釈でしかない。また、まだ隠蔽すべき悪事などがないので、かなり率直かつ正直に語られているし、全部が当ではないとはいえ、一言半句に勘ぐりを入れる必要もなく、ストレートに読める。家族のインタビューも交え、プーチンの全体像をしっかりまとめているし、またチェチェンへの高圧的な態度、反体制ジャーナリストへの冷淡さなどもはっきり出ている。なお英語からの重訳だが、英語版のほうが追加のインタビューを加え、ロシア語版で削除された部分も含んでいることもあり、重訳のデメリットよりはメリットのほうがずっと高いので、懸念に

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  • ロシア帝国300周年記念に寄せて (2022/02/04): ロシア停戦交渉団親分の「帝国バンザイ!」 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    我らが偉大なhicksian 様のこのツイートで紹介されていたブログ記事、とてもおもしろい。 broadstreet.blog この著者はMITのソ連ロシア史教授、エリザベス・ウッズ。プーチンは、ヒル&ガディの現時点ではベストなプーチン伝「プーチンの世界」で紹介されている、「プーチンは歴史の男だ」というまとめを敷衍して、その「歴史」というのがおとぎ話に近いネトウヨ妄想なのだ、という点を指摘している。 プーチンの世界―「皇帝」になった工作員― 作者:フィオナ・ヒル,クリフォード・G・ガディ新潮社Amazon このブログでは、その妄想ぶりについてかなり細かく指摘されているけれど、基的にはこれまでしょっちゅうお目にかかった、大ロシア帝国復活こそが歴史的必然であり、民族の悲願なのであり、それを西側がじゃましくさっておるのよ、という話。いやそれよりひどくて、ロシアは昔から、優しい民主的な共存共栄の

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  • ロシアの攻勢と新世界の到来 (2022/02/26): 侵略成功時のロシアの予定稿 全訳 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    訳者まえがき まちがって公開されたとおぼしき、ロシアウクライナ征服に成功していた場合のロシア国営通信 RIA予定稿の全訳。すぐに引っ込められたが、Wayback Machineにしっかり捕捉されていた。すごい代物。いくらでも言いたいことはあるが、読めば多くの人は同じことを考えるだろうし、ある100年近く前のドイツの人が書いた文章との類似も明らかだとは思う。 以下のツイート経由で存在を知った。ありがとうございます! 1 “The resolution of the Ukraine question.” A mistakenly published Russian article gives us a chilling insight into the neo-imperialist thinking in Russia that drives Putin’s decision to inv

    ロシアの攻勢と新世界の到来 (2022/02/26): 侵略成功時のロシアの予定稿 全訳 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • 『史記』に学ぶべき知識人の役割とは - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    Executive Summary 司馬遷『史記』に登場する焚書坑儒は、儒者どもが体制批判したせいだとされるが、実は穴に埋められた儒者たちにもそうされる十分な原因があったのかもしれない。かつて儒者を厚遇していた始皇帝だが、封禅の儀式のやりかたに結論を出せず、しかも後から揚げ足をとって悪口を述べた儒者の役立たずぶりに呆れた可能性がある。 これは二千年以上の時をこえた現代であっても、儒者=知識人の役割について何かしらの示唆を与えるものかもしれない。いやあ、古典って当にすばらしいですね。 落合『殷』を読んでちょっと興味が向いて『史記』を実際に読み始めておるですよ。 史記 全8巻セット (ちくま学芸文庫) 作者:司馬 遷筑摩書房Amazon 一応歴史記録で話は淡々と進むし、紀ではなぜか各種エピソードが何度か繰り返されて、続きを読んでいるつもりが話が戻っていたりして面らうし、おもしろいからみん

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  • ピケティ『21世紀の資本』: r>g は格差の必要 or 十分条件か? - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    21世紀の資 作者:トマ・ピケティ発売日: 2015/04/27メディア: Kindle版 新年仕事始め前の小ネタ。ツイッターでこんなのみかけたのよ。 このツイ主は、浅田論文を読んでおくことでどういう知見を得るべきなのか、ここで採りあげているネット番組の問題提起に対してそれがどう関係してくるのかは明記していない。けれど、文脈から判断して、これは日で r>g が顕著になってきたことなんか重視すべきじゃない、それで格差なんか増えない、こんなんで騒ぐやつは煽りだ、と言いたいのだろうとぼくは判断する。 さて、この人がツイートないで言及している論文はこれだ。 core.ac.uk ちょっと待った、これ、COREか! ワタクシが座興で訳していたら「金払わないと訳しちゃダメ」と言ってそれを潰しやがった……まあいいや。勝手にやってたことだから仕方ないんだけど。が、閑話休題。 (なんか別物らしい。とばっ

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  • スターリン閣下はお怒りのようです:インタビューの読み方説明 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    付記:なんか多くの人が、これを2020年10月の学術会議がらみの一件に対する批評的な意図を持ったものだと読んでいるようなんだが、ぼくは実はまるでそんなことを考えていたわけではないのだよ。ホント、たまたま出てきただけなのよ。が、もちろんそういう解釈があり得ることはわからなくはない。そして、それが決して的外れな解釈ではないのも事実。でも、それだけですませてしまうにはもったいない。中身の理解と、その時事的な応用は分けないと。山形がある意味でのさばっているのも、一方であり得るほどはのさばっていないのも、実はある種の文書化された状況や力関係の解読は結構うまい一方、まさに以下で書いたような現実の場でのガンつけに異様に鈍感な部分があるからで、そういう時事的な話にヘタに乗れない/乗らないから、なのだ。そしていまの日の環境ではそうした空気の読まなさ/読めなさが、すぐに寒いところ送りにはつながらないどころか

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