ブックマーク / magazine-k.jp (6)

  • 文フリに現代の「文学とは何か」を見た

    11月11日(ポッキーの日)、かねてより見物したいと思っていた「文学フリマ」に参加した。おのぼりさん感覚、文化祭感覚、そしてかつて開いていた僕の屋「フィクショネス」感覚を、存分に味わうことができた。誘っていただいた破船房の仲俣暁生さん(当「マガジン航」の編集発行人)に、まずは感謝する。現場でも仲俣さんは大奮闘なさって、おかげで僕は楽ができた。 開場は12時の予定で、準備は10時からということだったが、僕たちが到着した時(つまり開場2時間前!)には、すでに来場者が行列を作っていた。東京流通センターをフルに使った会場は広かったが、個々のブースは狭かった。破船房もひとつのテーブルを半分だけ使うことができて、そこに仲俣さんや僕のを、なるたけ見栄えよく並べて客を待った。 テーブルの残り半分を占める隣のブースは、11時を過ぎても人が来なかった。大きな段ボールがいくつも積んであるばかりで、他人事なが

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  • 名物ラノベ編集者・三木一馬氏はなぜ独立したか

    現在、ラノベ=ライトノベルは国内の書籍市場においても大きなシェアを占めており、アニメ化・ゲーム化などのメディアミックスも盛んで、海外のファンからも支持を集めている。そんななかでKADOKAWAが擁する国内最大級のラノベレーベルが「電撃文庫」だ。その編集長を務めていた三木一馬氏がエージェント会社を立ち上げ、4月1日に独立した。その狙いやそこにある思いを独占インタビューで聞いた。 作品に寄り添って「媒体」を編集する 「正直管理職が向いていないなという感覚はずいぶん前からあったのですが(笑)、辞めたいという気持ちからの独立では全くないんです」と三木氏はいう。三木氏の今回の決断に大きな影響を与えた人物が三名いるそうだ。一人は、「マガジン航」の読者であれば注目している人物であろうコルクの佐渡島庸平氏。もう一人は、アニメプロデュース会社のジェンコから独立した、エッグファームの大澤信博氏。そして最後の一

    名物ラノベ編集者・三木一馬氏はなぜ独立したか
  • 大学は《自由》だから息苦しい

    なんとも溜息の出るを読んでしまった。 近代日文学を専門とする名古屋大学准教授の日比嘉高『いま、大学で何が起こっているのか』(ひつじ書房、2015・5)は、文部科学省を中心に大学改革の名で現在唱えられている、文学部の縮小・廃止政策や人文社会系不要論に対して、社会全体の自由と多様性の観点から危機感を表明する警世の書である。もとは日比のブログで発表されたものだ。 溜息の原因は、文系学問に対してほとんど敬意のない文科省やその主張を後押しする世の空気感を改めて確認したことも当然ある。ただ、それ以上にがっかりしてしまうのは、『いま、大学で何が起こっているのか』というが、好意的に書けば正論すぎて、率直に書けばフツーすぎて、単純にツマラナイということにある。 急いで断っておかねばならない。私は在野(大学に所属しない)研究者である。それ故、「ツマラナイ」などと書くと、官学者のものなどポジショニング的に

  • 図書館向け電子書籍貸出サービス普及への課題

    11月5日から7日まで、パシフィコ横浜で「第16回図書館総合展」の展示会が開催されました(図書館総合展週間は2日〜8日)。私は6日に行って、一般社団法人電子出版制作・流通協議会(電流協)主催のフォーラム「公共図書館における電子書籍貸出サービスについて」と、展示会場内の取材をしました。以下はそのレポートです。 ポット出版「プラス電書」の試み 電流協のフォーラムでは、11月10日に発売される『電子図書館電子書籍貸出サービス 調査報告2014』(植村八潮 編著、野口武悟 編著、電子出版制作・流通協議会 著/ポット出版)が全員に配布されました。 実はこの、紙版を購入すると電子版が無料で付いてくる「プラス電書」という新サービスに対応しており、帯(内側)に印刷されたクーポンコードを対応電子書店で入力するとダウンロードできます。 同様のサービスには、文教堂の「空飛ぶ棚」(専用アプリ)、三省堂の「デ

  • 台湾がOPDSでやろうとしていること

    台湾の経済部工業局が進める智慧生活應用推動計畫(知的生活応用推進プロジェクト)は、ICT技術の活用による市民の知的生活レベルの向上を目的とした、2010年7月から2013年12月までのプロジェクトである。台湾の行政府である行政院が推し進める電子出版産業発展5カ年計画(2009〜2013)(*1)下で経済部工業局が担当する子計画も、このプロジェクトの中で実行されているようだ。 *1 數位出版產業發展策略與行動計畫(電子出版産業発展策略及び行動計画)のこと。この計画については以下のエントリを参照のこと。 ・台湾の「數位出版產業發展策略與行動計畫(電子出版産業発展策略及び行動計画)」(2010年9月18日) ▲智慧生活應用推動計畫のサイトでは電子書籍などの取り組みが動画で紹介されている。 台湾はプラットフォームの枠を超えた電子書籍の流通を促すため、特定の企業の技術や特許に縛られないオープンスタン

  • 1 本と読書の世界が変わりはじめた

    いま、というのは二十一世紀の最初の十年がたった現在という意味ですが、そのいま、私たちにしたしい読書の世界が大きく変わろうとしている。 そのことを前提としてみとめた上で、この変化を「の電子化やインターネット化に乗りおくれるな、急げ急げ」というようなあわただしい観点からではなく、五千年をこえる歴史をもつ書物史の大きな流れのなかで、できるだけ気長に考えてみたい。 いいかえれば、いまはせいぜい五年か十年の目盛りで考えていることを、百年、さらには千年の目盛りによって考えてみること。そうすれば、いまの変化が一体どれほどの深さや広がりをもつものなのかがわかってくる。いまはまだ完全にはわからなくとも、あるていどの見当はつくだろう。それがここで私がやりたいと思っていることなんです。 でも、これだけでは抽象的すぎて、ちょっとわかりにくいかもしれません。もうすこし具体的にのべておきましょう。 まず「百年の

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