5月12日から、パレスチナ自治区ガザ地区に住む人々の暮らしは変わった。「おはよう。朝食だよ」。私(記者)が拠点としていた宿泊施設の部屋に、管理人のカマル・マシュハラウィさん(22)がピタパン(丸く薄く焼いたパン)を持ってきてくれた。正午過ぎ。昼食の時間帯だった。 ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスとイスラエル軍の戦闘は10日夕から始まった。イスラエル軍による空爆が激しくなったのは11日夜からだ。ガザ市民は爆撃音と死の恐怖に脅え、とても眠ることができない。「どこに(爆弾が)落ちたか分かる?」。カマルさんも一晩中、友人らとメッセージアプリでやり取りするようになった。空爆の勢いが弱まる朝に眠り、昼に目覚める生活に変わった。 ビルや住宅、道路が破壊された。街からは人の姿が消え、スーパーやレストランも営業を中止した。