パソコンで市況を確認する生産農家の1人、菖蒲増喜子さん(80歳)。どの市場でどんな葉っぱが売れているのか独自に判断し、出荷する。その姿はさながら株のトレーダー。「以前は畑をやってたんですが、辛くてね。今はそこに木を植えてます。まさに金のなる木ですわ。こんな楽で楽しい仕事はありません」 庭先のナンテンの葉を収穫する多田峯子さん(78歳)。多田さん宅は標高600mほどの高地にあるため、他の生産農家より出荷時期にズレが出る。そのため希少価値が高まり、高値で売れる。パッキングは葉を1枚1枚吟味するようにより分ける。木のどの葉を取り、どのように見せるか。何気ないようだが、ものすごいノウハウが詰まっているという。 葉っぱがお札に変わる――。こう書くと「狐か狸が化ける昔話か」と一笑に付されるかもしれない。だが本当に「化ける」のだ。 徳島県の山間部にある、人口わずか2000人余の上勝町(かみかつ