中国が対日強硬路線を軌道修正している。 それは7月中旬に訪中した谷内正太郎国家安全保障局長に対する厚遇で明白になった。李克強首相は官僚にすぎない谷内氏を最高指導部がある中南海に招いて会談し、楊潔※国務委員(副首相級)とは政治対話の開催で合意した。異例の対応である。 谷内氏訪中の直前には、中国が9月3日に北京で開く抗日戦争勝利記念行事に安倍晋三首相を招待すると発表した。これらは国会で安全保障関連法案の審議が真っ最中というタイミングである。 中国は法案を批判している。だが、それは表向きに過ぎない。一連の動きには「日中関係を改善したい」という本音がにじみ出ている。 軌道修正は対日関係だけではない。対米関係でも、中国は関係改善を模索する兆しを見せている。たとえば、南シナ海の問題だ。 米国は中国の岩礁埋め立てを強く批判し、偵察機にCNNの取材クルーを乗せて世界に報道させた。すると1カ月後、中国は埋め