高知県東部、太平洋に面したその町の名前は「土佐日記」にも記されています。 「けふは、このなはのとまりにとまりぬ」と、紀貫之が都に帰る旅の途中で宿泊したことを紹介するなど古くから港町として知られてきました。 高知県奈半利(なはり)町。人口はおよそ3000。 マグロの遠洋漁業で発展した1960年代は、漁師たちが体を休める宿舎やスナックなどもあり町には活気がありました。 ところがマグロ漁船が県外に拠点を移すと閑散としていきます。 町長は町の歴史をこう振り返ります。 竹崎町長 「うちみたいな田舎は、まさに典型的な衰退する地方です。果物や野菜、米のブランド化、いろいろ取り組んでもどれも定着には至らず。子どもたちは、高校までは地元で育つけれど、そのあとは都会に行く。高齢化も止まらない。国からの地方交付税を口開けて待っているようなものです」