1月18 マイトトキシン全合成は成るのか カテゴリ:有機化学 今から5年半ほど前、「最後の怪物・マイトトキシン攻略開始」というタイトルの記事を書いたことがあります。マイトトキシンは、分子量3422、環の数が32、不斉炭素の数が98と、生体高分子を除く天然物として最大であり、かつ最強レベルの毒性(タンパク毒を除く)を持った、まさに怪物と称すべき化合物です。その人工的全合成に、何人かの研究者が挑んでいるというお話でした。完成すれば、化学史上に残る金字塔となるのは間違いありません。 マイトトキシン。クリックで拡大 怪物攻略に最も近づいているのは、長らく天然物全合成の第一人者として君臨したK. C. Nicolaou教授です。彼らはすでに、もっと小さなサイズの類縁化合物(といっても十分巨大ですが)であるブレベトキシンA, Bなどの合成に成功しており、これら化合物合成の十分な経験を積んでいます。 ブ