1989年12月、マルタ島でブッシュ米大統領(左)と会談して冷戦を終結させたゴルバチョフソ連共産党書記長(中央)。だがその2か月後、ベーカー米国務長官(右)との会談で「NATO不拡大」の約束はあったのか―― (C)AFP=時事 ウクライナ危機の最大の争点の1つ、「NATO不拡大」。ロシアは西側が冷戦終結時におこなったNATO不拡大の約束が「破られてきた」と主張するが、根拠とされるベーカー・ゴルバチョフ会談はあくまでもドイツ統一の文脈であり議論の対象は旧東ドイツ地域だった。さらにロシアは90年代以降、NATO拡大を容認する「手打ち」を行ってきた。 ロシアとウクライナ、そして米欧との大きな争点の1つはNATO(北大西洋条約機構)の拡大問題である。ロシアはウクライナのNATO加盟、つまりNATOのさらなる拡大に反対であり、NATOはこれ以上拡大しないとの拘束力のある約束を求めている。この背景には