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ブックマーク / healthpolicyhealthecon.com (5)

  • 若い医師の方が担当患者の死亡率が低い

    私たちの最新の論文が5月16日付のBMJ(英国医師会雑誌)に掲載されました。私たちは2011~2014年に内科疾患で入院した65歳以上の患者において、担当医の年齢が患者のアウトカム(死亡率、再入院率、医療費)にどのような影響を与えるのか検証しました。 過去の研究において、年齢が上の医師と若い医師では診療パターンが異なることが示唆されていました。約60つの研究を統合したシステマティック・レビューによると、高齢の医師のほうが若い医師と比べて、医学的知識が少なく、ガイドラインどおりの治療を行わないことが報告されています。しかし、医師の年齢と患者の死亡率などのアウトカムに影響があるかどうかに関しては分かっていませんでした。そこで、私たちは今回、医師の年齢と患者のアウトカムの関係を解析しました。 専門科の違う医師を比較するのを防ぐため、担当医が①ホスピタリスト(入院患者のみを治療する内科医師)と②一

    若い医師の方が担当患者の死亡率が低い
  • なぜ医療に市場原理は通用しないのか?

    このテーマは日における医療の議論でも繰り返し出てきているので説明しておきたいと思います。医療経済学では、医療には市場原理は通用しないことが分かっています。市場原理を導入してもそれほど効率が良くなるわけではなく、社会全体のUtility = Social welfare (国民全体の幸福度みたいな感じでとらえて頂ければ良いと思います)は向上しないことが分かっています。ある意味、医療経済学は医療における市場の失敗(Market failure)を学ぶ学問だと言っても良いかもしれません。日でも過去にも何回も医療に市場原理を導入しようと言う試みがあったと思いますが、医療経済学的にはあまり良い政策ではないと思われます。アメリカのオバマケアでは、民間保険会社と民間医療機関が強大な力を持っていたため社会保険制度や政府による公的医療保険制度を導入することは政治的に不可能であったため、その代わりに「規制

    なぜ医療に市場原理は通用しないのか?
  • 回帰分析②:線形回帰が使えないときに用いる高度な回帰分析方法

    生物統計を学んでいる人の中には、「結果変数が連続変数の時には線形回帰、二項変数(0と1など2つの値しか取らないもの)のときにはロジスティック回帰分析を使うべき」のように1対1対応のお作法のような形で教わった人も多いと思います。一方で、計量経済学で回帰分析を習った人の中には、「最小二乗法(Ordinary Least Square; OLS, 線形回帰)はありとあらゆる場合に使えるベストな方法であるので、結果となる変数の分布に拘わらずOLSを使える」(ちなみに結果変数が二項変数のときにOLSを用いることをLinear probability modelと呼びます)と教わった人もいるでしょう。初心者向けの統計学や計量経済学を読むとこのような説明がされているものが多い印象があります。このような教え方をすれば確かに手っ取り早く手が動かせるようになる(統計解析ソフトウェアを使って解析がはじめられ

    回帰分析②:線形回帰が使えないときに用いる高度な回帰分析方法
    lEDfm4UE
    lEDfm4UE 2016/09/11
  • 回帰分析(その1):回帰分析で交絡因子の影響を取り除く

    学問の分野に関わらず研究をするにあたっては「回帰分析」を避けて通ることはできません。普段から研究やデータ分析に馴染みにある人たちには、このブログでそんな基的なことを解説するの?と思われる人もいるかもしれません。しかし、このブログは通読すれば知識がゼロの状態からでもデータを解析して読み解くのに必要なスキルセットが一通り身につくようになることをゴールにしているので、そのためには回帰分析をおろそかにするわけにはいきません。逆にビジネスをやっている方で、その業界では回帰分析はあまりやられておらず、エクセルのグラフだけで勝負しているようであれば、回帰分析をきちんとできるようになるだけで圧倒的な強みになるはずです。統計解析ソフトできちんと回帰分析して得られたデータが「機関銃」だとすると、エクセルでの解析は「竹やり」みたいなものだからです。いずれにしても数式を理解することよりもコンセプトをきちんと理解

    回帰分析(その1):回帰分析で交絡因子の影響を取り除く
    lEDfm4UE
    lEDfm4UE 2016/09/11
  • プロペンシティスコア(Propensity score; PS)(1)-PSの正しい使い方

    今回は疑似実験(Quasi-experiment)の中でも近年ますます使われるようになってきているプロペンシティスコア(Propensity score; 以下PS)を用いた解析方法を2回に分けてご説明します。アメリカでも日でも、プロペンシティスコアPSはしばしば間違った方法で行われており、そして誤解の多い方法論になります。今回はPSを用いた解析の正しい方法をお話します。PSとは1983年にポール・ローゼンバウムとドナルド・ルービンの2人が発表した解析方法です。PSを理解するのに一番良い教材はこの1983年の論文か、もしくは経済学者のグイド・インベンスと統計学者のルービンが書き2015年に出版された因果推論の教科書になります。PSにはマッチングと層別化がありますが、今回はマッチングを中心にお話したいと思います。ルービンの因果モデルのページを読んで頂ければ分かるように、基的なコンセプトと

    プロペンシティスコア(Propensity score; PS)(1)-PSの正しい使い方
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