弁護士ドットコム 犯罪・刑事事件 無期懲役を狙って新幹線に乗り込んだ22歳の凶行、期待通りの獄中生活に「とても幸福」 死刑に次ぐ刑罰の意味とは
大学への爆破予告や弁護士に対する懲戒請求書を偽造したとして、元東京農工大大学院生の佐藤直被告(23)に対し、東京地裁(福家康史裁判官)は13日、懲役3年の実刑判決を言い渡した。公判で語った動機は「恒心教を広めたかった」。なぜ「恒心教」にのめり込んでいったのか。公判での被告の言葉から探る。 「本当に申し訳なく思っております」 5月にあった被告人質問。黒いスーツにネクタイを身につけた佐藤被告は、こう述べて約10秒間頭を下げた。 被告は23年1月、無職の大熊翔被告(27)=威力業務妨害罪などで公判中=と共謀し、東京音楽大学に爆破予告のファクスを送ったほか、弁護士への懲戒請求書を偽造して提出▽恒心教関係者の自宅マンションに侵入▽アニメ動画など112作品の動画ファイルをファイル共有ソフトに送信して公開、など計五つの事件で起訴された。 被告人質問での話によると、被告は子どものころからパソコンやインター
神戸市北区で2017年、祖父母や近隣住民ら5人を殺傷したとして殺人や殺人未遂などの罪に問われ、一審に続き大阪高裁で無罪を言い渡された被告の男性(32)について、大阪高検が期限までに上告しなかったことが11日、高裁への取材で分かった。心神喪失状態だった疑いがあるとして刑事責任能力を否定した判決が確定した。上告期限は10日だった。 大阪高検の小弓場文彦次席検事は「判決内容を十分に検討したが、適法な上告理由が見いだせなかった」とのコメントを出した。 高裁判決は一審神戸地裁と同様、男性が周囲の人に関し、人間と同じ外見だが自我や意識を持たない「哲学的ゾンビ」とする妄想を信じ、正常な精神作用が機能していない状態で犯行に及んだと指摘した。 男性は17年7月16日、北区の自宅で同居する祖父母=ともに当時(83)=を包丁で突き刺すなどして殺害。母親(59)を金属バットで負傷させ、近くに住む女性=当時(79)
無差別的な殺傷事件を起こしたとされる被告が、法廷で「死刑になりたかった」と語ることが珍しくない。1986年から昨年までの裁判報道で被告が「死刑になりたかった」と述べたと伝えられた成人事件は少なくとも33件ある。なぜ「死刑で死ぬ」ために他者を殺すのか。専門家はその現象を「間接自殺」と呼ぶ。 また、次回「『聞き書き』が変える『人生の物語』」は2月中をめどに掲載します。 「死にたくても死ねなかった」 昨年7月31日、東京地裁立川支部の法廷で住所不定の無職、服部恭太受刑者(犯行当時24歳)は懲役23年の実刑判決を言い渡された。 2021年10月、走行中の京王線特急電車の車内で乗客をナイフで刺し、車両に火をつけたとして殺人未遂や現住建造物等放火などの罪に問われた。街がハロウィーンでにぎわう中、米映画のキャラクター「ジョーカー」の装いで犯行におよんだ。 元恋人が別の男性と結婚したことや、職場で配置換え
生まれ変わったら道になりたい-。8年前、側溝に潜んで女性のスカート内をのぞき見ようとしたとして逮捕された男が今年9月、スマートフォンを側溝に仕掛けた疑いで、再び兵庫県警に逮捕された。以前の逮捕時には「側溝男」として実名で大きく報じられ、厳しい社会的制裁を受けたにもかかわらず、男は改心することなく、またしても同様の手口の犯行に手を染めてしまった。常習性が高いとされる性犯罪の再犯を防ぐ有効な手立てはあるのだろうか。 「何してるんや」側溝内であとずさりする男9月14日夕、学生らが行き交う神戸市東灘区内の路上脇の側溝内で息を潜める男。上方からグレーチング越しに側溝を確認する捜査員と目が合った。実際は、そのとき男の存在に気付いてなかったが、違和感を覚えた捜査員が数メートル後方の鉄板のない場所から側溝内をのぞきこむと、四つんばいであとずさりしながら逃走を図る男の尻が見えた。 捜査員が思わず「何してるん
SNSではホストクラブでの売掛(ツケ払い)禁止を条例制定すべきだと盛り上がっている。今回は悪質ホストクラブの問題解決にむけて2つの重要な点を書く。 1.営業は歌舞伎町に来る前から始まっている 「ホストにハマる」と聞くと、「いや、そもそもホスト行くなよ」というツッコミをしたくなる。そう、普通のイメージは、歌舞伎町で飲んで、ほろ酔いになった時、ホストの初回の声掛けに誘われて、「え、1000円でいいの?」となって行く感じのシーンを想像する。だけど、ホストの営業活動はもっと前から始まっている。 いまのホストはSNSを積極的にやっていて、Tiktokやショート動画、インスタで発信をしている。そこでいいねを押したりコメントを書いたりすると、ホストからDMが届いて、やり取りが始まる。そしてある程度仲良くなってから店に誘われるのだ。もちろん従来のように、歌舞伎町でキャッチに声掛けられてとか、ホスト通いして
4年前、東京・霞が関の家庭裁判所で、離婚調停のために訪れた女性が男にナイフで切りつけられ殺害された。逮捕された男は米国籍で、亡くなった女性の夫だった。 検察は鑑定留置の結果、責任能力に問題はないと判断し、殺人などの罪で男を起訴、懲役22年を求刑する。一方、弁護側は統合失調症による心神喪失を主張した。2023年10月20日、東京地方裁判所は、妄想や幻聴の影響で責任能力はなかったと判断し、男に無罪判決を言い渡した――。 本書は「医療観察法」をめぐるルポルタージュである。 医療観察法と聞いて、内容を説明できる人がどれだけいるだろうか。その前に、そもそもこの法律の存在自体を知っている人がどれだけいるだろうか。 医療観察法とは、心神喪失または心神耗弱の状態で、殺人などの重大な他害行為を行った人間に適切な治療を受けさせるための法律である。重大な他害行為とは、殺人、傷害、放火、強盗、強制性交、強制わいせ
CULTURE | 2023/09/22 AIが人間に反乱しないよう「道徳」を実装すべきか。京大の哲学者・出口康夫が本気で考えて示した結論 Photo by Shutterstock 京都大学で出口康夫氏が行った人気講義を書籍化した『AI親友論』(徳間書店)... Photo by Shutterstock 京都大学で出口康夫氏が行った人気講義を書籍化した『AI親友論』(徳間書店)。 同書はAIと人間との関係性でよく言われる「仕事が奪われる(人間が奴隷にされる)」、あるいは逆に「人間が支配できる程度の性能に抑えるべきだ」といった敵視を前提とした議論ではなく、人間とAIが「親友」として共生するための社会観・人間観をいかにして考えることができるかについて、これまでのAIやロボットにまつわる議論も参照しながら考え抜いた一冊だ。 本稿では、アイザック・アシモフの「ロボット三原則」の時代から続く「A
Published 2023/09/17 18:15 (JST) Updated 2023/09/17 19:01 (JST) 法務省は17日までに、発達障害がある少年院の在院生の支援を強化するため、2016年に策定した職員向けの処遇ガイドライン(指針)を来年度にも改定する方針を固めた。発達障害や虐待などの影響で成長に課題があるものの、適切なサポートがなく、非行に及んだ少年は少なくない。新たな指針では、個々の特性に応じた指導をより充実させて成長を促し、退院後、円滑に社会生活になじめるようにする。 関係者によると、現行の指針は、例えば自閉症スペクトラム障害(ASD)は「相手の気持ちを読み取ることが苦手」など、発達障害ごとの特性を解説。周囲に理解されず、ストレスから非行に走りやすいとし、本人の強みを伸ばす指導が有効だといった基本姿勢を示している。 改定では、障害の理解を深めることを主眼とした現
作者: ベンヤミン・ファン・ロイ,アダム・ファイン 出版社: みすず書房 発売日: 2023/5/18 わたしたちは法律や条例などのルールに囲まれて生きている。そして、それらの多くがわたしたちを深刻な危害から守ってくれていることは間違いない。だがその一方で、何らかの理由でルールがうまく機能していない場合も少なくない。ほとんどのドライバーが守っていない、ある道路での速度制限。日々新たに報じられる、企業のコンプライアンス違反。では、そうした一部のルールがあまり守られないのはどうしてだろうか。 本書はその問題に真正面から挑んだものである。ただし、その挑み方は従来のものとは異なる。本書は、「どうして人はルールを守らないのか」と問うたりはしない。そうではなく、人に一定の行動傾向があることを前提として、「どうして法的ルールは人の行動を改善できないのか」と考えるのである。 わたしたちには一定の行動パター
俺たちの米山隆一さんが関係している教育機器メーカー「バイタルDX社」が派手にやらかして騒動になっているというので見物に行ってきました。 久喜市の教育委員会がやらかしていそうなこと 確かにこれ、効果検証やりますではなく、いきなり実用段階のようで普通に違憲ですし、手法的にも全然駄目ですね。これ、研究倫理綱領通らないでしょ。本当に埼玉県久喜市が実装しちゃったのであれば、取り返しのつかないことになりそうで面白そうです。 教育データ関連で言うなら、まず「そのバンドで測定できる程度のアウトプットで本当に子どもの集中度が本当に判定できるんですか」っていうエビデンスの問題から始まり、そもそも子どもの心の天気図も含めて子どもの内面に関わることを本人の意図に寄らず個人を特定できる形で収拾して判断に用いることは手法として不適切なのは麹町中学校内申書事件(最判昭63.7.15)でも違憲に近いと言えます。 米山隆一
女性刺傷、被告に無罪判決 「心神喪失の疑い」―東京地裁 2023年06月13日16時48分配信 東京地裁=東京都千代田区 路上で面識のない女性をナイフで刺したとして、殺人未遂などの罪に問われた男性被告(45)の裁判員裁判の判決が13日、東京地裁であった。浅香竜太裁判長は「統合失調症による心神喪失の状態にあった疑いがある」と述べ、無罪を言い渡した。検察側は病気の影響は限定的として、懲役6年を求刑していた。 交番襲撃、被告の逆転無罪確定 大阪高検が上告断念 判決によると、被告は2021年12月、東京都葛飾区の路上で、持っていたナイフで女性の背中を1回刺し、全治2週間のけがをさせた。 浅香裁判長は、被告には事件以前から統合失調症による幻聴や幻視の症状があったと指摘。精神鑑定を行った医師の証言などから、「事件当時は症状が急に悪化し、ナイフで刺している対象が実在の人であると認識できなかった可能性が否
生成AIの活用と未来像について語る哲学者の戸谷洋志さん=大阪府枚方市の関西外大で2023年5月23日、三村政司撮影 もしも「チャットGPT」などの生成AI(人工知能)に人々が依存するようになったら、どんな未来が待っているのだろうか。 哲学者の戸谷洋志さん(35)は、2022年刊行の著書『スマートな悪』(講談社)で、余計な手続きを排除する「スマート化」に価値を置く社会に警鐘を鳴らした。科学技術と倫理について研究する戸谷さんは、人間に代わって意思決定するような生成AIの活用をどう考えるか。キーワードとして「責任」を挙げた。 ――生成AIの先行きをどう見ていますか? ◆これからどうなるか見通しがつかない、というのが率直なところです。特にチャットGPTは急速に浸透しているようにも見えますが、今はまだ使って遊ぶ「おもちゃ」にとどまっています。 ただ、それが飽きられて終わると考えるのは、一つの見方でし
無職の川合広司容疑者(78)。 横浜市金沢区で2月17日、運転していた車でバイクをはね飛ばし、白い車に衝突した。 【画像】バイクと車5台に次々と衝突…連続写真で見る その勢いで、前の車やバイクも次々と追突。あわせて5台に衝突し、6人に重軽傷を負わせ、その場から逃走した疑いが持たれている。 捜査関係者への取材で明らかになったのは、川合容疑者の逃走後の行動。 理容室で散髪をし、その後、自宅に帰っていたというのだ。 事故の際、川合容疑者の車は前が壊れているのがわかる。警察にこの傷について聞かれると、こう答えていた。 川合広司容疑者: 散髪した後、駐車場に戻ってきたら車に傷があった。当て逃げされたんじゃないか。 「事故を起こした記憶がなく、逃げたという認識もありません」と容疑を否認。一方で、最近の川合容疑者の様子に異変があったことがわかった。 警察に対し、川合容疑者の家族が「最近物忘れが多かった」
銃撃事件現場付近の警備にあたる警察官=22日、米カリフォルニア州モントレーパーク/Eric Thayer/Getty Images (CNN) 大量殺傷事件の犯人は事件前から暴力的な行動を示すことが多く、大半が犯行前の1年間に大きなストレス要因を経験していたとする研究結果が報告された。 米国土安全保障省シークレットサービスの国家脅威分析センター(NTAC)が、2016~20年に宗教施設や事業所、学校など公共またはそれに準じた場所で3人以上の死傷者を出した事件173件のデータを分析した。 それによると、犯人の大半は犯行に至るまでの1年の間に経済、家庭、健康などの問題で大きなストレスを抱え、半数は職場、家庭のトラブルや、不当な扱いを受けたという思いからくる怒りが、動機の少なくとも一部を占めていた。 銃が使われた事件では、犯人の75%が合法的に銃を入手していたものの、盗んだり代理人に買わせたり、
東京・秋葉原で起きた無差別殺傷事件の発生から14年余り。殺人罪などで死刑が確定していた加藤智大(ともひろ)死刑囚(39)への刑が26日、執行された。加藤死刑囚が公判で語ったことや自著から浮かんだのは、現実社会の中で自身の居場所を見いだせず、不満を募らせて暴発した孤独な青年の姿だった。事件は社会に何を問いかけたのか――。 【当日、現場は 空撮、容疑者の乗っていたトラック…写真で振り返る】 2010年1月、東京地裁で開かれた初公判。法廷で17人の殺傷を認めた加藤死刑囚は「せめてもの償いはどうして今回の事件を起こしてしまったかを明らかにすること」と自戒するように語った。 青森県で2人兄弟の長男として生まれた。家庭での教育は厳しく、九九が言えないと風呂に沈められ、食事が遅いとチラシにご飯をぶちまけられて床の上で食べたという。高校は地元の進学校に通ったが、成績は低迷。岐阜県内の短大を経てアルバイトや
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く