選挙戦最終盤、千歳船橋駅前で演説する河村建一氏=東京都世田谷区で2024年10月25日午後7時59分、春増翔太撮影 今回の衆院選、自民党の候補者が全小選挙区で「世襲」だった県が三つある。岐阜、鳥取、そして山口だ。 「地盤(後援組織)」「看板(知名度)」「かばん(金)」 政治家の「3バン」は、継げば選挙で何よりも大きな力になる。 その継承を願いながら、かなわなかった新人候補がいた。3県の一つ、山口県で生まれ育った政治家一族の4代目。東京6区から出た日本維新の会の河村建一氏(48)だ。 「私は自民党が繰り返してきた派閥争いの犠牲者です」 「しがらみばかりのダメな部分を中から見てきました」 街頭に立てば、25年所属した古巣への「愛憎」が口をつく。郷里を追われ、今回の選挙で挑んだ地は東京の住宅街・世田谷だ。 「継げなかった」候補の、背を追った。 「裸一貫」の覚悟も…… その日も1台だけの選挙カーで