熊本県のアトリエでの坂口恭平(43)。彼はパステル画を描き、線画を書き、本や歌の創作も手がける熟練の建築家である。また、自身の携帯電話を公開して自殺防止ホットラインを運営している。 Photo: Noriko Hayashi / The New York… 生き抜くための闘いが、坂口恭平の世界の中心にある。本を書く時も、絵を描く時も、自殺防止ホットラインを開設した時も──そして、リサイクル住宅を手がける時も。多方に展開される彼の活動を米紙「ニューヨーク・タイムズ」が追った。 【画像】坂口恭平の作品たち 自分の電話番号をネット公開した理由場所は熊本県。アーティストであり作家であり、建築家でもある坂口恭平が、リサイクル資材で建てられた自身の有名な「0円ハウス」のひとつに引っ越そうとしていた1週間前、凄まじい大地震が日本を直撃した。2011年の東日本大震災だ。 津波が東北地方を飲み込み、福島第一