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ブックマーク / davitrice.hatenadiary.jp (61)

  • 「弱いものいじめ」としてのキャンセル・カルチャー - 道徳的動物日記

    s-scrap.com 晶文社の連載で先日に書いた内容の続編的なものを書くために、キャンセル・カルチャーに関する洋書をいくつか取り寄せてもらって読んでいる。 そのうちの一冊が『Cancel This Book: The Progressive Case Against Cancel Culture(書をキャンセルせよ:進歩派によるキャンセル・カルチャーへの反論)』。 Cancel This Book: The Progressive Case Against Cancel Culture 作者:Kovalik, Dan Hot Books Amazon 著者のダン・コヴァリクは昔ながらの労働者支持の左翼。それはいいのだが、タイミングの悪いことにかなりの親ロシア派であって、『The Plot to Scapegoat Russia: How the CIA and the Deep Sta

    「弱いものいじめ」としてのキャンセル・カルチャー - 道徳的動物日記
  • 「非モテ」は「モテないからつらい」、ではない?(読書メモ:『「非モテ」からはじめる男性学』) - 道徳的動物日記

    非モテ」からはじめる男性学 (集英社新書) 作者:西井開 集英社 Amazon 第一章で提示される、書のねらいは以下の通り。 ……登場してから二〇年以上もの間、「非モテ」論は主にネットを中心として議論と考察が繰り返されてきた。その蓄積に敬意を払うと同時に、私は「非モテ」論が限界に立たされているとも感じている。それは、これまで見てきた「非モテ」論の多くが「モテない」こと、つまり恋人がいないことや女性から好意を向けられないことが問題の核心であるという前提に立っているという点にある。 (…中略…) 果たして当に「非モテ」男性はモテないから苦しいのだろうか。時に暴力にまで走ってしまうほどの苦悩の説明を「モテない」という状況にだけ求めてしまっていいのだろうか。書で問おうとするのはここである。 ところで杉田[俊介]は『非モテの品格』の中で、性愛的挫折がトラウマのように残り続ける原因として、非正

    「非モテ」は「モテないからつらい」、ではない?(読書メモ:『「非モテ」からはじめる男性学』) - 道徳的動物日記
  • 「科学から政治的活動へと変貌させられる人類学」by グリン・カストレッド - 道徳的動物日記

    www.popecenter.org 今回は、カリフォルニア州立大学イーストベイ校の人類学者グリン・カストレッド(Glynn Custred)による記事「Turning Anthropology from Science into Political Activism(社会科学から政治的活動に変貌させられる人類学)」を紹介する。カストレッドは、言語人類学やフォークロアを専門に研究している人類学者であるようだ。 「科学から政治的活動へと変貌させられる人類学」by グリン・カストレッド 1960年代から、アカデミアの内部では学術的な研究を社会変革の道具に変えてしまうことを目的とした運動が続いている。マルクス主義・フェミニズム・西洋文明全般に対するトレンディな反感といった、知的にファッショナブルな考えがこの運動を引き起こしていた。やがて、この運動は人文学を占拠して社会科学にも深刻な影響を及ぼすよ

    「科学から政治的活動へと変貌させられる人類学」by グリン・カストレッド - 道徳的動物日記
  • 反合理主義としてのフェミニズム(『啓蒙思想2.0』読書メモ③) - 道徳的動物日記

    啓蒙思想2.0―政治・経済・生活を正気に戻すために 作者:ジョセフ・ヒース NTT出版 Amazon ジョセフ・ヒースはカナダ人であるけれど、『啓蒙思想2.0』における彼の問題意識は、ティーパーティーに代表されるように近年のアメリカで不合理で反動的な右派の運動が盛んになっていることだ(原著は2014年なのでトランプの当選以前である。そのため、『啓蒙思想2.0』ではまず「保守」と対峙したうえで、伝統的な保守思想の利点も認めつつ現代における問題点を指摘しながら、「理性」の必要性を改めて提唱する、という流れで議論がすすむ。つまり、『啓蒙思想2.0』では、最終的には左派的・リベラリズム的な主張が支持されることになるのだ。 とはいえ、ヒースは左派の反合理主義に対しても容赦がない。第8章「ワインと血を滴らせて」で行われている議論は数年前にもこのブログでちょっと取り上げたが、改めて紹介しよう*1。 この

    反合理主義としてのフェミニズム(『啓蒙思想2.0』読書メモ③) - 道徳的動物日記
  • 社会的制裁のなにがよくないのか - 道徳的動物日記

    anond.hatelabo.jp 普段ははてな匿名ダイアリーの投稿にはあまり反応しないのだけれど、最近の事例についてはいろいろと思うところがあるので、昨日にTwitterに下記のような投稿をした。 社会的制裁を生み出すような道徳感情は集団や社会の秩序を維持したりするうえでは不可欠なはずであり、社会的制裁が望ましい結果を生み出すこともあるけれど、法律的な制裁と違ってコントロール不可能でありいつ望ましくない結果が出るのかもわからないので、原則的に「社会的制裁はよくない」とすべき https://t.co/xyqyMgRvhh— デビット・ライス (@RiceDavit) 2021年7月18日 "「正しい怒り」と「正しくない怒り」が存在するという考え方は、ただちに「自分の怒りは正しいが、あいつの怒りは正しくない」という発想に結び付くことは火を見るよりも明らかだ。" ネットリンチとかpublic

    社会的制裁のなにがよくないのか - 道徳的動物日記
  • 89年生まれのわたしにとっての「はてな」 - 道徳的動物日記

    このブログではめずらしく個人的な思い出話。 91年生まれ大反省会をしたい。わたしは91年生まれで今年30になる。若者と括られてきたけど、明らかに今の世代と全く育ってきた景色が違うことを感じる。政治家と言えば小泉首相、まだ日は経済的にすごいと習ったし、嫌韓屋に並び、ネットは2chにニコニコ、メディアは「オネエ」を笑っていた。 — 永井玲衣 (@nagainagainagai) 2021年7月5日 当時K-POPを色んな人が恐れていたのを覚えている。学問といえば受験勉強、フェミニズムはヒステリー、社会運動は危険、資主義は疑えないもの。数え切れないイメージが潜在的に内面化されているはず。ここをしっかり毒出しして反省しないと、これからの世代を抑圧してしまう。ここが分水嶺だと思う。 — 永井玲衣 (@nagainagainagai) 2021年7月5日 ↑ Twitterでこういう投稿をみ

    89年生まれのわたしにとっての「はてな」 - 道徳的動物日記
  • 「弱者男性」でありたがることのなにが問題か - 道徳的動物日記

    gendai.ismedia.jp ↑ 「弱者男性論」に関するわたしの記事が講談社現代ビジネスに掲載されてからちょうど一ヶ月になるが、この記事をきっかけに「弱者男性論」が盛り上がったようで、SNSや個人ブログに匿名ダイアリーなどで、弱者男性について書かれた文章がいくつも登場することになった。 そのなかでも特に重要なのは、文春オンラインに掲載された杉田俊介さんの記事だろう。 bunshun.jp また、はてなブックマークでは以下のツイートに数百以上のブクマが付いている。 これはわたしの話ですけれども「モテないオトコの欲求不満の解消」に必要だったのは「オンナの再分配(!)」なんぞではなく長年にわたるセルフネグレクトを自覚し解消することでした。冷蔵庫を重曹で磨くと綺麗になってうれしいとか、自炊すると美味しいとか、そこに救いがありました。 — はまりー (@travis02130213) Apri

    「弱者男性」でありたがることのなにが問題か - 道徳的動物日記
  • 「愛のあるセックス」はなぜ必要か(読書メモ:『性と愛の脳科学』) - 道徳的動物日記

    性と愛の脳科学 新たな愛の物語 作者:ラリー・ヤング,ブライアン・アレグザンダー 発売日: 2015/12/09 メディア: 単行 このの概要については先日の記事でさくっと触れているので、いきなり題から*1。 このでまず面白かったのが、第4章から第6章にかけて、女性と男性が異性に対してそれぞれに抱く愛情の質の違いを分析するところだ。 第4章の「母性を生む回路」では、自分が産んだ子供を世話したいと母親が思う感情、つまり「母性愛」の存在が脳科学の観点から説明される。端的にいえば、母性愛とはプロラクチンとオキシトシンというホルモンによって引き起こされる。オキシトシンが母親に与える影響の具体例は、以下のようなものである。 人の母親が赤ん坊を胸に抱いてやる時、母親は赤ん坊の顔と目を見つめ、赤ん坊もしばしば、母親の顔を見つめ返す。母親は赤ん坊の泣き声や、赤ん坊の声に耳を傾け、自分からも声をかけ

    「愛のあるセックス」はなぜ必要か(読書メモ:『性と愛の脳科学』) - 道徳的動物日記
  • 道徳と恋愛は相性が悪い - 道徳的動物日記

    道徳形而上学の基礎づけ (光文社古典新訳文庫) 作者:カント 発売日: 2013/12/20 メディア: Kindle版 先日に「性的モノ化」についてあーだこーだ書いたが、それと関連しているかもしれない内容。 フェミニズムとかジェンダー論とかが市井に浸透して、男性たちもそういう考え方を学ぶことによって生じている副作用とか弊害とかのひとつが、「性愛や女性との関わり方に関する道徳を学んで実践することで、女性と仲良くなったり女性からの信頼を得られたりすることができる」と感じてしまう男性があらわれることだ。 つまり、男性の側が性や愛について「ただしい」意見を言ったり「正解」の振る舞い方をしたりすると、女性の側から仲良くなってくれたり優しくしてくれたりこちらを信頼してくれたりするなどのご褒美が与えられるはずである、という期待や予断のような感覚を抱く男性が増えているかもしれない、ということである。 す

    道徳と恋愛は相性が悪い - 道徳的動物日記
  • 「社会学叩き」についての私見 - 道徳的動物日記

    出勤前に、サクッとメモ的に書いておこう。 Twitterはてなブックマークをはじめとしたネット・SNS界隈では、十年一日という感じで、相変わらず「社会学叩き」が盛んだ。 といっても他人事ではなくて、このブログでも、過去に、社会学や社会科学の現状について批判するHeterodox Academyの記事を訳したことがある。 davitrice.hatenadiary.jp davitrice.hatenadiary.jp また、わたしもちょっと関わっている『経済学101』でも、社会学を批判する記事が訳されて投稿されることがある。代表的なものは、ジョセフ・ヒースによる以下の記事だろう。 econ101.jp ヒースの記事における「規範的社会学」という言葉に示されているように、これらの記事で問題視されていることは、「社会学(社会科学)が、特定の道徳的規範・政治的規範に影響を受けすぎている」ことで

    「社会学叩き」についての私見 - 道徳的動物日記
  • 「インターセクショナリティ」が対立を招く理由 - 道徳的動物日記

    The Coddling of the American Mind: How Good Intentions and Bad Ideas Are Setting Up a Generation for Failure (English Edition) 作者:Lukianoff, Greg,Haidt, Jonathan 発売日: 2018/09/04 メディア: Kindle版 先日から、社会心理学者ジョナサン・ハイトと憲法学者グレッグ・ルキアノフの共著、『アメリカン・マインドの甘やかし:善い意図と悪い理念は、いかにしてひとつの世代を台無しにしているか』を読んでいる。Amazonのほしいものリストでもらったものだ。ありがとう*1。 2017年に出版されたなのだが、その時期にアメリカの大学で「ポリティカル・コレクトネス」が引き起こしていた様々な問題の事例を網羅的に紹介しつつ、その背景にあ

    「インターセクショナリティ」が対立を招く理由 - 道徳的動物日記
  • 「人生の意味」の進化心理学 - 道徳的動物日記

    野蛮な進化心理学―殺人とセックスが解き明かす人間行動の謎 作者:ダグラス・ケンリック 発売日: 2014/07/18 メディア: 単行 ダグラス・ケンリックの『野蛮な進化心理学:殺人とセックスが解き明かす人間行動の謎』の白眉は、やはり、第七章の「マズローと新しいピラミッド」だろう。 このについて紹介している他のブログの記事やTogetterまとめでも、この章がメインとして扱われている*1。 画像もいろいろとネットに転がっているので、貼り付けてしまおう。上が「マズローのピラミッド」で、下が「ケンリックのピラミッド」だ。 なお、「ケンリックのピラミッド」は「生活史理論」によって補強されるものである、ということには言及しておくべきだろう。 生活史理論は、「どんな動物の生涯も二つないし三つの段階に分けられ、それぞれで投資におけるトレードオフが異なる」 (p.237)という発想に基づく。人間の場

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  • 「男性同士のケア」が難しい理由 - 道徳的動物日記

    男同士の絆―イギリス文学とホモソーシャルな欲望― 作者:イヴ・K・セジウィック 発売日: 2001/02/20 メディア: 単行 近頃では、「これからは男性同士でもケアし合わなければならない」と言った主張がちらほらとされるようになっている。 この主張がされる文脈は様々だ。「これまでの社会は女性にケア役割を押し付けていたが、これからは男性も平等にケア役割を担うべきである」という問題意識に連なる主張である場合もあるだろう。 また、女性の恋人やがいないことで「女性からの承認」を得られないと悩んだり「孤独」になることを恐れる男性に対して、「そもそも"自分は異性のパートナーにケアしてもらうべきだ"という発想を捨てて、同性との相互にケアし合う関係を築く可能性に目を向けてみるべきだ」という批判込みのアドバイス的な意味合いで、「男性同士のケア」が提唱される場合もある。 そして、「マウントを取り合う」「

    「男性同士のケア」が難しい理由 - 道徳的動物日記
  • ジェンダー論が男性を救わない理由 - 道徳的動物日記

    Lonely at the Top: The High Cost of Men's Success 作者: Thomas Joiner Ph.D. 出版社/メーカー: St. Martin's Press 発売日: 2011/10/25 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 思うところあって、トマス・ジョイナーの『Lonely at the Top: The High Cost of Men's Success(てっぺんで一人ぼっち:男性の成功の高い代償)』を数年ぶりに読み返している。 2017年に、このの内容を紹介する記事を書いた*1。そのしばらく後には、社会学者の平山亮による「男性が自殺するのは支配欲が原因」発言を批判した*2。そして2019年には「有害な男らしさ」概念がフェミニズムやジェンダー論の文脈で流行するようになり、「有害な男らしさ」概念についての批判記事を

    ジェンダー論が男性を救わない理由 - 道徳的動物日記
  • ナチスの理性は世界一? - 道徳的動物日記

    ナチスというと、その科学技術力が注目されることが多い。私は軍事は全然詳しくないのだが、V2ロケットとかいうすごいミサイルを開発したらしいというくらいのことは知っているし、フィクションの中では月面に基地を作ったり爆散した少佐をサイボーグ化させて復活させたりしている。 また、毒ガスを用いて大量の人間を殺害した強制収容所の印象はあまりにも強いし、優生学思想の徹底した実践の異常さも相まって、歴史上で他に虐殺や非道を行った国とは際立って違う何らかの特徴をナチスは持っている、というようなイメージを多くの人が抱いていると思う。啓蒙主義とか合理主義とか効率追及とか功利主義とかの諸々の近代的で西洋的な思想…あるいは、それら全ての背後にある「理性」が極まった先に生まれた怪物がナチスである、という議論は様々な論説やの中でも出てくるものだ。以前までは、私もなんとなくそのような認識を持っていた。 しかし、世間一般

    ナチスの理性は世界一? - 道徳的動物日記
    laislanopira
    laislanopira 2020/07/08
    “リベラルな社会では、「すべてのひとに凡庸になる自由」があたえられ、「際だった人生よりもありふれた日常」に重きがおかれることになる…人間のもつユートピア的理想追求という美しさを根絶やしにしてしまう”
  • 「啓蒙をめぐる戦争」(『Enlightment Now』への批判に対するスティーブン・ピンカーの応答)【その1】 - 道徳的動物日記

    2018年の初頭に出版されたスティーブン・ピンカーの新著『Enlightenment Now: The Case for Reason, Science, Humanism, and Progress (現代の啓蒙:理性、科学、人道主義、進歩を擁護する)』は、多くの批判にさらされてきた。タイトルの通り合理主義や科学を擁護して、非合理的な考え方や信仰を批判するこの著作は、特に文系のインテリの気に障ったようだ。ピンカーが「啓蒙」を人々の生命を助けたり社会を豊かにしたり個人を道徳的にさせたりするものとして称える一方で、批判者たちは啓蒙主義をレイシズム・帝国主義・人々の生存に対する脅威・孤独や自殺の原因として非難する、というのが主な構図である。また、批判者たちは「人類は進歩しており、世界の状態は良くなり続けている」というピンカーの主張を「データをチェリーピッキングして作り上げた幻想だ」とみなし、啓

    「啓蒙をめぐる戦争」(『Enlightment Now』への批判に対するスティーブン・ピンカーの応答)【その1】 - 道徳的動物日記
  • スティーブン・ピンカーとブラック・ライヴズ・マター - 道徳的動物日記

    togetter.com ↑ 自分でまとめたこの件について、思うところをちょっと書いておこう。 ●今回はスティーブン・ピンカーという大物がターゲットになったことで話題になったが、アメリカのアカデミアにおける「キャンセル・カルチャー」の問題はいまに始まったことではない。今回はBLMが直接のきっかけとなっているだろうが、他にも「セクシズム」や「イスラモフォビア」などの咎で、これまでにも様々な学者たちの講演がキャンセルさせられたり謝罪要求をされたり、大学を追われたりしてきたいう経緯がある*1。今回については、除名といってもアメリカ言語学会そのものからではなく「フェロー」の立場や「メディアエクスパート」の立場からの除名を求める運動ではあるが、言語学とはほぼ関係皆無の数年前のツイートを取り沙汰してポジションを奪うことが許されてしまうのなら、萎縮効果は明白だろう。だからこそ、ノーム・チョムスキーやジョ

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  • 「トランプ支持者の白人労働者」について書かれた本をまとめて読んでみて… - 道徳的動物日記

    ヒルビリー・エレジー~アメリカの繁栄から取り残された白人たち~ 作者:J・D・ヴァンス 発売日: 2017/03/24 メディア: Kindle版 新たなマイノリティの誕生―声を奪われた白人労働者たち 作者:ジャスティン・ゲスト 発売日: 2019/05/31 メディア: 単行 壁の向こうの住人たち――アメリカの右派を覆う怒りと嘆き 作者:A.R.ホックシールド 発売日: 2018/10/26 メディア: 単行(ソフトカバー) アメリカを動かす『ホワイト・ワーキング・クラス』という人々 世界に吹き荒れるポピュリズムを支える“真・中間層”の実体 作者:ジョーン・C・ウィリアムズ 発売日: 2017/08/25 メディア: 単行 ↑ 世間ではブラック・ライヴズ・マターが話題だが、あえてこのご時世に、ひと昔前に邦訳された「トランプを支持した白人労働者の問題とはなにか、彼らはどんな特性や性質

    「トランプ支持者の白人労働者」について書かれた本をまとめて読んでみて… - 道徳的動物日記
  • ネオリベラリズムとしてのエロティック・キャピタル - 道徳的動物日記

    エロティック・キャピタル すべてが手に入る自分磨き 作者:キャサリン・ハキム 発売日: 2012/03/03 メディア: 単行(ソフトカバー) 数年前に読んだであるが、思うところあって改めて再読。 「すべてが手に入る自分磨き」という邦訳版オリジナルの副題はどう考えてもミスリーディングである。ブルデューが提案した3つのキャピタル概念(エコノミック・キャピタル、カルチャー・キャピタル、ソーシャル・キャピタル)の理論に基づきながら4つめのキャピタル概念としての「エロティック・キャピタル」を提唱する、社会学的な内容のだ。 著者は、美しさや性的魅力(また、社交スキルや自己演出能力など)は「資」の一種である、と論じる。そして、学歴教養などの文化的能力や人脈や地縁などの社会関係を「資」として活用して自分のキャリアや財産形成に活かすことが社会的に認められているのだから、女性が自分のキャリアや財

    ネオリベラリズムとしてのエロティック・キャピタル - 道徳的動物日記
  • 「叩いていい存在」を叩く行為と、ネット民の幼児性について - 道徳的動物日記

    oriza.seinendan.org 平田オリザ騒動についての雑感。 ある有名人が人の癇にさわるようなことを言う。わたし自身としてもその発言を見聞して不愉快な気持ちになり、身内との会話でその話題を出して文句を言ったり愚痴ったりすることもあれば、SNSにネガティブな意見を書き込むこともある。 とはいえ、その人物を批判して糾弾することがネット上の潮流となっていることを知れば、自分からわざわざその人物を批判することはほとんどない。すでに他人が言ったり書いたりしていることを再生産することは意味のないことであるからだ。他の人たちが書いている意見がわたしのものとは異なっていて、自分の抱いている意見や感情がまだ誰にも代弁されていないな、と思ったら自分から表現する場合もあるけれど。 しかし、ある人がネット上で「パブリックエネミー」と扱われはじめて、その人に対する批判意見なら何を言ってもいいという段階にな

    「叩いていい存在」を叩く行為と、ネット民の幼児性について - 道徳的動物日記