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ブックマーク / bijutsutecho.com (421)

  • ヴェネチア・ビエンナーレの「国別パビリオン方式」はいつまで有効か?

    第60回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展・日館「毛利悠子:Compose」展示風景よりPhoto by Matteo de Mayda Courtesy La Biennale di Venezia グローバル・サウスからの問題提起 前回のヴェネチア・ビエンナーレ(第59回国際美術展、2022年4月23日〜11月27日)が開幕したとき、「Contemporary And (C&)」というオンラインメディアに、社会理論家で作家のエリック・オティエノ・スンバ(*1)が、「なぜヴェネチア・ビエンナーレ・モデルは時代遅れなのか?」という記事を寄せていた(*2)。「ナショナル・パビリオン・モデルを採用することで、ヴェネチア・ビエンナーレは地方主義(provincialism)を世界性(worldliness)と偽っている。そして、そのツケを払うのはグローバル・サウスのアーティストたちだ」というリ

    ヴェネチア・ビエンナーレの「国別パビリオン方式」はいつまで有効か?
  • DIC川村記念美術館の存続を求める署名を佐倉市が開始。「文化芸術の普及・発展にとって大きな損失」

    DIC株式会社が、運営するDIC川村記念美術館の休館を決めたことについて、佐倉市が同市での存続を求める署名活動を開始した。 市は「DIC川村記念美術館は、世界的に貴重な作品を数多く所蔵する国内屈指の美術館であるとともに、芸術・自然・建築が高いレベルで調和するひとつの『作品』」としたうえで、「移転・閉館といった運営方法の見直しは、我が国の文化芸術の普及・発展にとって大きな損失」と訴えている。 担当しているのは佐倉市の魅力推進部文化課を事務局とする「DIC川村記念美術館の佐倉市での存続を求める会」。オンラインと窓口提出および郵送にて9月30日まで募っており、ウェブサイトでは現在の署名数も表示されている。 なお、件に関してはコレクションの国外流出を憂慮する声もあり、実業家でアートコレクターの前澤友作氏も「もしコレクションを売却するという方向なら、数々の名作が日から出ないように、まずは日の買

    DIC川村記念美術館の存続を求める署名を佐倉市が開始。「文化芸術の普及・発展にとって大きな損失」
  • DIC川村記念美術館が休館へ。美術館運営の位置づけを再検討

    DIC川村記念美術館が休館へ。美術館運営の位置づけを再検討DIC川村記念美術館を運営するDIC株式会社が、美術館運営の位置づけを再検討。2025年1月下旬からの休館を決定した。 DIC川村記念美術館 DIC株式会社(以下、DIC)が運営する千葉・佐倉市のDIC川村記念美術館が、2025年1月下旬から休館することを決定した。 DICは同館とコレクションを保有資産という観点から見た場合、資効率という側面においては必ずしも有効活用されていないと評価。資効率の改善を経営課題として掲げる同社としては、社会的価値と経済的価値の両面から、美術館運営の位置づけを再検討すべき時期にあると結論づけ、外部の視点から同社取締役会への助言を得るための「価値共創委員会」を設立したうえで議論してきた。その結果をまとめた委員会から同社取締役会への助言内容が、8月9日開催の同取社締役会において提出された。 価値共創委員

    DIC川村記念美術館が休館へ。美術館運営の位置づけを再検討
  • アーティスト・田名網敬一が88歳で逝去

    アーティスト・田名網敬一が88歳で逝去アーティスト・田名網敬一が8月9日、88歳で逝去した。 田名網敬一、「PARAVENTI: KEIICHI TANAAMI - パラヴェンティ:田名網敬一」(プラダ 青山、2023)にて 撮影=編集部 デザイナーとしてキャリアをスタートさせ、60年代から現在に至るまで幅広いジャンルを横断し、独自の地位を築いてきたアーティスト・田名網敬一が8月9日に逝去した。享年88歳。 田名網は1936年東京生まれ。武蔵野美術大学卒業。在学中にデザイナーとしてデビューし、75年には日版月刊『PLAYBOY』の初代アートディレクターを務めるなど、早くから雑誌や広告を主な舞台に、日のアンダーグラウンドなアートシーンを牽引してきた。また60年代からはデザイナーとして培った方法論・技術を駆使し、絵画、コラージュ、立体作品、アニメーション、実験映像、インスタレーションなどを

    アーティスト・田名網敬一が88歳で逝去
  • 奈良県知事の収蔵品廃棄発言と、その背景にある本当に考えなければならないこと

    奈良県知事の収蔵品廃棄発言と、その背景にある当に考えなければならないこと7月10日、奈良県立民俗博物館における収蔵品保管施設の問題について、同県知事による「明確なルールを決めたうえで、価値のあるものだけ残してそれ以外は廃棄処分することも含め検討せざるを得ない」といった発言が物議を醸している。民俗資料を保存することの意義や、その難しさについて民俗学者・加藤幸治が論じる。 文=加藤幸治(民俗学者・武蔵野美術大学 教授) 2012年に開催された「文化財レスキュー展」(せんだいメディアテーク、監修=加藤幸治)の様子。東日大震災の被害からレスキューされた民俗資料を一堂に展示した企画。地域に根付く文化財の重要性を伝えた一例 撮影=加藤幸治 アノニマスな造形としての民具 人間が生活の必要から生み出した道具や器物を、民具と呼ぶ。 民具の造形的な意義は、「デザイナーなしのデザイン」の一言に尽きる。身近な

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  • 「ART OSAKA 2024」が開幕。「Expanded」セクションがもたらす効果とは?

    「ART OSAKA 2024」が開幕。「Expanded」セクションがもたらす効果とは?7月18日、関西の現代美術アートフェア「ART OSAKA」の「Expanded」セクションがスタート。2022年に初めて開催されたこのセクションがどのような効果をもたらしたのか、レポート記事で紹介する。 文・撮影=王崇橋(ウェブ版「美術手帖」編集部) 「ART OSAKA 2024」Expanded セクションの展示風景より、西山美なコ《♡あこがれのシンデレラステージ♡》(1996) 関西最古の現代美術アートフェア「ART OSAKA」で、2022年に初めて開催された「Expanded」セクション。その3回目が開幕した。 同フェアは、ギャラリーがブース形式で出展する「Galleries」セクション(7月19日〜21日)と、通常のアートフェアでは発表する機会が少ない大型作品やインスタレーションを紹介す

    「ART OSAKA 2024」が開幕。「Expanded」セクションがもたらす効果とは?
  • マユンキキ インタビュー。私が作品をつくらなくてよい世界にするために(前編)

    マユンキキ インタビュー。私が作品をつくらなくてよい世界にするために(前編)アイヌであることで経験する出来事を起点に、それを徹底して「個人」の観点から分析して作品にするアーティスト、マユンキキ。彼女は、東京都現代美術館で開催中の企画展「翻訳できない わたしの言葉」(4月18日〜7月7日)で、展示室を訪れる観客一人ひとりにも「その人自身」の認識を問いかける仕掛けを導入している。作品の背景にある考え、そして近年の先住民をめぐる言説に感じることとは? 会場のベッドの上で、彼女の経験を通訳として、そして友人として共有する田村かのこが聞いた(記事は前後編)。 *記事は『美術手帖』2024年7月号(特集「先住民の現代アート」)のインタビューを未掲載分も含めて再構成したものである。記事は8月1日からプレミアム会員限定公開。 聞き手・構成=田村かのこ 撮影=池田宏(⁑を除く) 編集=杉原環樹、三澤麦 マ

    マユンキキ インタビュー。私が作品をつくらなくてよい世界にするために(前編)
  • 「三島喜美代―未来への記憶」(練馬区美術館)開幕レポート。最大規模のインスタレーションも

    「三島喜美代―未来への記憶」(練馬区美術館)開幕レポート。最大規模のインスタレーションも練馬区立美術館で「三島喜美代―未来への記憶」が開幕した。「情報」と「ゴミ」の問題をテーマに、70年にわたって創作を展開する現代美術家の軌跡をたどる個展だ。会期は7月7日まで。 文・撮影=橋爪勇介(ウェブ版「美術手帖」編集長) 展示風景より、三島喜美代《20世紀の記憶》(1984-2013、部分) 近年、再評価の機運が高まる三島喜美代(*)。その東京では初となる大規模個展「三島喜美代―未来への記憶」が練馬区立美術館でスタートした。会期は7月7日まで。 三島は1932年生まれ。54年から69年まで独立美術協会に所属し、活動初期では具象画を発表していた。具体美術協会の吉原治良に師事した画家・三島茂司に出会いその影響を受け、60年代には新聞や雑誌などの印刷物をコラージュした作品やシルクスクリーンをもちいた平面作

    「三島喜美代―未来への記憶」(練馬区美術館)開幕レポート。最大規模のインスタレーションも
  • 三島喜美代が91歳で逝去。「情報」と「ゴミ」問題テーマに独自の表現貫く

    三島喜美代が91歳で逝去。「情報」と「ゴミ」問題テーマに独自の表現貫く「情報」と「ゴミ」の問題をテーマに、70年にわたって創作を続けてきたアーティスト・三島喜美代が逝去した。91歳だった。 三島喜美代(森美術館「アナザーエナジー展:挑戦しつづける力―世界の女性アーティスト16人」で撮影) 「情報」と「ゴミ」の問題をテーマに、70年にわたって創作を続けてきたアーティスト・三島喜美代が6月19日に逝去した。91歳だった。 三島は1932年生まれ。54年から69年まで独立美術協会に所属し、活動初期では具象画を発表していた。具体美術協会の吉原治良に師事した画家・三島茂司に出会いその影響を受け、60年代には新聞や雑誌などの印刷物をコラージュした作品やシルクスクリーンを用いた平面作品を制作。しかし70年代に入ると表現媒体は一転。シルクスクリーンで印刷物を陶に転写して焼成する立体作品「割れる印刷物」を手

    三島喜美代が91歳で逝去。「情報」と「ゴミ」問題テーマに独自の表現貫く
  • 「描く人、安彦良和」(兵庫県立美術館)開幕レポート。「物語」を描き続けてきたその足跡をたどる

    「描く人、安彦良和」(兵庫県立美術館)開幕レポート。「物語」を描き続けてきたその足跡をたどる兵庫県立美術館で、「機動戦士ガンダム」のキャラクターデザイナー兼アニメーションディレクターとして知られる安彦良和の半生を振り返る展覧会「描く人、安彦良和」が開幕。会期は9月1日まで。 文・撮影=安原真広(ウェブ版「美術手帖」副編集長) 展示風景より、左から『機動戦士ガンダム(劇場版)』『機動戦士ガンダムⅡ 哀・戦士編』『機動戦士ガンダムⅢ めぐりあい宇宙編』のポスター Ⓒ創通・サンライズ 兵庫県立美術館で、『機動戦士ガンダム』のキャラクターデザイナー兼アニメーションディレクターとして知られる安彦良和の、これまでの仕事を振り返る展覧会「描く人、安彦良和」が開幕した。会期は9月1日まで。 安彦は1947年北海道遠軽町生まれ。66年に弘前大学に入学するも除籍となり上京。アニメーターとして活動し始める。『機

    「描く人、安彦良和」(兵庫県立美術館)開幕レポート。「物語」を描き続けてきたその足跡をたどる
  • 建築家・槇文彦が95歳で逝去。代表作に幕張メッセや京都国立近代美術館

    建築家・槇文彦が95歳で逝去。代表作に幕張メッセや京都国立近代美術館世界的建築家・槇文彦が、6月6日に老衰で逝去した。95歳だった。 槇文彦 gettyimages ©︎ Andrew Burton 世界的建築家・槇文彦が、6月6日に老衰で逝去。95歳だった。 槇は1928年東京出身で、52年に東京大学工学部建築学科を卒業。その後渡米し、クランブルック美術学院、ハーバード大学大学院を修了。65年の帰国後は槇総合計画事務所を設立した。 丹下健三を師に、モダニズム思想を受け継いだ洗練されたさわやかな建築空間が特徴であり、またその土地の特性を生かしながら、奥行きのある日的空間を織り込んだ作風が評価されている。代表作には、千葉市の「幕張メッセ」(1989)をはじめ、東京の「代官山ヒルサイドテラス」(1969、92)、「スパイラル」(1985)、「京都国立近代美術館」(1986)、海外ではニューヨ

    建築家・槇文彦が95歳で逝去。代表作に幕張メッセや京都国立近代美術館
  • 「塩田千春 つながる私(アイ)」が大阪中之島美術館で開催。6点のインスタレーションを発表

    「塩田千春 つながる私(アイ)」が大阪中之島美術館で開催。6点のインスタレーションを発表大阪中之島美術館で塩田千春の大規模個展「塩田千春 つながる私(アイ)」が開催される。会期は9月14日〜12月1日。 塩田千春 The Eye of the Storm 2022 画像提供=バンコクアートビエンナーレ ©JASPAR, Tokyo, 2024 and Chiharu Shiota 現在ベルリンを拠点として国際的に活躍する塩田千春。その大規模個展「塩田千春 つながる私(アイ)」が、大阪中之島美術館で開催される。会期は9月14日〜12月1日。 塩田は1972年大阪生まれ。2019年に森美術館で開催された個展「塩田千春展:魂がふるえる」では約66万人(同館歴代2位)の入場者数を記録し、21年には十和田市現代美術館で常設作品《水の記憶》を発表。また22年には国際芸術祭「あいち2022」に参加し、別

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  • 建築家・白井晟一設計の個人住宅「桂花の舎」が江之浦測候所に移築へ

    建築家・白井晟一設計の個人住宅「桂花の舎」が江之浦測候所に移築へ建築家・白井晟一が晩年に設計した個人住宅のひとつである「桂花の舎(けいかのいえ)」。これを小田原文化財団 江之浦測候所のある「甘橘山」に移築するプロジェクトが始まった。 桂花の舎 Photo by Yasushi Ichikawa 渋谷区立松濤美術館などの設計で知られる建築家・白井晟一が晩年に設計した個人住宅のひとつ「桂花の舎(けいかのいえ)」。これが杉博司による小田原文化財団 江之浦測候所に移築される。 桂花の舎は、大和市・中央林間に建てられたもの。白井はこの家の完成を待たずに1983年に逝去したため、白井晟一研究所に引き継がれ、竣工した。施主は画家で、デザインや予算などに一切制限を設けないという条件で設計されており、随所に使われている栗材などにその痕跡が見られるという。この建築はその後、地区の宅地開発によって解体の危機に

    建築家・白井晟一設計の個人住宅「桂花の舎」が江之浦測候所に移築へ
  • 「ADAPTATION - KYNE」(福岡市美術館)開幕レポート。地元福岡でふり返るその活動の軌跡

    「ADAPTATION - KYNE」(福岡市美術館)開幕レポート。地元福岡でふり返るその活動の軌跡アーティスト・KYNE(キネ)の日初となる大規模個展、特別展「ADAPTATION - KYNE」が福岡市美術館で開幕した。会期は6月30日まで。 文・撮影=安原真広(ウェブ版「美術手帖」副編集長) 展示風景より、新作壁画の《Untitled》(2014) 福岡市美術館で、アーティスト・KYNE(キネ)の日初となる大規模個展、特別展「ADAPTATION - KYNE」が開幕した。会期は6月30日まで。担当は同館館長の岩永悦子。 展示風景より、《Untitled》(2024) KYNEは1988年生まれ。大学時代に日画を学び、2006年頃から制作活動を開始し、現在も福岡を拠点に活動をしている。1980年代のマンガやアイドルのレコード・ジャケットからインスピレーションを受け、アイコニック

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  • 「ゲバルト」展が東京日仏学院などで開催。反暴力的反応とその美的様式を探る

    「ゲバルト」展が東京日仏学院などで開催。反暴力的反応とその美的様式を探るゲバルト団体(アレクサンドル・タルバ、平居香子、宮内芽依、アントワーヌ・ハルプク、ガーリン)の主宰により、反暴力的反応とその美的様式を探る展覧会 「ゲバルト」展が、東京日仏学院、CAVE-AYUMI GALLERY、セッションハウスで開催される。会期は5月18日〜6月16日。 制度の暴力のなかで特定の芸術形態がどのように発展していくのかを示そうとする展覧会「ゲバルト」展が、東京日仏学院、CAVE-AYUMI GALLERY、セッションハウスで開催される。会期は5月18日〜6月16日。キュレーターはアレクサンドル・タルバ。 展を主宰するのはゲバルト団体(アレクサンドル・タルバ、平居香子、宮内芽依、アントワーヌ・ハルプク、ガーリン)。2023年5月に東京で設立された芸術的・政治的団体であり、キュレーション集団として構想さ

    「ゲバルト」展が東京日仏学院などで開催。反暴力的反応とその美的様式を探る
  • 「UESHIMA MUSEUM」が開館。屈指の現代美術コレクションを一般公開

    「UESHIMA MUSEUM」が開館。屈指の現代美術コレクションを一般公開現代アートのコレクター・植島幹九郎によって設立された「UESHIMA COLLECTION」の収蔵品を紹介する「UESHIMA MUSEUM」が、6月1日に開館する。それを前に、内部が公開された。 文・撮影=橋爪勇介(ウェブ版「美術手帖」編集長) 展示風景より、オラファー・エリアソン《Eye see you》(2006) 日には様々なビッグコレクターがいるが、いまもっとも注目すべきは植島幹九郎かもしれない。事業家・投資家として多彩な顔を持つ植島が2022年2月に設立した現代美術コレクション「UESHIMA COLLECTION」を紹介する「UESHIMA MUSEUM」が、6月1日に渋谷にオープンする。 UESHIMA MUSEUM 画像提供=UESHIMA MUSEUM 植島は1979年千葉県生まれ。1998年

    「UESHIMA MUSEUM」が開館。屈指の現代美術コレクションを一般公開
  • クールべ《世界の起源》はなぜ攻撃されたのか? ポンピドゥー・センター・メッスで破壊・盗難事件

    クールべ《世界の起源》はなぜ攻撃されたのか? ポンピドゥー・センター・メッスで破壊・盗難事件5月6日、ポンピドゥー・センター・メッスで開催中の「Lacan. Quand l'art rencontre la psychanalyse(ラカン。芸術が精神分析と出会うとき)」展で、近代絵画の傑作でラカンが生前所有したことでも有名なキュスターブ・クールべの《世界の起源》をはじめとする5作品が破損され、1作品が盗難にあった。その後、破損された作品の作者のひとりが事件に関する声明を出し、物議を醸している。 文=飯田真実 デボラ・ド・ロベルティが公開した動画(https://vimeo.com/943331424)より、被害を受けたギュスターヴ・クールベ《世界の起源》 事件の起源 5月4日(土)にヴェルサイユ宮殿のガラスの回廊を荒らされる事件が起きたフランス。翌週の月曜には、ポンピドゥー・センター・メ

    クールべ《世界の起源》はなぜ攻撃されたのか? ポンピドゥー・センター・メッスで破壊・盗難事件
  • グランフロント大阪の中谷芙二子による霧の彫刻が展示を再開

    グランフロント大阪の中谷芙二子による霧の彫刻が展示を再開新型コロナウイルスの感染拡大防止のために演出を中止していた、グランフロント大阪の中谷芙二子による霧の彫刻《霧の彫刻・SEA FOG》の公開が再開した。 中谷芙二子《霧の彫刻・SEA FOG》、過去の演出時の様子 グランフロント大阪の梅北広場中央に設置されている、中谷芙二子の《霧の彫刻・SEA FOG》の演出が再開した。 中谷芙二子は1933年北海道札幌市生まれ。57年、アメリカ・イリノイ州のノースウェスタン大学美術科を卒業後、パリ、マドリードで絵画を学ぶ。60年に帰国し、62年に東京画廊で日初個展を開催。66年、芸術と技術の協働を推進する実験グループ「E. A. T.」に参加し、その活動の一環として大阪万博ペプシ館(1970)にて、人工の霧を大量に発生させる「霧の彫刻」を初めて発表。以来、「霧の彫刻家」として国内外で活躍している。

    グランフロント大阪の中谷芙二子による霧の彫刻が展示を再開
  • フランク・ステラが87歳で逝去。20世紀アメリカ現代美術の巨匠

    フランク・ステラが87歳で逝去。20世紀アメリカ現代美術の巨匠アメリカの現代美術家、フランク・ステラ氏が87歳で逝去した。 DIC川村記念美術館のフランク・ステラ《リュネビル》(1994) アメリカの現代美術の巨匠、フランク・ステラ氏が5月4日、米・ニューヨークの自宅にて87歳で逝去した。 ステラ氏は1936年アメリカ合衆国マサチューセッツ州生まれ。50年代にミニマルアートの先駆者として頭角を表す。その後「ハードエッジ」と呼ばれる色面を構成した平面作品を手がけていたが、80年代以降は湾曲したり破断したりといった不規則な構造物を組み合わせた3次元的な作品を制作。第二次世界大戦後のアメリカ現代美術を代表するひとりとして評価されており、国内ではDIC川村記念美術館が多くの作品を所蔵している。

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  • 坂茂設計の豊田市博物館が開館。豊田市美術館と補完し合う相乗効果を狙う

    坂茂設計の豊田市博物館が開館。豊田市美術館と補完し合う相乗効果を狙う建築家・坂茂の設計による愛知県の豊田市博物館が、谷口吉生が設計した豊田市美術館の隣に開館した。 文・撮影=王崇橋(ウェブ版「美術手帖」編集部) 豊田市博物館 外観 世界的に活躍する建築家・坂茂の設計による愛知県の豊田市博物館が4月26日に開館した。館長を務めるのは、前豊田市美術館館長・村田眞宏だ。 同館が建設されたのは、江戸時代に存在した城郭・「七州城」の遺構。明治以降は豊田市立童子山小学校や愛知県立豊田東高等学校の敷地として利用されており、隣には建築家・谷口吉生が設計した豊田市美術館が1995年に開館している。 坂茂は4月25日に行われた内覧会で、博物館建物の設計にあたり谷口の建築とバランスよく配置し、プロポーションを決めたとしつつ、「美術館に来た人も博物館を発見し、博物館に来た人も自然に美術館に流れていくように並列させ

    坂茂設計の豊田市博物館が開館。豊田市美術館と補完し合う相乗効果を狙う