田園調布、芦屋、南山……庶民の羨望と嫉妬の的となってきたセレブタウンであるが、その一部が今、落ちぶれているという。住民は口を開けば「住みづらい」の大合唱。一体何が起きているのか? 実態を追った。 【田園調布】 「田園調布に住むメリット? そんなものないよ」 平日の昼下がり、散歩の途中だという裕福そうな60代男性は不機嫌そうに言い捨てた。’80年代に漫才コンビ「星セント・ルイス」が放ったネタ「田園調布に家が建つ」で知られる通り、長らく成功者の象徴とされてきた田園調布。 長嶋茂雄、五木ひろし、桜井和寿など名だたるセレブの邸宅が軒を連ねる日本最高峰の高級住宅街の、そんな華麗で優雅なイメージは崩壊しつつあるようだ。19年前に移り住んだというある住民は明かす。 「駅の西側にはコンビニはおろか自販機すらないし、交通の便も非常に悪い。自炊する住民が多いからか飲食店の選択肢もほとんどありません。また物価が