ブックマーク / himaginary.hatenablog.com (46)

  • GDPはなぜ厚生の指標として失敗しているのか - himaginary’s diary

    ダボス会議でスティグリッツやラガルドがGDPの欠点を指摘したことを受け、Mark Thomaが表題のCBS Moneywatchの論説で、GDPの問題点やその代替指標候補についてまとめた(原題は「Why GDP fails as a measure of well-being」)。それをサンドイッチマンがEconospeakで以下のようにさらに簡単にまとめている*1。 At CBS Moneywatch, Mark Thoma reviews the standard "textbook" flaws in GDP that cause it to fail as a measure of wellbeing: It counts "bads" as well as "goods." It makes no adjustment for leisure time. It only coun

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    lapis 2016/01/31
  • 宇沢に反する均斉成長 - himaginary’s diary

    というNBER論文が上がっている。原題は「Balanced Growth Despite Uzawa」で、著者はGene M. Grossman(プリンストン大)、Elhanan Helpman(ハーバード大)、Ezra Oberfield(プリンストン大)、Thomas Sampson(LSE)。 以下はungated版の結論部。 Over at least the last half century, the United States has experienced balanced growth; nearly constant growth rates of output per worker, capital, and consumption, and roughly constant factor shares until quite recently. Uzawa's Gr

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    lapis 2016/01/19
  • 誰がために壁は倒れた? 資本主義への移行の収支決算・おまけその2 - himaginary’s diary

    一昨日紹介したブランコ・ミラノヴィッチのエントリについた最初のコメントは、アンドレイ・シュライファーとダニエル・トライスマンのフォーリン・アフェアーズ記事をどう思うか、というものだった。10年前の論文のフォローアップであるその記事に対しミラノヴィッチは、後続のエントリで厳しい批判を投げ掛け、特に以下の4点をいかさまだと指弾した。 共産主義時代末期の実際の所得水準が正しいということを否定している 彼らはそれはもっと低かったはず、と言うが、家計調査や各国際機関のデータは彼らが間違っていることを示している。 実際のところ、その所得水準は非物的サービスを除外したことで過小評価されていた。その問題は移行国が国連の基準を適用して過去の統計を再計算した時に解決した。 これは15年前に決着した話であり、その後は、今回彼らがまた持ち出すまで、そうした馬鹿げたことを主張する人はいなかった。 1990年代のGD

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    lapis 2014/11/12
  • DSGEなんかいらない?・続き - himaginary’s diary

    昨日紹介したヘックマンのインタビューの最初の引用部の直後には、以下のようなやり取りがあった。 What about you? When rational expectations was sweeping economics, what was your reaction to it? I know you are primarily a micro guy, but what did you think? What struck me was that we knew Keynesian theory was still alive in the banks and on Wall Street. Economists in those areas relied on Keynesian models to make short-run forecasts. It seemed stra

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    lapis 2014/07/27
  • サマーズ「変動の振幅を縮小することがマクロ経済学の目的ではない」 - himaginary’s diary

    一昨日のエントリでブランシャールのLSEフォーラムでの発言を紹介したが、同じフォーラムの席上で司会のマービン・キングBOE総裁からマクロ経済学の再構築について問われた*1サマーズが、以下のように述べている(デロングブログより)。 You know I was tempted to blast off at Dynamic-Stochastic General-Equilibrium models. That is, actually, my inclination. But on the other hand it occurred to me to ask the question: "What wouldn't be a Dynamic-Stochastic General-Equilibrium model?" That would be a Static-Certain Parti

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    lapis 2013/04/05
  • フェルプス「合理的期待は説明できないものを説明しようとしている」 - himaginary’s diary

    エドムンド・フェルプスがブルームバーグのインタビューで合理的期待形成理論をこき下ろしている(H/T Free Exchange)。以下はそこからの引用。 Q: So how did adaptive expectations morph into rational expectations? A: The "scientists" from Chicago and MIT came along to say, we have a well-established theory of how prices and wages work. Before, we used a rule of thumb to explain or predict expectations: Such a rule is picked out of the air. They said, let's be sci

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    lapis 2013/02/15
  • インドへの道 - himaginary’s diary

    所得格差問題を安易な政策対応でカバーしようとしたことが現在の米国経済の苦境を招いた、と唱えてフルボッコに遭ったラジャン*1が、今度は同じような主張をインド経済について展開した(Mostly Economics経由)。 その概要は以下の通り。 BRICsをはじめとする新興国の景気減速は、それらの国が未だ依存している欧州をはじめとする先進国の成長鈍化が主因。 景気減速の第二の原因は、好景気の時に克服しなかった弱点を各国が今も抱えていることにある: 中国:経済成長を固定資産への過剰投資に頼り過ぎていること ブラジル:高金利と低投資を持続せしめる低貯蓄率と様々な制度的問題、並びに、教育が全人口に行き渡っていないこと ロシア教育程度が高いにも関わらず、経済成長を資源産業に頼っていること しかし、2010年以降年間GDP成長率が5%低下したインドが潜在力を発揮していない理由を理解するのは簡単ではない

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    lapis 2012/06/14
  • ビッグマックを買うにはマクドナルドで何分働けば良いか? - himaginary’s diary

    昨年アメリカ経済学会会長を務めたオーリー・アッシェンフェルター(Orley Ashenfelter)*1が、今年初めの(おそらくシムズに交替する前の最後の)会長演説で、ビッグマックを用いた賃金の国際比較方法を発表したらしい(ジョン・テイラー経由)。 テイラーブログからリンクしている論文*2は会員しか読めないが、ぐぐってみると、例えばThe AtlanticやGlobalPostの記事で概要が紹介されているほか、こちらではアッシェンフェルターがLSE講演時に使用したと思しきスライドが見られる。 ビッグマックと言えばエコノミスト誌のビッグマック指数が有名であるが、ここではその考え方を一歩進めて、マクドナルドで一時間働いたらビッグマックを何個買えるか、という個数を示すBMPH(Big Macs Per Hour Of Work)なる指標を開発したとの由*3。 以下はスライドに掲載されていた200

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    lapis 2012/05/24
  • プラトニック経済学 - himaginary’s diary

    下記のを出版したJonathan SchleferをEconomixブログがインタビューし、それをMostly Economicsが引用している。 The Assumptions Economists Make 作者: Jonathan Schlefer出版社/メーカー: Belknap Press発売日: 2012/03/20メディア: ハードカバー購入: 1人 クリック: 23回この商品を含むブログを見る Q. To what extent do you see a “march of progress” in the efforts of successive generations of economists to build useful models of the real economy? A.There is a kind of progress in economics

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    lapis 2012/04/23
  • 何が潜在GDPの低下をもたらすのか? - himaginary’s diary

    最近、潜在GDPが低下したのではないか、というジェームズ・ブラード・セントルイス連銀総裁がシカゴ講演で提示した仮説を巡ってブロゴスフィアで侃々諤々の議論が交わされた。 一つの論点は、潜在GDPをどのように計測するか、ということであった。以前ここで紹介したように、従来から用いられてきたトレンド分解や生産関数アプローチのほか、DSGEモデルを利用した自然率の推定という手法も近年では登場しており、ブラードはそちらの手法を念頭に置いて議論を提起したようである*1。 しかし、そうした推計手法の議論は得てして神学論争に陥りやすい*2。そこで、ここではその問題は脇に置いておいて、もし潜在GDPが低下したとしたらどのような理由によるものだろうか、という切り口で議論の俯瞰を試みてみる。以下では考えられる原因を列挙し、併せてそれに関連する各論者のエントリにリンクしてみる。 逆資産効果により潜在GDPが低下した

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    lapis 2012/02/20
  • あぶく銭は身につかない - himaginary’s diary

    一昨日のエントリの脚注ではタイラー・コーエンがマシュー・イグレシアスのコメントを評価したことを紹介したが、そこでイグレシアスはScott HankinsとMark Hoekstraの論文を参照している。その論文では所得の外生的な増加により独身女性が結婚する傾向が低下することが示されているが、その論文のユニークな点は、所得の外生ショックとして宝くじを使った点である。 コーエンは別のエントリで、同じ著者(+Paige Marta Skiba)がやはり宝くじに当たった人を対象に分析した別の論文も紹介している(正確にはアレックス・タバロックが同論文を紹介した以前のエントリを引用している)。 その論文の要旨は以下の通り。 This paper examines whether giving large cash transfers to financially distressed people c

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    lapis 2012/02/13
  • 共産主義体制からの移行について私が学んだ7つのこと - himaginary’s diary

    お前が言うか、という気もするが、アンドレイ・シュライファーが表題の記事をvoxeuに書いている。マンキューやEconomist's Viewがリンクしているほか、Mostly Economicsが各段落の最後の文章を抜き出すという形で簡潔にその内容をまとめている。 以下はその7項目の概略。 改革者は成長軌道への早期の復帰を当てにしてはいけない。経済の移行というものは時間が掛かる。 移行に信を置け。資主義体制は当にうまくいく。 改革者はポピュリストたちの反乱を恐れる必要は無い(実際にそうした反乱は皆無だった)。その代わり、新しく台頭してきたエリートたちが政治を奪取してしまうことを恐れよ。 当時、制度をまず整備せよとか、政府が企業の民営化の準備をせよとか、バウチャーと投信のどちらの民営化方式が良いとか、ケースバイケースの民営化が良いとか、様々な理論が改革を巡って取り沙汰されたが、今にしてみ

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    lapis 2012/02/09
  • バック・イン・ザ・U.S.S.R. - himaginary’s diary

    2009年末に死去したエゴール・ガイダルが、2006年11月の自著(下記参照)宣伝のAEI講演時に、ソ連崩壊の原因を穀物と原油という2つのキーワードで説明している(Mostly Economics経由の4年半前のタイラー・コーエンのMRエントリ経由)。 Collapse of an Empire: Lessons for Modern Russia 作者: Yegor Gaidar出版社/メーカー: Brookings Institution Press発売日: 2007/11/02メディア: ハードカバー購入: 1人 クリック: 13回この商品を含むブログを見る その講演内容は概ね以下の通り。 このの執筆動機は、以下の2つ: ブレジネフ時代の水準に近づいた原油価格の高騰。 改革を実施しなければソ連は超大国の座を維持していたという神話の流布。ロシア人の8割以上がそれを信じているというが、

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    lapis 2012/01/04
  • 製造業フェチは誤りか? - himaginary’s diary

    Economist誌で、シーメンスのスポンサリングの下、製造業の重要性に関する討論が展開されている(Mostly Economics経由)。 ブログでもこれまで経済発展における製造業の重要性を訴える論説を幾つか紹介してきたが(例:ロドリック、Interfluidity+ロドリック、アンドリュー・グローブ、ディーン・ベーカー)、今回の討論で肯定論者の役割を担っているHa-Joon Changも概ねそうした論者の見解に沿った議論を展開している。以下はその概要。 製造業の基盤(=その規模と競争力)は一国の繁栄にとって最も重要な要素。 スイスとシンガポールのような金融立国/観光立国/貿易立国はどうなんだ、という人もいるかもしれないが、UNIDOによると、2002年の一人当たり製造業付加価値でスイスは日を抑えて世界一であった(値にして日を24%上回った)。2005年には、スイスは日に次ぐ2位

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    lapis 2011/07/03
  • 超富裕層からの7つの人生訓 - himaginary’s diary

    バリー・リソルツが表題の件について書いている(原題は「7 life lessons from the very wealthy」;WaPoに書いた記事のリポスト)。仕事の関係で知り合った大金持ちを通じて学んだこととの由。 冒頭には、Bill Vaughanの「Money won’t buy happiness, but it will pay the salaries of a large research staff to study the problem.(金で幸せは買えないが、そのテーマについて研究する多数の研究員の給与を賄える)」という警句が引用されている。 以下はそのエントリの簡単なまとめ。 金は無いよりあった方が良い 金で幸せは買えないが、経済的安定、健康、教育旅行、快適な引退生活が買える。一言で言えば、自由が買えるということ。 「キャッシュリッチ」で「時間貧乏」になるな

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    lapis 2011/06/26
  • 電力供給問題に関する一愚考 - himaginary’s diary

    今夏に東日が直面する電力の供給制約問題に関して、現在計画されているような需要サイドの単純な一律削減策ではなく、価格メカニズムを導入してはどうか、という提言が経済学者よりなされている(cf. ここ)。市場メカニズムの導入という点では確かにいかにも経済学的で、単純な数量割り当てに比べて経済全体の効率性を高める案のように思われるが、一方で、こちらで指摘されているような制度導入のコストのほかに、価格安定性の放棄という犠牲も伴う。以下に、その得失を簡単な表にまとめてみた。 制度 価格の安定性 数量の安定性 停電の抑止 市場メカニズム 供給制約無し ◎ ◎ ◎ × 数量割り当ての導入 ◎ ○ ○ × 価格メカニズムの導入 × ○ △ ◎ 1行目の従来の供給制約がほぼ無い状況下では、価格は原油価格の高騰といった外生的要因を除けば安定性を維持しており、停電が起きない場合に各需要者が必要とする電力(ここで

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    lapis 2011/04/23
  • 永遠の23歳 - himaginary’s diary

    はてなキーワードの永遠の17歳のようなタイトルになってしまったが、それがアビナッシュ・ディキシットの研究術だという。 Of all the lessons I have learnt during a quarter-century of research,” writes Dixit, “the one I have found most valuable is always to work as if one were still twenty-three. From such a young perspective, I find it difficult to give advice to anyone.” Dixit, who likes popular science and engineering books, says he pretends to have a perpe

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    lapis 2010/12/22
  • 「ザ・クオンツ」著者インタビュー - himaginary’s diary

    The Big Pictureのバリー・リソルツが、以下のの著者であるスコット・パタースンをインタビューし、それを2回に分けてブログに掲載している(ここ、ここ)。 ザ・クオンツ 世界経済を破壊した天才たち 作者: スコット・パタースン,永峯 涼出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)発売日: 2010/08/28メディア: 単行購入: 24人 クリック: 295回この商品を含むブログ (26件) を見る そのインタビューの終盤の以下のやり取りが面白かったので、紹介してみる。 ...That’s the thing that I’ve found, some of these quants really do have a mad scientist approach. They come up with these theories and these models,

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    lapis 2010/12/13
  • 経済学におけるイデオロギー - himaginary’s diary

    昨日紹介したフォーリーの論文から、「イデオロギー」について論じた箇所を引用してみる。 In many ways, it seems to me that macroeconomics as an academic subfield knows less about the real dynamics of industrial capitalist economies today than it did in the early nineteensixties when I began my studies of economics. ... One could view this story as an account of an aberrant episode in the history of science, and argue, with considerable plausi

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    lapis 2010/12/10
  • 研究していることと信じていること - himaginary’s diary

    と題したブログエントリをRoweが書いている(原題は「What we research, and what we believe」)。 以下はその拙訳。 あなたが理論Xを信じているものとしよう。あなたは理論Xの研究をしたいと考えている。ところが、理論Xに関する興味深いアイディアはすべて研究し尽くされている。あなたは理論Xについて言うべき興味深く新しいことを何も思いつくことができない。あるいは、理論Xには何か未解決の取り組むべき問題があるのかもしれない。だが、あなたはそれに取り組むべき方法をまったく思いつくことができない。 そこへ理論Yが突然登場する。理論Yは新しく、あなたの持っている技術で研究できる未開拓の分野が多く存在する。あなたは理論Yを信じていないが、あなたが研究することによって理論Yに有益な貢献ができる。 さて、あなたはどうすべきか? もしあなたが野心ある経済学者、特に、学位論文の

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    lapis 2010/12/10