毛を生みだす器官の幹細胞を培養して皮膚に移植し、同じ太さや硬さの毛を何度も生え変わらせることに、東京理科大などのチームがマウスの実験で成功した。18日の英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ電子版に発表した。 毛は皮膚に無数にある「毛包(もうほう)」という器官で作られ、体表まで伸びる。毛が抜けても毛包があれば、同じ場所から生える。 辻孝・東京理科大教授(再生医工学)らのチームは、大人のマウスから毛包の幹細胞を採取して培養し、生まれつき体毛のないマウスの背中に移植した。その結果、7割のマウスに3週間後に毛が生え、元のマウスと同様に3〜5ミリまで伸びた。毛の硬さや縮れなどの特徴も同じだった。自然の毛のように、周期的に生え変わった。 移植する幹細胞の数を増減させることで、発毛の密度や本数を変えた。色素に関わる幹細胞を加えて培養し、白い毛を黒や茶にすることもできた。