牛丼チェーン「吉野家」が、来店した客に「いらっしゃいませ」と声をかけるのをやめた。社長みずからの発案で、1年半前から別のあいさつに切り替え始めたという。気づいた人は知っている「新しい声かけ」と、その狙いとは――。 「いらっしゃいませ。ご注文よろしいですか」。接客業の基本ともいえる言葉が、吉野家のマニュアルから消えたのは2019年9月。ちょうど、カフェのように使える新型店「クッキング&コンフォート」の出店を本格的に始めた時期だ。コンセント付きのテーブル席や、セルフ式のコーヒーマシンを置いたのが特徴で、女性客の開拓を狙って開発。今年3月末時点で、全国に136店舗を展開している。 ただ、新型店は、店内のカウンターで注文と支払いをすませる事前会計制。出来上がった料理も客が自らテーブルに運ぶため、通常店より接客時間が短い。少ない接客時間の中で、コミュニケーション量を増やすことが課題になっていた。 改