気候変動や生物多様性の喪失など、地球規模で進む環境異変にどう立ち向かえばいいのか。オーストラリアでは先住民族と協力し、数万年来の伝統や知恵を活用した取り組みが進んでいます。 オーストラリア南東部の大都市、メルボルンの王立植物園。市街地中心部に近い立地でありながら、多様な樹種に囲まれた森のような空間で、デニス・フィッシャーさんが自然についての豊かな知識を披露していた。 「グレーの木の皮は水に入れると泡が出て、魚が浮かんでくる」「この葉を触ってごらん。裏側がふわふわで、トイレットペーパーの代わりに使える」「このやわらかい木と硬い木をこすったら火を起こせる」 これはアボリジナルピープルとともに園内を散策しながらその知識や文化、歴史に触れられる1時間半のツアー。フィッシャーさんはクイーンズランド州出身のアボリジナルピープルの長老だ。 降りしきる雨を気にすることもなく、米国やスイスからの観光客たちに