銀行も驚く新しい融資が始まった。期限まで元金を返済しないですみ、しかも業績が悪いほど、低金利ですむという、従来の融資と考え方がまったく逆なのだ。ある地方銀行の幹部は、「最初聞いたときは、さすがにア然としました」とこぼすが、どうも背景には、いま金融検査中の「あの銀行」の存在があるようだ。 バブル崩壊以前、金利分だけを払って元金を返済しない融資はめずらしくなかったが、その後は金融庁が不良債権処理に追われる銀行に「元利金とも、きちんと返してもらう」ことを徹底。勢い、それが貸し渋りや貸しはがしを招いて中小企業は相次いで倒産の憂き目にあった。金融庁は今回その方針を転換したともいえる。 10年目にして方針「転換」 1999年、金融庁は銀行の立ち入り検査で使う「金融検査マニュアル」で、高度成長期からそれまで事実上黙認してきた、手形を書き換え続ける「コロガシ融資」や、金利分だけを払って元金の返済のない「根