僕が、サプールを知ったのは、2013年だった。カンヌで行われる世界最大の広告祭Cannes LionsでGuinessビールのTVCMを観た時の衝撃は、今でもはっきりと覚えている。そこには、ビビッドでカラフルなファッションに身を包んだ黒人たちの優雅な姿が映し出されていた。 はじめは、広告のためにつくられたフィクションだと勘違いした。しかし、サプールはアフリカのコンゴで90年以上も続く独自の文化だということを知った。同国は、今でも内戦が続いていて、世界最貧国の一つと言われている。しかし、世界一お洒落なジェントルマンたちは、1ヶ月の収入をはるかに上回る高級なスーツを身に纏う。そのギャップに驚かされた。 そして、それらのファッションが「服が汚れるから戦わない」という平和的なメッセージだと聞いて、再び驚かされたのだったー。 現在、コンゴを名乗る国は二つある。一つは、ブラザビルを首都とするコンゴ共和