【一般に社会的弱者とされている人々へのバッシングがネット上で続いている。その背景には「新しい弱者」「曖昧な弱者」の存在がある。メディアはこの問題にどう取り組むべきだろうか】 伊藤 昌亮(成蹊大学文学部教授) 薄く広がるヘイトスピーチ ヘイトスピーチが止まらない。といっても、「在日特権を許さない市民の会(在特会)」などがかつて街頭で繰り広げていたような、激烈で直接的なものではない。よりやんわりとした、どこか皮肉っぽい言いまわしのもので、しかも在日外国人などだけではなく、より多様な社会的弱者を「ディス」ろうとするものだ。とりわけ若い世代のオピニオンリーダーと目される人々から、インターネット上の新たなメディアを通じて、そうした発言が繰り返しなされている。 たとえば2021年8月には「メンタリスト」のDaiGoが自らのYouTube番組で、生活保護受給者やホームレスを誹謗する発言をし、大きな問題と