本書は、西洋社会の行く末を悲観的に予測してベストセラーとなった『The Strange Death of Europe』の邦訳である。 ここには、いま西洋社会が直面する「奇妙な死」について書かれている。 ここでいう「死」には、2つの意味が込められている。 1つは、欧州が大量の移民を受け入れたことにより、各地で西洋固有の文化的・歴史的な風景が失われ、いくつかの町や都市は、まるで中東やアフリカのような風景になってしまったこと。 もう1つが、寛容を旨とするリベラリズム(自由主義)や多文化主義の理念の下に、基本的人権、法の支配、言論の自由といった中核となる価値観を共有しない人々を招き入れることによって、西洋的な価値観が失われてしまうことである。 つまり近い将来、われわれがイメージする西洋という文化そのものがなくなってしまうのである。そして、こうした奇妙な死をもたらしているのは、ほかならぬ欧州のリー