【北京・工藤哲】丹羽宇一郎駐中国大使の公用車が襲撃され国旗が奪われた事件で、中国公安当局が男3人、女1人の中国人計4人を容疑者として取り調べていることが8月31日、関係者の話で分かった。捜査中の事件を外国外交官に説明するのは異例で、尖閣諸島を巡って波立つ日中関係が、この事件でさらに複雑化する事態を懸念していることは間違いない。 中国政府は30日夜、捜査状況を日本側に伝えると同時に中国外交を統括する戴秉国国務委員が山口壮副外相に3時間近くにわたって対応するなど、日本側への配慮を示している。一連の対応は、事件の余波の長期化を望まない中国指導部の意向の表れと言えそうだ。 また、山口副外相と会談した戴氏は、楊潔篪外相より格上で、胡錦濤国家主席の信頼も厚い。野田佳彦首相の親書を送り返した韓国の対応とは異なり、中国としては親書を真摯(しんし)に受け止めることで、日本との関係改善の糸口にしようとしたと言
安住淳財務相は17日の閣議後記者会見で、国際通貨基金(IMF)の資金増強要請に応じ、日本として600億ドル(約4兆8000億円)の拠出を決めたと表明した。ユーロ圏以外の主要国で拠出を正式発表したのは日本が初。IMFは最大5000億ドル規模の資金確保を想定しており、その1割を超える拠出額は「加盟国では飛び抜けて最大になる」(安住財務相)とみられる。 IMFは19日から米ワシントンで開かれる主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議までに基盤強化に対する関係国の同意を取り付けたい考えだったが、米国が拠出見送りの意向を固めているほか、IMFでの発言権拡大など見返りを求める新興国も態度を明らかにせず、G20での合意は絶望的な見通しとなっている。
10年春に学校を卒業した人のうち、就職できなかったり、就職から3年以内に退職する人の割合が、大学・専門学校生で52%、高卒で68%(いずれも中退者を含む)に上ることが、内閣府が19日に公表した推計で分かった。政府は、若者の雇用が予想以上に悪化しているとして、就職の「ミスマッチ(求職者と雇用者の意識の食い違い)」対策などを急ぐため、近く有識者による組織を設置し、6月をめどに就職支援の拡充策をまとめる。 厚生労働省と文部科学省が発表していた同年春卒業者の就職内定率は、大卒91.8%、専門学校卒87.4%、高卒93.9%で、今回の推計は両省の調査結果を大きく下回った。 推計は、全国すべての学校の就職状況をまとめた文科省の統計や雇用保険の加入状況を基に初めて算出した。厚労省、文科省が毎年行っている就職内定率調査が全国の学校の一部を抽出しているのに対し、調査範囲が広いだけでなく、早期離職(就職から3
政府は6日午前、全閣僚による行政改革実行本部(本部長・野田佳彦首相)を国会内で開き、国家公務員の13年度新規採用数を政権交代前の09年度比で4割超削減する方針を確認した。12年度比で約2割の削減で、採用数は5000人以下を目指す。今月中をめどに採用計画を決定。消費増税法案の提出に先立ち、行政改革に取り組む政府の姿勢をアピールする。ただ、09年度比の歳出削減額は約80億円にとどまり、効果は限定的だ。【野口武則、大場伸也】 首相は同本部で「税と社会保障の一体改革を推進するうえで、まずは身を切ることが国民の納得と信頼を得るために不可欠だ」と指摘。13年度の新規採用について「これまでを大幅に上回る抑制」を各閣僚に指示した。 自公政権時代の09年度(09年4月1日付)の新規採用数は8511人。これに対し民主党政権は11年度は約4割、12年度は約3割を削減した。12年度は東日本大震災への対応が必要とし
日銀は「物価を年1%上昇させることを目指す」と決めた。なぜ物価の上昇が必要なのか。日銀はどのように進めていくのか。狙いや効果をまとめた。【谷川貴史】 Q 物価が上昇しないと困るの? A テレビやパソコン、携帯電話などの値段が下がれば、買いやすくなります。しかし、物価が下がり続けると、製品をつくる会社のもうけが少なくなり、働く人の賃金が下がったり、働く人が減らされたりする恐れがあります。そうなると、製品を買おうという人が減って、製品が売れなくなり、製品の値段がさらに下がるという悪循環に陥ります。これを「デフレ」と呼び、日本経済はデフレの状態にあるのです。 Q 物価を上昇させるには何が必要なの? A 製品がたくさん売れるようにすることです。家庭が製品をたくさん買う(消費の活発化)ようになれば、会社で働く人の給料も上がり、会社も製品をたくさんつくろうと工場を増やします(投資の活発化)。景気全体が
報道陣に囲まれる中、勝野成治常務執行役員に「うどん県」表記を認めるよう求める要望書を手渡す要潤さん(右)=東京都千代田区の郵便事業会社で2011年12月6日午前10時49分、鈴木理之撮影 「うどん県」という宛名で郵便物が届くようにしてください--。香川県が6日、知名度抜群の讃岐うどんにあやかって県をPRしようと、俳優演じる「うどん県副知事」を郵便事業会社(東京都千代田区)に派遣し、前代未聞の“要望”を試みた。 訪れたのは、10月に始まったPRキャンペーンで「うどん県副知事」を務める同県出身の俳優、要潤さん。要さんは取材陣に囲まれ、郵便事業会社の担当者に頭を下げた。同社は「『うどん県』とあっても郵便番号が書かれていれば届くと思う。郵便番号がなくても、市や町の名前から届けるよう努力する」と柔軟な姿勢だ。 香川県は今年度、2300万円を投じ、県出身の俳優やタレントを起用したイメージ重視のPR動画
【ローマ藤原章生】「我々は電気カミソリ--」。イタリアのモンティ新首相は18日、下院での信任に先立つ演説で、ベルルスコーニ前首相の「口撃」に比喩で反撃した。前首相が与党の会合でモンティ政権について「(政権を終わらせる電気の)プラグを抜くのは我々だ(いつでも終わらせられる)」と発言したと報じられ、これにくぎを刺したものだ。ただ比喩が知的すぎて議員の多くは一瞬ではのみ込めず、前首相のように大爆笑とはならなかった。 モンティ氏は前首相の文脈に沿って「『プラグを抜く』といった表現は使わないでいただきたい。我々(新政権)に電気が十分あるわけではないし、それを言うなら、我々は電気カミソリや人工肺にならなければいけない」とアドリブで応酬した。 「カミソリ」は欧州主要国よりはるかに多い議員数や高い政治運営費の削り込みを意図したとされ、また「人工肺」は失業者や貧困層を救う対策を指したようだ。つまり、新政権に
現在の世界の糖尿病患者が3億人を突破したことが14日、国際糖尿病連合(IDF、本部・ブリュッセル)の調査でわかった。国別では初めて中国が1位となるなど、アジアでの患者増が目立つ。30年には5億5200万人に達するという。 推計によると、11年の患者数は3億6600万人。前回(10年時点)の2億8460万人に比べ約30%増え、患者の急増に歯止めがかかっていないことが浮き彫りになった。 国別では、2位だった中国が9000万人に達し、インドを抜いて1位になった。日本は6位の1070万人で8位より悪化した。30年時点では、中国(1億2970万人)、インド(1億120万人)、米国(2960万人)が上位を占める。日本は人口減が影響し、10位以内に入っていない。 地域別では、中国や日本を含む西太平洋地区での増加が顕著で、糖尿病の合併症による死者が11年の同地区の総死者数の15%を占めた。同地区議長の清野
【ホノルル平地修】環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の交渉に参加する9カ国は12日朝(日本時間13日)、ハワイのホノルルで首脳会合を開き、協定の大枠合意に達したとする共同声明を発表した。オバマ大統領は会合で、来年中の最終合意を目指す意向を示した。 声明は「この画期的な協定をできるだけ早く決着させるため全力を尽くす」と表明。来年中の決着に向けて、12月に各国の交渉チームによる会合を開催し、来年の交渉日程を決めるとしている。日本をはじめ交渉参加に関心を示す国については、「将来的な参加を容易にするため協議を続ける」と表明した。 オバマ大統領は大枠合意を受けて、「TPPは参加国の経済を押し上げ、米国の輸出倍増計画の助けになるだろう」と表明。「私はこれをやり遂げる自信がある」と、最終合意に意欲を示した。 ただ、今回の大枠合意は、9カ国による過去9回の交渉の進展内容を首脳たちが確認する意味合いが強
◇輸出依存戦略もう見直す時だ 環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の交渉参加問題が大詰めを迎えた。政府は、「アジア太平洋の成長を取り込む」として参加を決めたいようだ。しかし、これ以上海外に依存した成長を目指す戦略は間違っていると私は考える。国民の大多数にとって、TPPのリスクは大きく、メリットはわずかだろう。野田佳彦首相が参加を思いとどまってくれることを願う。 ◇農業、医療などリスクが大きい TPPについて、慎重派は多くのリスク、問題点を挙げている。関税撤廃で打撃を受ける農業のほか、▽「混合診療」の全面解禁や株式会社の参入で公的医療保険が縮小する▽遺伝子組み換え作物の表示、残留農薬などの食品の基準が緩められる▽公共事業の発注ルールや日本郵政の簡易保険への影響--などだ。 農業以外の懸念に対し、政府は「交渉対象になっていない」などと説明するが、楽観的すぎる。9カ国のこれまでの交渉で議論され
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