前回は、スコラ神学者が、自然現象を数学で定式化し実験によって検証する実験科学の方法論を樹立して近代科学の成立に寄与したことを明らかにしました。 今回は、スコラ神学者ロジャー・ベーコンと哲学者・神学者フランシス・ベーコンが、キリスト教的世界観に基づいて「科学による自然の支配」を唱えたことを紹介します。さらにF・ベーコンが、多くの観測・実験事実を集めることによって科学を発展させるべきだと主張し、その後、啓蒙思想家が反宗教的な立場から中世暗黒説(中世を宗教が科学の進歩を妨げた暗黒時代と見なす)を唱えたことを説明します。 【今回のワンポイントメッセージ】 反宗教的感情を抱いていた啓蒙思想家が中世暗黒説を唱えたが、20世紀初頭に科学史家によって中世暗黒説が崩壊する端緒が開かれた。 「白魔術」による「自然の支配」を唱えたロジャー・ベーコン スコラ神学者ロジャー・ベーコン(13世紀)は、前回紹介した師の
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