建築基準法の特例措置など、もっての外だ──。1000年以上前に創建された世界遺産「仁和寺」(京都市)の門前で着工した高級ホテルを巡り、周辺住民が市と指定確認検査機関を訴える行政訴訟が巻き起こった。 仁和寺はかつて皇室出身者が住職を務め、「御室御所」とも呼ばれた寺院だ。創建は888年とされ、複数の建物が国宝や重要文化財に指定されている。世界文化遺産でもある名所とあって、観光客は絶えない。 そんな古刹の門前で着工した高級ホテルプロジェクト「御室花伝抄計画」を巡って、建築確認取り消しなどを求める行政訴訟が京都地方裁判所で進行中だ〔写真1、図1〕。原告は周辺住民51人、提訴は24年6月。被告は京都市と日本ERIの2者。建築主はホテル大手の共立メンテナンス、設計・施工者は戸田建設だ(いずれも訴外)。