「終身雇用はもう持たない」——財界からそんな声が上がり、議論を呼んでいる。たしかにグローバル化の中、企業はコストを圧縮し生産性を上げていく必要があるだろう。しかし、戦後日本社会という仕組みの中で合理性を発揮してきた終身雇用や解雇規制を、それだけを取り出して「不合理だからやめる」とするのは乱暴ではないか。まして「国民生活の向上」を目標とする経団連は、経営の問題だけではなく、同時により慎重に「社会」のことを考えるべきではないか。東工大の西田亮介准教授が解説する。 経団連の目的は「国民生活の向上」 突然だが、「経団連」とはどんな団体か、ご存じだろうか。 一般社団法人日本経済団体連合会、通称、経団連は1946年に設立された、日本有数の経済団体であり、経済界きっての利益団体である。 経団連のホームページによれば、2018年5月31日時点の企業会員は1376、団体会員156、特別会員31と加盟者は15