イギリスが欧州連合(EU)を離脱する来年3月29日まで半年に迫った。 イギリスとEUは「合意なき離脱」という最悪のシナリオへ備えつつ、交渉の落としどころを探っているのが現状だ。 「交渉は行き詰まっている」――メイ英首相が9月21日に出した緊急声明は市場を揺さぶった。 しかし、交渉の行方をめぐりイギリスとEUの双方から発せられるシグナルは今も、悲観論と楽観論が入り混じったものである。 交渉の現状と、離脱交渉の「出口」を展望してみたい。 主戦場はイギリス国内にある 最初に指摘しておきたいのは、交渉はイギリスとEUの間で行われているものであるが、成否の鍵を握る主戦場はイギリス国内にあるということだ。 その構図は、「メイ政権vs保守党強硬離脱派+過激な英メディア」である。その事情は後で説明するが、メイ首相はこの闘いに勝たなければ、EU離脱(ブレグジット)を軟着陸させることはできない。 なぜなら、E