日本人の7人に1人が当てはまると言われる、「普通」でも「知的障害」でもない「境界知能」の子どもたち。一見、普通に見えるものの、人の気持ちが理解できない、感情コントロールが苦手といった困りごとを抱えがちだという。児童精神科医で、著書に『境界知能の子どもたち』がある宮口幸治氏が、こうした子どもとの向き合い方を解説する。 「認知機能の弱さ」は対人関係にも影響する 「非認知能力」という言葉を聞かれたことがあると思います。昨今は、学力やIQといった数値で測れる「認知能力」ではなく、協調性やコミュニケーション力、思いやりなどを指して「非認知能力」と称し、「非認知能力が大事だ」という風潮もあるようです。 でも、実は「非認知能力」という言葉はあいまいで、何を指すのかといった決まった定義がありません。それにわざわざ非認知能力という言葉を使わなくても、協調性や思いやりなどが大切なのは誰でも知っていることです。