マスメディアから圧倒的な量の情報が奔出すればするほど、オウム真理教はより不可解な存在になっていく。 当然だろう。警察やマスコミのように社会規範からの逸脱を断罪するだけでは、彼らを理解できるはずがないのだ。 議論が回避されている宗教の宗教性を徹底して批判することで、わたしたちはわたしたち自身に接近しなければならない。 神に似せて人間が造られたのではなく、人間に似せて神が造られたと同様、宗教もまた共同体に似ている。 "オウム真理教"という教団はあっても、そのような宗教はない、とまず知るべきなのだ。 仏教は、快楽と苦行の"中道"をゆくのであり、オウム的修行を要請しない。"最終戦争"は"末法思想"とさえ結びつかないキリスト教の思想である。反バラモン教の宗教運動であるヒンズー教の神・シヴァを主宰神とすることはあり得ない。 諸行が無常であることを知らず、ハルマゲドンの到来を怖れる姿は、煩悩にまみれ切っ